触媒反応化学分野 助教授
科学技術振興事業団 さきがけ研究21「光と制御」 研究員
鳥本 司 氏
光エッチングによる新規コア・シェル構造ナノ複合材料の創製
金属および半導体ナノ粒子をそれとは異なる材料で被覆したコア・シェル構造体は、コアとなる粒子のサイズや形状を変化させることなく機能化でき、さらにコアとシェルのいずれの材料とも異なる特性の発現が期待できるために、高活性触媒や新規光機能性材料として注目されている材料である。我々のグループでは、半導体ナノ粒子を対象としてそのコア・シェル構造体を作製し、さらにサイズ選択光エッチング法を用いて構造を精密に制御することにより新規ナノ複合材料の開発を行っている。
サイズ選択光エッチング法は、我々のグループが独自に開発した単分散半導体ナノ粒子の作製法であり、半導体ナノ粒子の量子サイズ効果(a)と、金属カルコゲナイド半導体の光酸化溶解反応(b)を利用する方法である(図1)。すなわち、広い粒径分布を有する半導体ナノ粒子に、その吸収端の波長よりも短い波長の単色光を照射することで、粒径の大きな半導体ナノ粒子のみを選択的に光励起し溶解させ、より小さな粒子へと粒径をそろえる方法である(c)。このサイズ選択光エッチング法をシリカ被覆硫化カドミウムナノ粒子(CdSコア−SiO2シェル構造)に適用すると、その拡散反射スペクトルは短波長側にシフトした(図2)。TEM観察から、構造体におけるSiO2シェルサイズは光照射前後でほとんど変化がないのに対し、CdSコアサイズは単色光照射により減少することが確認され、シェルとコア粒子の間にナノメーターサイズの空隙が形成されることがわかった。空隙サイズの制御は、照射光波長を変化させてCdSコアサイズを制御することにより可能であった。我々はこの新規構造体をシングルベル型ナノ構造体と名付けている。
現在、構造体の内部空隙を利用して、新規触媒反応の開発および金属ナノ粒子の析出による金属―半導体ナノ接合形成へと研究を展開している。
関連論文:
- Miyake, M., Torimoto, T., Sakata, T., Mori, H. & Yoneyama, H.
Photoelectrochemical Characterization of Nearly Monodisperse CdS Nanoparticles-Immobilized Gold Electrodes.
Langmuir 15, 1503-1507 (1999). - Torimoto, T., Kontani, H., Shibutani, Y., Kuwabata, S., Sakata, T., Mori, H., & Yoneyama, H.
Characterization of Ultrasmall CdS Nanoparticles Prepared by the Size-Selective Photoetching Technique.
J. Phys. Chem. B 105, 6838-6845 (2001). - Torimoto, T., Reyes, J.P., Iwasaki, K., Pal, B., Shibayama, T., Sugawara, K. Takahashi, H. & Ohtani, B.
Preparation of Novel Silica-Cadmium Sulfide Composite Nanoparticles having Adjustable Void Space by Size-Selective Photoetching.
J. Am. Chem. Soc. 125, 316-317 (2003).



