画像:内部空間に有機分子が挿入されたカーボンナノチューブの構造模式図 (東北大学岩佐義宏教授らのカーボンナノチューブと有機分子の複合材料の研究から、岩佐教授の許可を得て掲載)
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               ▼▼ Japan Nanonet Bulletin ▼▼ 
                          第2号(2003/1/21)
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☆発行:文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター


□目次 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 □ ナノネットインタビュー
   北九州市立大学副学長
   理化学研究所フロンティア研究システムグループディレクター
   国武 豊喜 氏
                           
 □ 研究者通信
   通信総合研究所関西先端研究センター主任研究員
   横山 士吉 氏

 □ ナノインフォ:
   EUの研究5ヵ年計画
   計画促進のため秘策を導入

 □ ナノインフォ:
   日本版ナノイニシアティブが結成
   京都ナノテククラスター本部事業総括 田崎 央 氏

 □ ナノカレンダー

 □ 次号予告

 □ 事務局より

□ナノネットインタビュー ――――――――――――――――――――――――――
―― 生体材料に学ぶ 〜時空間機能をナノテクで実現〜 ――
 北九州市立大学 副学長
 理化学研究所 フロンティア研究システム グループディレクター 
 国武 豊喜 氏

 ナノメートルの厚さの超薄膜を精密に作る技術は生体物質、有機・無機化合
物、金属、ナノ粒子などすべてに求められる手法になってきた。国武氏はこの
超薄膜作製技術を駆使して、まったく新しいナノ材料「時空間機能材料」の開
発を目指している。

 これは、わかりやすく喩えれば「生体らしさを持つ材料を人工的に作ること」。
ヒトの体を構成する細胞や皮膚、骨などは常に生まれ変わり、再生したものは
機能も性質もまったく変わらない。同じ材料であっても、時間とともに変わり、
しかも再生している。生体材料が持つユニークな性質、「空間的な構造」と
「時間的な要素」を兼ね備えた人工材料が時空間機能材料なのだ。

 生体材料は複雑かつ精密に組み立てられている。時空間機能材料も同じだ。
それを実現するために、原子・分子の世界から攻めるナノテクを使って挑戦中。
理化学研究所が次代を見据えて展開するフロンティア研究の一環として、「局
所時空間機能」、「散逸階層構造」、「励起子工学」、「トポケミカルデザイ
ン」といった4つのテーマを立ち上げた。国武氏はこれら4つの研究チームを
統括するグループディレクターである。

 トポケミカルデザイン研究のチームリーダーも兼務している国武氏に薄膜開
発の具体的なアプローチを聞くと、「1つは分子の形を利用したナノ材料を作
ること」。分子を他の物質で囲んで固め、化学処理して分子だけを除去すると、
分子がもともと存在していた形(穴=鋳型)ができる。この穴を使うと複雑な
形の分子を選択的に捕まえたり、取り出したりできる。トポとは「形」のこと
で、実際に複雑形状のナノ中空構造を作製する技術を手に入れ、ナノメートル
レベルの中空構造を設計できるところまできている。「こうした形をもっと精
密に設計するのが大きな目標。その応用がナノの厚みの超薄膜研究で最もおも
しろいところ」と強調する。

 国武氏は九州大学の出身。高分子から薄膜研究に移行し、水中に溶かすだけ
で自然に膜の形に並ぶ自己組織化の性質を持つ合成二分子膜を開発した。この
材料は医薬品や遺伝子、DNAなどを目的の場所に運ぶ「運び屋」として使われ
ている。自己組織化膜は薄膜作製の有力な技術と位置づけられているが、合成
二分子膜はその端緒を開いた成果で、最近の学士院賞受賞にも結びついた。こ
れらの基礎技術が時空間機能材料開発の核になっている。

                                                  (聞き手:筑紫 新)
 WEBページにより詳しい情報があります。下記を是非ご覧ください
 http://www.nanonet.go.jp/japanese/mailmag/2003/002a.html

