画像:内部空間に有機分子が挿入されたカーボンナノチューブの構造模式図 (東北大学岩佐義宏教授らのカーボンナノチューブと有機分子の複合材料の研究から、岩佐教授の許可を得て掲載)

ナノテク最新事情 #494 : 2006年7月19日

フレキシブル・エレクトロニクスに心強い技術が加わる
—半導体基板から単結晶薄膜を他の可撓性材料に移し替える—

ウィスコンシン大学マディソン校の技術者によって発明された半導体薄膜技術は、センサ、コンピュータ、画像システムなどに新しい材料を提供する。

電気コンピュータ技術者Zhenqiang Maさんと材料科学者のMax Lagallyさんが率いる研究チームは、基板から半導体の単結晶薄膜を取り除く過程を開発した。 この薄い層(厚さ200∼300ナノメートル)をガラス、プラスチックまたは他の可撓性材料に移し替えることができるため、フレキシブルなエレクトロニクスのために可能性の範囲が広がる。さらに、薄い層を新しい基板に移せるので、半導体フィルムを反転することができ、より多くの部品が反対側を利用できる。
これは膜の上に乗せることができるデバイスの数を倍にする。

この過程を繰り返すことによって、両面薄膜半導体の層を一緒に積み重ねることができ、立体的な電子デバイスを作成できる。

「これらが歪みシリコンかシリコンゲルマニウムの単結晶膜であることに注目することが重要である。私たちは膜を形成する過程で歪みを導入する。」と、Maさんは言う。

コンピュータ用デバイス以外の応用に関しては、フレキシブル・エレクトロニクスが大きなインパクトを持ち始めている。太陽電池、スマートカード、RFIDタグ、医療応用、およびアクティブ・マトリックス・フラットパネル・ディスプレイなどはすべて、この技術開発の恩恵を得るかもしれない。 この技術は、ウェアラブル・エレクトロニクスやコンピュータ・モニターを作成するためにフレキシブル半導体を織物に埋め込むことができるかもしれない。

「これは潜在的なパラダイム・シフトである。シリコンゲルマニウム膜は特におもしろい。ゲルマニウムは、シリコンより光の吸収率がはるかに大きい。材料の品質を破壊しないでゲルマニウムを含んでいることにより、私たちは2∼3桁感度を高めることができます。」と、Lagallyさんは言う。
微光カメラ、または、高感度小型カメラに応用できるだろう。

この研究成果はWisconsin Alumni Research Foundationを通して特許出願中である。また、NSF、エネルギー省、および空軍科学研究局から研究交付金を受けている。

(所見)
この研究のスポンサーがNSF‚DOE‚DoDであることに注目する。
目的研究の代表的なものであると理解する。
我が国でも類似の技術開発が進められていると理解しているが、研究成果、実用化という観点から省庁連携のファンデングが効を奏しているかどうか、多少不安材料が見え隠れしている。

(nanonet 豊蔵 信夫)