画像:内部空間に有機分子が挿入されたカーボンナノチューブの構造模式図 (東北大学岩佐義宏教授らのカーボンナノチューブと有機分子の複合材料の研究から、岩佐教授の許可を得て掲載)
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Japan Nanonet Bulletin 第58号 : 2004年3月16日

研究者通信

東レ株式会社 先端融合研究所 研究員
科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけタイプ「組織化と機能」研究者
中村 史夫

自己組織化単分子膜を用いたDNAセンサーの構築

近年、テーラーメイド医療や遺伝子診断を目指したDNAセンサーに関する研究・開発が精力的に行われている。しかし、既存の手法ではセンシングの感度および再現性の面において十分とは言い難い。筆者らは、高感度・高精度なDNAセンサーを構築するために、固体基板上にプローブ部位を有する自己組織化単分子膜(SAM)を構築することに成功した。このナノレベルに制御された単分子膜は一本鎖部分と二本鎖部分を持つDNAから成り、このDNAの1本鎖部分をプローブ部位としたり、また複数のプローブDNAを結合することにより、活性を維持したままの一本鎖プローブDNAの固体基板上への固定化が可能となる。

筆者らはこれまで3つの新規DNAハイブリダイゼーション法に成功している。

  1. プローブDNA-SAMを用いたDNAハイブリダイゼーション法(図1.参照)
  2. プローブDNA-アントラセン含有SAMを用いたDNAハイブリダイゼーション法
  3. 1つのプローブDNA分子において、複数の一本鎖プローブ部位を有する“ブランチ型プローブDNA”を持つSAMを用いたDNAハイブリダイゼーション法(図2.参照)

これら新規のDNAハイブリダイゼーション法と表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いた検出法とを組み合わせることにより、蛍光ラベリングすることなく、検体DNAの高感度検出に成功した。現在、上記手法によりDNAアレイを作製し、SPR顕微鏡を用いたDNAアレイの多点同時観察によるさらなる高効率な検出・解析の検討を行っている。(図3.参照)

中村 史夫
中村 史夫 (なかむら ふみお)
東レ株式会社 先端融合研究所 研究員
科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけタイプ「組織化と機能」研究者
 
1998  北海道大学大学院理学研究科化学専攻 博士課程 修了
博士(理学)取得
1998  理化学研究所 基礎科学特別研究員
2001 理化学研究所 フロンティア研究員
科学技術振興事業団 さきがけ21研究 研究員(兼任)
2002 東レ株式会社 研究員
理化学研究所 非常勤フロンティア研究員(兼任)
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図1 図1.
一本鎖部分と二本鎖部分を持つプローブDNAから成るDNA単分子膜と検体DNAとのハイブリダイゼーション
図2 図2.
金属固体基板上におけるブランチ型プローブDNAを用いた検体DNAとのハイブリダイゼーション
図3 図3.
SPR顕微鏡によるDNAアレイ上でのハイブリダイゼーションの多点同時観察。明るいアレイの部分にはプローブDNAが固定化されており、検体DNAとのハイブリダイゼーションが起ったことを示す

関連論文:
  1. Nakamura, F., Mitsui, K., Hara, M. Kraemer, S., Mittler, S. & Knoll, W.
    Preparation of Self-Assembled Monolayer Containing Anthryl Groups toward Hybridization of Nucleotides.
    Langmuir 19, 5823-5829 (2003).
  2. Nakamura, F., Ito, E., Sakao, Y., Ueno, N., Gatuna, I. N., Ohuchi, F. S. & Hara, M.
    Preparation of Branched DNA Self-Assembled Monolayer Toward Novel DNA Biosensors.
    Nano Letters 3, 1083-1086 (2003).