画像:内部空間に有機分子が挿入されたカーボンナノチューブの構造模式図 (東北大学岩佐義宏教授らのカーボンナノチューブと有機分子の複合材料の研究から、岩佐教授の許可を得て掲載)
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Japan Nanonet Bulletin 第12号 : 2003年 4月 1日

研究者通信

宮本 恭幸 氏
宮本 恭幸(みやもと やすゆき)氏
東京工業大学大学院 理工学研究科 電子物理工学専攻 助教授
1988 東京工業大学 理工学研究科 電子物理工学施工 博士課程修了
東京工業大学 工学部電気電子工学科 助手
1992 東京工業大学 工学部電気電子工学科 助教授
1994
-1995
米国AT&Tベル研究所勤務
2002 現職
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東京工業大学大学院 理工学研究科 電子物理工学専攻 助教授
宮本 恭幸 氏

InP系電子デバイスの新構造による高速化

電子デバイスとして最も速い遮断周波数を示しているInP系材料では、シリコンに較べて4-6倍の400-600km/sの電子走行速度を実現できているが、デバイスとしての動作速度では、電子速度ほどの差がシリコンに対して示されていないのも事実である。

そこで、我々はInP中の電子走行速度を生かすための構造を導入することで高速デバイスの実現を図っている。

その一つは、寄生容量を極限まで落とす為に半導体中に金属細線を埋め込んだ構造(図1)の導入である。電子ビーム露光装置と有機金属気相成長装置を用いて作製した金属細線をコレクタとするヘテロ接合バイポーラトランジスタでは、高周波特性から見積もった総ベースコレクタ容量において世界最小値を実現している。また寄生容量がない場合には素子の微細化が高速化と直結することから、幅 100nmの世界最小幅のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(図2)も作製している。

さらに、全走行領域での高速化を企図して、ヘテロ接合トンネルエミッタと微細金属細線の組み合わせにより真性半導体中にホットエレクトロンを引き出す新トランジスタを提案し、その試作も行っている。この新トランジスタでは、エミッタ幅を 20 nm程度にすることで遮断周波数1THzの実現も可能と予想される。この 20nmという大きさは 12nmライン&スペースを実現している我々の電子ビーム露光技術では十分達成可能な大きさである。


図1. 図1.
幅100nmのタングステン細線をヘテロ接合バイポーラトランジスタ用層構造に埋め込んだ試料断面の走査型電子顕微鏡像。金属細線の直上でも平坦なGaInAs/InPヘテロ界面が確認できる。
図2. 図2.
100nm幅(長さ10μm)のエミッタを持つヘテロ接合バイポーラトランジスタの走査型電子顕微鏡像。1μAの低電流でも20の電流利得が確認できる。

関連論文:
  1. Arai, T., Yamagami, S., Miyamoto, Y., & Furuya, K.
    Reduction of Base-Collector Capacitance in Submicron InP/GaInAs Heterojunction Bipolar Transistors with Buried Tungsten Wires.
    Jpn. J. Appl. Phys. 40[7B] L735-L737 (2001).
  2. 宮本恭幸、古屋一仁
    InP系ヘテロ接合バイポーラトランジスタの高速化技術.
    応用物理 71(3) 285-294 (2002).
  3. Miyamoto, Y., Yamamoto, R., Maeda, H., Takeuchi, K., L.-E. Wernersson, & Furuya, K.
    InP Hot Electron Transistor with a Buried Metallic Gate for Electron Emission
    60th Annual Device Research Conference, III-20, Santa Barbara, CA, June, 2002.