画像:内部空間に有機分子が挿入されたカーボンナノチューブの構造模式図 (東北大学岩佐義宏教授らのカーボンナノチューブと有機分子の複合材料の研究から、岩佐教授の許可を得て掲載)
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Japan Nanonet Bulletin 第57号 : 2004年3月9日

研究者通信

信州大学繊維学部 機能高分子学科 助教授
科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業さきがけタイプ「組織化と機能」研究者
木村 睦 氏

デザインされたディスク状化合物の自己組織化とナノデバイスの構築

自己組織化においては分子は自発的に集合化し、種々の形態の組織体となる。組織体の形態は、分子の形また集合化する際の分子間相互作用をデザインすることによって変化する。本研究では分子の形が円盤状の化合物群に特に注目し、円盤状化合物の形成する自己組織体を用いたナノデバイスの構築を目的とし研究を進めている。

トリフェニレン・ポルフィリン・フタロシアニンなどのπ共役の発達した円盤状物質は分子間の強いπ-π相互作用によって1次元のカラムを形成する。さらに、円盤状化合物周辺に柔軟なアルキル基を導入すると液晶性を示し、カラムが2次元的に組織化された超分子構造を形成する。また、円盤状化合物の積み重なったカラム内では高速な電子・ホールの輸送が可能であることが報告されている。したがって、円盤状化合物の積み重ね方を精密に制御することができれば、ナノケーブルとして機能させることができる。そこで、本研究では種々の円盤状化合物を合成し、それらの自己組織化および形成された組織体について検討を進めている。

我々はその中で、両親媒性金属フタロシアニン錯体を合成し、この分子の作るカラム状組織体を鋳型とした有機・無機複合体の作製を試みた。両親媒性金属フタロシアニン錯体を溶解させた水溶液中でテトラエトキシシランのゾルゲル重合を行ったところ、カラム状組織体の周りで無機物の重合がおこり、高密度に組織体を含む有機・無機複合体を得ることができた。無機物の壁で有機物の組織体を覆うことにより、組織体は熱や溶剤に対し安定となり、さらにカラム1本ずつに単離することができた。現在、この有機・無機複合体の薄膜化およびカラム内の電子・ホール輸送能について検討を行っている。

木村 睦 氏
木村 睦(きむら むつみ)氏
信州大学繊維学部 機能高分子学科 助教授
科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業さきがけタイプ「組織化と機能」研究者
 
1995  信州大学繊維学部 助手
2001  科学技術振興事業団 さきがけ研究21「組織化と機能」領域研究員兼務
2003 信州大学繊維学部 助教授
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図1
図1. 円盤状化合物の自己組織化過程 拡大
図2
図2. カラム状組織体を含む有機・無機複合体 拡大