画像:内部空間に有機分子が挿入されたカーボンナノチューブの構造模式図 (東北大学岩佐義宏教授らのカーボンナノチューブと有機分子の複合材料の研究から、岩佐教授の許可を得て掲載)
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Japan Nanonet Bulletin 第107号 : 2006年2月22日

ナノインフォ

第4回ナノテクノロジー総合シンポジウム(JAPAN NANO 2006) 開催報告


講演風景
(Issued in English: March 30, 2006)

第4回ナノテクノロジー総合シンポジウムが2月20日(月)午後及び21日(火)の2日にわたって、東京ビッグサイトのコンファレンスタワーで開催され、900名余が参加した。オープニングセッションでは、河本三郎文部科学副大臣からナノテクノロジーに対する支援と期待の言葉があった。岸輝雄組織委員長から本シンポジウム開催の主旨、続いてnano tech 実行委員長川合知二大阪大学教授からナノウイーク全体の催しについて説明があった。



プレナリーセッションでは、以下の3人の示唆に富む講演が行われた。

有馬朗人日本科学技術振興財団会長が「基礎科学は新しい技術の母である」と題し講演した。基礎科学の発展が新しいテクノロジーを生んだ事例(岩崎先生の垂直磁化、白川先生の導電性高分子、野依先生の不斉合成の研究)から、研究が実用化という実を結ぶまでに、30~40年を要することを示し、研究には時間が掛かることを政治家、官僚のトップに理解して欲しいと訴えた。研究が、本質的には自由な独創的な発想に基づくべきものであるとし、応用の観点では目利きによる適切な評価と産業化への支援が必要である。さらには、最近の評価重視について、研究者のやる気を削がないこと、また、全く違う分野の研究が思いがけないところで役に立つこともあるので、おおらかな気持ちで見る必要があることを加えた。

榊裕之教授(東京大学)の演題は「超格子から量子ドットまで--半導体ナノ構造のエレクトロニクスにおける役割とその将来」であった。今日のナノエレクトロニクスの起源をSi MOS FETであるとし(登場して既に半世紀)、2次元電子構造の起源となり、今日のナノ構造デバイスの基盤として位置づけた。そして、後に登場したいくつかのデバイス(化合物半導体)の進展をレビューした。1969年に登場した超格子構造により量子閉じ込めとトンネルプロセスの両方を使う概念が展開された。これを助けたのはナノ層状構造を可能にした分子線エピタキシャル技術であり、この技術が化合物半導体の種類を層状に変化させ、人工的なバンド構造を設計できるようにした。

MOS FETと超格子構造がブレンドして誕生したのは、量子ドットという概念で、極狭いチャネル層の中に周期的な電子ポテンシャルを線上にまたは網状に形成し、新しいデバイスを誕生させた。量子細線という概念も派生した。量子井戸でレーザが作られるようになり、フォトニクスへも大きく貢献した。今後も量子井戸がフォトニクスの発展に影響を及ぼすだろう。

最後に、ナノテクの役割として次の3点を挙げた。

西義雄教授(スタンフォード大学)から「ナノテクノロジー発展のために産学連携はどうあるべきか」と題して、米国での20年の実体験をもとに、示唆に富む話が紹介された。
産学連携の組織,コモンインフラだけでは成功せず、それが興奮に満ちた場である事が最も大事である事を強調した。

効果のある産学連携のポイントは次の6点である。

20日の夕方にはポスターセッションが設けられ、国の施策に基づくプロジェクトを実施している若手研究者から最新の成果が合計74件の発表があり、多くのサイトで参加者が群がる光景があちこちに見られた。

21日には3つのセッションが行われた。各セッションのテーマはセッション1がバイオテクノロジーとナノテクノロジーの融合、セッション2はナノ材料の新展開、セッション3は最先端ITデバイスとその物理である。第一線で活躍中の内外の研究者からの合計9件の招待講演は、研究者のみならず多くの関係者を釘付けにし、ナノテクの明るい未来を確信した人も多かったことだろう。


(nanonet 豊蔵 信夫、北村 孝雄)