画像:内部空間に有機分子が挿入されたカーボンナノチューブの構造模式図 (東北大学岩佐義宏教授らのカーボンナノチューブと有機分子の複合材料の研究から、岩佐教授の許可を得て掲載)
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Japan Nanonet Bulletin 第49号 : 2004年1月13日

研究者通信

居城 邦治 氏
居城 邦治(いじろ くにはる)氏
北海道大学 電子科学研究所 電子機能素子部門 助教授
科学技術振興事業団さきがけ研究21「変換と制御」研究員(2000/10-2003/9)
1963 東京都生まれ
1986 東京工業大学卒業
1988 東京工業大学修士
1991 東京工業大学博士
1991
〜1992
日本学術振興会特別研究員
1992 東京工業大学助手
1993
〜1994
ドイツ・フンボルト財団博士研究員(マインツ大学)
1994
〜1998
北海道大学講師
1994
〜1997
科技団さきがけ研究21研究員(場と反応)
1998
〜現在
北海道大学助教授
2000
〜2003
科技団さきがけ研究21研究員(変換と制御)
E-mail:
ホームページ
北海道大学 電子科学研究所 電子機能素子部門 助教授
科学技術振興事業団さきがけ研究21「変換と制御」研究員(2000/10〜2003/9)
居城 邦治 氏

DNA−金属ハイブリッドからなるナノ細線の作製

ナノテクノロジー研究において自己集合や自己組織化を用いたボトムアップ手法は省エネルギーな微細加工技術として注目されている。我々はDNAのひも状構造に基づく新規な微細加工技術の開発を行っている。

DNAは遺伝情報を保持する生体分子であるが、高分子化学の観点から眺めるとモノマーであるヌクレオチドの配列と分子量が精密に制御されている高分子でおり、核酸塩基間の分子認識により二重らせん構造を有する超分子でもある。

DNAはアニオン性高分子電解質なので、DNA水溶液の表面にカチオン性両親媒性化合物を展開すると、静電的な相互作用により気水界面にDNA−両親媒性化合物ポリイオン複合体単分子膜を形成する。我々はラングミュアー−ブロジェット(LB)法によって、水中から基板を引き上げてこの単分子膜を移し取ることで、基板の引き上げ方向に平行にDNAを1分子ずつ伸長して固定化できることを発見した。

さらに伸長固定化したDNAを選択的に無電解メッキすることで、幅約50nm、高さ約20nmの銀のナノ細線を作製できることを見出した。細線の長さはDNAの分子量に依存して可変することができる。このような微細構造を有する高分子−金属ハイブリッドはナノデバイスやナノセンサーに応用できる。

今後、分子認識を利用したナノ細線のアドレッシング制御が可能になれば、本手法は従来のリソグラフィー法に代わる微細加工技術になると期待される。


図1.
図1. 拡大
気水界面におけるDNA-カチオン性両親媒性化合物ポリイオン複合体単分子膜の形成とLB法による基板への移し取りの模式図
図2.
図2. 拡大
(左)ガラス基板に移し取ったDNA-カチオン性両親媒性化合物ポリイオン複合体単分子膜の蛍光イメージ(DNAを蛍光色素で標識してある)と(右)DNAを鋳型とした銀ナノ細線のAFMイメージ(イメージサイズは4µmx4µm)

関連論文:
  1. Kago, K., Matsuoka, H., Yoshitome, R., Yamaoka, H., Ijiro, K. & Shimomura, M. Direct in Situ Observation of a Lipid Monolayer-DNA Complex at the Air-Water Interface by X-ray Reflectometry.
    Langmuir 15, 5193(1999).
  2. Matsuo, Y., Ijiro, K. & Shimomura, M.
    Stretching of Single DNA Molecules by Langmuir?Blodgett Method.
    Int. J. Nanoscience 1, 695-699 (2002).
  3. Shimomura, M., Mitamura, R., Matsumoto, J. & Ijiro, K.
    DNA-mimetics: towards novel molecular devices having molecular information.
    Synthetic Metals 133-134, 473-475 (2003).