□研究者通信 ―――――――――――――――――――――――――――――――――
―― 分子ボトムアップ的方法による材料科学の新展開 ――
 独立行政法人通信総合研究所 関西先端研究センター 主任研究員
 横山 士吉 氏

 光電子機能性分子分野における有機分子の最も大きな特徴は、その電子構造
を幅広くコントロールできることである。その電子的性質は、分子間相互作用
をも誘起するため、自己組織化構造で代表されるような独特のアッセンブリー
形成も可能にしている。

 我々の目指している研究は、分子個々の性質を知ることによって、ナノメー
トルスケールの分子の配列やサブマイクロメートルスケールの高次元性構造の
構築を行うこと、さらにその結果もたらされる新たな特性を応用として展開す
ることである。

 最近の研究結果の例として、分子に水素結合性や静電相互作用を持つ“手”
を合成化学的方法で取り付けると、分子ワイヤーや分子プロペラなどの
selective-assemblyを形成することを見つけた。そこには、精密な分子の化学
的ルールがあることも明らかになりつつあり、分子エレクトロニクスや分子
フォトニクス分野への展開をはかっている。

 ナノメートルサイズの分子をマイクロメートル空間まで数千倍ボトムアップ
するのは、それほど容易ではない。その方法として分子間相互作用の“手”を
解くことによって個々の分子をスケールアップする研究を行っている。そのた
めにデンドリマーと称する高分子の器を用意して、この中に分子を閉じこめる
分子キャビティを考案した。色素の発光をゲインとした光増幅に関する研究で
は、光学部品を使わなくても容易にレーザー光が得られることを示し、簡便な
3次元マクロ構造の作製などの研究展開を行っている。
 WEBページにより詳しい情報があります。下記を是非ご覧ください。
 http://www.nanonet.go.jp/japanese/mailmag/2003/002b.html

□ナノインフォ ――――――――――――――――――――――――――――――――――
―― EUの研究5ヵ年計画:――
計画促進のため秘策を導入

 前号で紹介したように、EU (European Union) は、各国の研究ならびに科学
的ネットワークを本質的により統合化することを目指した第6次研究フレーム
ワークプログラム (The Sixth Framework Programme for European Research
& Technological Development, FP6、2002年〜2006年)を昨年開始した。

 FP6の一番のねらいは、この計画を通してEuropean Research Area (ERA) を
実現することにある。ERAとは、FP5まで独立に行われていた各国の研究プログ
ラムをひとつのEUプログラムに統合し、研究と技術革新の共同市場 (Common
Market) を創出しようという構想である。ERAの構築は、EUを「世界で最もダ
イナミックでかつ競争力のある知識に基づいた経済をこの10年以内に実現する」
という Lisbon Strategy(2000年3月)の中心的な課題と位置付けられている。

 FP6ではナノテクノロジーを含む重点7分野が設定されており、それを促進
するために新たな施策が二つ導入される。Integrated Projects (IP) と
Networks of Excellence (NE) がそれだ。

 IPは、各国に分散する研究資源をEU規模で流動化・統合することによって、
新しい知識を生み出す目的指向型の研究を支援しようとするものである。基礎
から応用までいくつかのテーマにまたがり、3カ国以上の参加で3〜5年の期
間にわたって実施される。

 NEは、ひとつのテーマについて、各国に分散する研究資源や知識をネットワ
ーク化して取り組み、より大きな成果をあげようという構想である。Joint
Programme of Activities (JPA) を実施し、情報共有、人材交流、設備共用を
通してNEを実現する。3カ国以上から6つ以上の研究機関の参加を想定し、大
きいネットワークでは数百人の研究者の参加を見込む。研究期間は5〜7年間
で、研究資金の目安は、100人で200万ユーロ/年、500人で500万ユーロ/年、
1000人超で600万ユーロ/年とされている。

 ナノテクノロジー分野のIPとNEについては2.6億ユーロが充てられる予定で、
昨年12月17日に公募が開始され、2月26日の一次選考を経て、6月24日に最終的
にテーマが決定される予定。

