科学技術振興事業団 さきがけ研究21「組織化と機能」研究員
(2000/10-2003/9)
Olaf Karthaus 氏
自己組織化を用いた光機能性材料のマイクロドーム作製
ナノテクノロジーは、光学とエレクトロニクスの多くの分野で重要な役割を担っている。太陽電池、発光ダイオード、ケミカルセンサーやバイオセンサーなどは、ナノメートルサイズの粒子、結晶、フィルムから構成される機能性材料が用いられている代表例である。最近、これらのデバイスに有機化合物が使用されるようになり、有機材料のナノ構造がデバイスの機能にとって極めて重要なものであることが明らかになった。
本研究では、基板上に形成されたいわゆる「マイクロドーム」中に閉じ込められた光機能性分子の配向性と凝集体の構造をナノスケールで制御する新しい手法を開発し、ナノ構造有機材料の光学特性を評価している。マイクロドームは希薄溶液のキャスティングにより容易に形成される。我々は、キャスティングされた溶液の「ディウェッティング(dewetting)」という自己組織化によって、均一な配列の、狭いサイズ分布を持ったドームを作製することに成功した。ディウェッティングの条件によってドームサイズは直径200nm〜50μmの間で制御できる。このドームの高さは常にドームの直径の5〜10%となる特徴がある。
ディウェッティングは純粋に物理的プロセスであり、一般的に使用できるため、多くの異なった化合物を用いて様々なマイクロドームを作製することができる。また我々は、キャスティング後の処理により、異なった構造の凝集体(アモルファス、単結晶、多結晶、ファイバー)をマイクロドーム内に作製することに成功している。顕微分光器を用いた分析の結果では、マイクロドームの光学特性は、多くの場合、その内部の化合物の凝集状態によって決まり、また、マイクロドームのサイズに左右されることもあることが分かってきた。
我々の研究グループは、この新たに開発されたナノパターン化や凝集体形成の制御技術を用いて、現在、有機合成化学やデバイス工学の分野との共同研究により、有機発光ダイオードなどの新たなデバイス開発に取り組んでいる。
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| 図1. 拡大 |
アモルファス状態のテトラフェニルベンジジンのマイクロパターン光学顕微鏡写真。 マイクロドームの直径は1ミクロン、ドーム間の距離は5ミクロン。 |
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| 図2. 拡大 |
ポリスチレンマイクロドーム中のイソシアニンJ−会合体の蛍光顕微鏡写真。 J−会合体は選択的にドーム中に形成されている。ドームの直径は10ミクロン。 |
関連論文:
- 加賀 和明、岡本 潔、知場 亮太、カートハウス オラフ
マイクロメートルサイズのポリマー“ドーム”中のシアニン色素J会合体のサイズ効果.
高分子論文集 59, 661-664 (2002) - Karthaus, O. & Kawatani, Y.
Hierarchic Mesoscopic Patterns of Dye Aggregates in Self-Organized Dewetted Films.
in "Nonlinear Dynamics in Polymeric Systems", ACS Symposium Series No. 869; Pojman, J. A.; Tran-Cong-Miyata, Q. Eds.( American Chemical Society, Washington, DC, 2003) - Karthaus, O. & Kawatani, Y.
Self-Assembly and Aggregation Control of Cyanine Dyes by Adsorption onto Mesoscopic Mica Flakes.
Jpn. J. Appl. Phys. 42, 127-131 (2003)

