画像:内部空間に有機分子が挿入されたカーボンナノチューブの構造模式図 (東北大学岩佐義宏教授らのカーボンナノチューブと有機分子の複合材料の研究から、岩佐教授の許可を得て掲載)

イベント

第5回ナノテクノロジー総合シンポジウム(JAPAN NANO 2007) 開催報告


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第5回ナノテクノロジー総合シンポジウムが2月20日(火)午後及び21日(木)の2日にわたって東京ビッグサイトのコンファレンスタワーで開催され、約1000名の参加による盛況となった。オープニングセッションでは、藤木完治文部科学省大臣官房審議官から今までの研究成果の評価とともに、今後、生活の質の向上などイノベーションへつなぐ期待を込めた挨拶があった。続いて、岸輝雄組織委員長から5年の区切りに当たる本シンポジウム開催の主旨と構成ついて、さらにnano tech 2007 実行委員長川合知二大阪大学教授からは世界最大を誇るナノウイーク全体の催しについて説明があった。

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プレナリーセッションでは、以下の御三方の示唆に富む講演が行われた。藤嶋昭氏(神奈川科学技術アカデミー)が「研究にはセンス、雰囲気、そしてプラスαが大切〜TiO2光触媒を例にして」と題し講演した。同氏の長年の数々の研究実績を振りかえり、研究に必要な条件として、センス(ひらめき、独創性、融通)、環境、プラスα、評価などをあげた。また、しっかりした基礎、広い教養、旺盛な好奇心、発想の逆転などの必要性についても具体的な例を挙げて説明した。「研究の評価は重要である。特許や論文などのアウトプットだけでなく、世の中に役に立つ新しい概念や製品などのアウトカムについて多くの関係者は意識すべきである」と、力のこもった指摘をした。

田中一宜氏(科学技術振興機構研究開発戦略センター/産業技術総合研究所)の演題は「ナノテクノロジー国家戦略の内外展望5年の成果と期待」である。ナノテクの研究開発に関する取組みについて、日・米・EU・アジア(中国、韓国、台湾)の予算、戦略・支援政策、成果などの定量的な比較を行い、また、各地域の代表的なプログラムを概説した後、日本の状況について述べた。ナノテクが科学技術基本計画の中で重点推進分野に特定されてから国の支援体制が整ってきたこと、特に、府省連携が徐々に進んだことが駆動力になろうとしていると分析した。しかし、自己組織化や表面・界面科学などの長期的な基礎研究の弱さ、中・長期的な教育、人材育成プログラム・デザインの甘さ、学際的交流の場としてのユーザファシリティに対する認識不足のような課題点を指摘した。最後にこれらの課題を解決するために、いくつかの提言をした。特に、「独法化により可能となったトップマネージメント(裁量権)を使い切って欲しい。それによってわが国が更に元気になることができる」と締めくくった。

休憩の後、中西準子氏(産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター)から、「ナノ技術のリスク評価・管理に関する研究」と題する講演があった。新技術には新しいリスクがあり、その評価が必要なスペックの一つであることを基本とし、この考えで現在取り組んでいるNEDOプロジェクトについて、その基本構造、研究組織、研究要素、進め方とその根拠について説明があった。また、米国での取り組みの現状を紹介するとともに、これと対比させて、産総研がこの研究で狙いとする科学的解明の持つ意義を説明した。

20日の夕方にはポスターセッションが設けられ、国の施策に基づくプロジェクトを実施中の若手研究者から最新の成果合計78件の発表があり、多くのサイトで参加者が群がる光景があちこちに見られた。

21日には3つのセッションが行われた。各セッションのテーマはセッション1がナノバイオテクノロジーとその医療応用、セッション2はナノ材料からナノデバイスへの革新、セッション3はナノデバイスが拓く新しい情報通信技術である。第一線で活躍中の内外の研究者からの合計9件の招待講演は、研究者のみならず多くの関係者を釘付けにし、また、ナノテクの幅広い展開に胸ふくらむ人も多かったことであろう。

(nanonet 豊蔵 信夫、北村 孝雄)