 EU加盟国(15ヶ国)と加盟候補国(12ヶ国)でIPとNEへの参加意志について
事前調査が行われ、重点7分野について8500を超える回答が寄せられている。
ナノテクノロジー分野での回答は約1200で、100を超える回答があったのは
6ヶ国。加盟国のドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スペイン、加盟候
補国のポーランドで、いずれもこの分野への関心の高さがうかがわれる。
 FP6におけるナノテクノロジー
 http://europa.eu.int/comm/research/fp6/p3/index_en.html

□ナノインフォ ――――――――――――――――――――――――――――――――
―― 日本版ナノイニシアティブズが結成 ――
京都ナノテククラスター本部 事業総括
田崎 央 氏

 米国のNNI (National Nanotechnology Initiative) から名を借りて、日本
でも「ナノイニシアティブズ」を立ち上げようという気宇広大な計画がある。
去る12月10日に京都でその旗上げ式があった。

 前号で紹介した「知的クラスター創成事業」のほか、文部科学省は「都市エ
リア産学官連携促進事業」を平成14年度より開始した。本事業は、個性発揮を
重視し、都道府県の都市エリアにおいて、大学等の「知恵」を活用し新技術シ
ーズを生み出し、新規事業等の創出、研究開発型の地域産業の育成等を目指し、
産学官連携事業の促進を図るものである。事業期間は3年間で、予算規模は1地
域当たり年間 6千万円〜1億4千万円程度を予定している。本事業を実施する
19地域のうち、実に 7地域がナノテクノロジーを事業内容として選んでいる。

 この7地域と「知的クラスター創成事業」の3地域を合わせ、ナノテクノロジ
ーを標榜する10地域がグループを編成して、「ナノイニシアティブズ」の名の
もとに、ナノテクノロジーに関する情報交換・相互扶助を行おうと、京都地域
が呼びかけた。

 まずは情報交換から始めて、最終的には相互の事業連携を目論んでいる。地
域持ち回りで定期的に会合を開き、開示可能な研究開発成果、技術移転成果、
事業成果の相互発表や、産学連携を促進するアイデアについての議論を進める。

 ナノテクノロジーの啓発もミッションのひとつ。サイエンス離れの著しい学
生・生徒や市民に対して、ナノテクノロジーをやさしく伝える教材として著作
権的に問題のないグラフィックコンテンツやアニメーションを集め、全メンバ
ーで共有する考えだ。手始めに、この3月には小学校高学年を対象とした春休
み教室を開く。

 国内外の機関とアライアンスを組む計画もある。相手として、文部科学省ナ
ノテク総合支援プロジェクトセンターや経済産業省の「産業クラスター計画」
のナノグループをはじめ、 アジア・ビジネス・インキュベーション協会
(Association of Asian Business Incubation [AABI])を通してアジア全域
のナノも視野に入れている。
 京都ナノテククラスター
 http://www.astem.or.jp/kyo-nano/index.html

□ナノカレンダー ――――――――――――――――――――――――――――――
☆第1回ナノテクノロジー総合シンポジウム(JAPAN NANO 2003) 
  文部科学省では、平成14年度から新世紀重点開発研究創世プランとして、
 「ナノテクノロジー総合支援プロジェクト」を開始し、その総合運営を独立
 行政法人物質・材料研究機構に委託して、産学官の研究者の分野を超えた
 横断的な研究交流を積極的に推進することとしています。
  この度、本プロジェクトの一環として、我が国のナノテクノロジーに関す
 る様々な分野の中長期的な研究開発を、第一線の研究者がわかりやすい形で
 発表する、第1回ナノテクノロジー総合シンポジウムを開催する運びとなり
 ました。広い分野にわたる、我が国最先端のナノテクノロジー研究開発の現
 状を、講演とポスターで発表し、分野を超えた研究交流に資する目的です。

【会議名】第1回ナノテクノロジー総合シンポジウム
【期 間】2月3日〜4日
【場 所】東京ファッションタウン(東京,江東区有明)
【主 催】文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター
【詳 細】http://www.nanonet.go.jp/japanese/event/index_notice.html

☆ナノカレンダー 2003年1月27日〜2月2日 国内開催分
 国外開催分、その他の期間等は
 http://www.nanonet.go.jp/japanese/calendar/index.php
 をご参照ください。

【会議名】平成14年度第IV期教育講座「ナノテクノロジーの最前線コース」
【期 間】1月27日〜3月4日(計9日間)
【場 所】かながわサイエンスパーク(KSP)内研修室(川崎,高津区)
【主 催】神奈川科学技術アカデミー
【詳 細】 http://home.ksp.or.jp/kast/edu/H14_4/14_4-1.pdf
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【会議名】トップダウン型〜ナノテクノロジーシンポジウム
【期 間】1月28日〜30日
【場 所】三田NNホール(東京,港区)
【主 催】(社)日本能率協会
【詳 細】 http://school.jma.or.jp/nano/
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【会議名】計算科学技術活用型特定研究開発推進事業(ACT-JST)
     研究開発終了シンポジウム
【期 間】1月29日
【場 所】日本科学未来館7階みらいCANホール(東京,江東区)
【主 催】科学技術振興事業団
【詳 細】 http://ppd.jsf.or.jp/shinko/actjst/index.html
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【会議名】第20回プラズマプロセシング研究会(SPP-20)
【期 間】1月29日〜31日
【場 所】ホテルニューオータニ長岡(新潟,長岡市)
【主 催】応用物理学会プラズマエレクトロニクス分科会
【詳 細】 http://etigo.nagaokaut.ac.jp/~spp20/
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【会議名】新技術説明会 〜研究成果の実用化に向けて〜
【期 間】1月30日〜31日
【場 所】科学技術振興事業団 東京本部サイエンスプラザ(東京,千代田区)
【主 催】科学技術振興事業団
【詳 細】 
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【会議名】第289回講習会「“新モノづくり時代”を切り開くレーザ加工技術」
【期 間】1月31日
【場 所】江戸川区総合区民センター4階研修室(東京,江戸川区)
【主 催】(社)精密工学会
【詳 細】 http://www.jspe.or.jp/osirase/kaikoku/289.html
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■訂 正■ (下記は主催が間違っていましたので再掲載致します)
【会議名】国際若手セラミストのためのナノテクシンポジウム
【期 間】1月22日〜23日
【場 所】ホテルウェルビューかごしま(鹿児島市)
【主 催】☆文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター、
     日本セラミックス協会基礎科学部会
【詳 細】 http://www.hojo-lab.cstf.kyushu-u.ac.jp/csj/

□次号の予定 ――――――――――――――――――――――――――――――――
Japan Nanonet Bulletin の第3号は1月28日(火)に発行の予定です。
第3号では、ナノネットインタビューとして、東京工業大学長の相澤益男氏に
ナノテクノロジーについてお伺いします。

また、若手研究者の紹介では、理化学研究所フロンティア研究システムでご活
躍の藤川茂紀氏をご紹介いたします。

他にもナノインフォ、ナノカレンダー等をお届けする予定です。

□事務局より ――――――――――――――――――――――――――――――――
 文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンターでは、ナノテクノ
 ロジー研究者の分野・業種を超えた情報交流・コラボレーションを促進するた
 めに、ナノテクメールマガジン Japan Nanonet Bulletin を毎週配信いたし
 ます。

 Japan Nanonet Bulletin プライバシーポリシーにつきましては下記をご参
 照ください。
 http://www.nanonet.go.jp/japanese/mailmag/policy.html

 web上での配信のお申し込みは
 http://www.nanonet.go.jp/japanese/mailmag/index.html
 配信アドレスの変更及び配信停止は
 http://www.nanonet.go.jp/japanese/mailmag/upd_del.html
 よりお願い致します。

 私ども編集担当一同、皆様のご協力を得、発刊してゆく所存でございますので、
 どうぞご愛読下さいますようお願い申し上げます。

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☆発行・運営 文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター
☆nanonet ホームページ http://www.nanonet.go.jp
☆お問い合わせ・ご意見は mag@nanonet.go.jp
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Copyright(c) 2003, Nanotechnology Researchers Network Center of Japan,
All Rights Reserved.


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