NanotechJapan Bulletin

 メニュー
      

開催報告: nanotech 2012

NanotechJapan Bulletin Vol.5, No.2, 2012 発行

国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nano tech 2012)開催報告

1.概要

01.jpg


 第11回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議 nano tech 2012は,2012年2月15日から17日までの3日間例年通り東京ビッグサイトの国際展示場東4?6ホールで開催された.主催はnano tech実行委員会,後援は内閣府,総務省,文部科学省,農林水産省,経済産業省,アメリカ合衆国大使館を始めとする15カ国の大使館および政府機関,8独立行政法人,および,2社団法人である.また,協賛は(社)応用物理学会,(社)高分子学会,(社)日本化学会で,さらに特別協賛としてNature Asia-Pacificが参画している.

 今年の展示会テーマは「ライフ&グリーンナノテクノロジー」である.21世紀に入ってナノテクノロジーが人類進歩の基盤技術の一つとして研究開発の目標に掲げられ,グローバルに研究開発活動が活発になった.近年地球環境問題のクローズアップに伴い,ナノテクノロジーのこの問題への寄与,即ちグリーン化への大きな貢献が強く期待され,国際ナノテクノロジー総合展においても,過去3年Green Nanotechnologyが展示会テーマであった.今年は,ナノテクノロジーの応用の広がりが,医療,食糧,化粧品など人々の生活のなかに浸透しこれに貢献することを期待して「Life」が加えられて「Life & Green Nanotechnology」なった.

 この期間中,展示会場内のメインシアターおよびシーズ&ニーズセミナー会場では,主催者・出展者による企画プログラムが行われ,その中の一つとして,16日にメインシアターでLife & Green Nanotechnology特別シンポジウム「ライフ・ナノテクノロジー~高齢化社会の未来を切り拓く最先端技術~」が行われた.


02.jpg

Life & Green Nanotechnology特別シンポジウム

 

1.1 同時開催行事

 また,nano week 2012として,会議棟において,第10回ナノテクノロジー総合シンポジウムJAPAN NANO 2012,ナノ・バイオICTシンポジウム2012,その他多くの会議が開催された.同時開催展示会も次の7件が開催されている.

   InterAqua 2012 第3回国際水ソリューション総合展
   ASTEC 2012 第7回先端表面技術展・会議
   SURTECH 2012 表面技術要素展
   Convertech JAPAN 2012 コンバーティング・テクノロジー総合展
   機能性材料展2012
   Printable Electronics 2012
   環境電池展2012

 

1.2 総合展出展状況と来場者数

 Nano tech2012の出展者数は510社・機関,802小間(1月30日時点の数)で,そのうち国内は316社・機関,海外は194社・機関である.海外は22ヶ国・地域からの出展とのことで,一昨年の19ヶ国,昨年の20ヶ国と順次増加している.海外出展者数の全体に対する比率も38%であり,昨年に比べて大きく増加している.日本の代理店を利用するケースも増加していると予想されるので,海外製品・技術の展示は更に多くなると考えられる.

 来場者数は3日間合計(同時開催展示含む)で45,024人であったと発表されている.2011年の46,502人よりやや落ちたが2010年の42,381人よりは増加している.ちなみにリ−マンショック以前は2008年が49,365人,2009年が47,272人であった.

 昨年の東日本大震災の影響,国内の景気低迷,欧米の経済不安に伴う円高,等の諸情勢のなかで,まずまずの盛況であったと言えよう.


03.jpg

展示会入場風景

 

1.3 出展技術分野と対象市場の動向

 ナノテクノロジー総合展は,ナノテクノロジーが関与し貢献するすべての技術分野を対象としている.nano tech 2012のWebSiteでは,それを大きく「ナノ材料・素材」,「ナノ評価計測技術/装置」,「ナノ加工技術/装置」の3分野に分類し,各分類において技術の細目を作って細目毎に関係ある製品展示をしている出展会社・機関を表示している.技術の細目毎の関連出展者数を棒グラフにしたものを3分野に分けて図1,図2,図3に示す.なお,図中には2011年の出展会社・機関数を数の多い5項目について併記した.昨年と比較して,ナノ材料・素材分野はやや増加し,ナノ加工技術/装置分野はほぼ同じで,ナノ評価計測技術/装置分野は大きく減少している.


Fig01.jpg

図1 ナノ材料・素材分野の関連技術・製品を展示する会社・機関数


Fig02.jpg

図2 ナノ評価計測技術/装置分野の関連技術・製品を展示する会社・機関数


Fig03.jpg

図3 ナノ加工技術/装置分野の関連技術・製品を展示する会社・機関数


 次に出展技術・製品が関係する市場について,同様にWebSiteの集計に従い,出展会社・機関の数を棒グラフにした.市場分類は,「材料・素材」,「IT&エレクトロニクス」,「ナノバイオ」,「自動車」,「環境・エネルギー」,「ライフ分野」の6分野である(図4~図9).ここでも,図中には2011年の出展会社・機関数を数の多い5項目について併記した.昨年と比較して増加したのは環境エネルギー分野,大きく減少したのがナノバイオ分野,続いて減少したのはライフ分野,IT&エレクトロニクス分野も僅かに減少した.


Fig04.jpg

図4 材料・素材分野の関連技術・製品を展示する会社・機関数


Fig05.jpg

図5 IT&エレクトロニクス分野の関連技術・製品を展示する会社・機関数


Fig06.jpg

図6 ナノバイオ分野の関連技術・製品を展示する会社・機関数


Fig07.jpg

図7 自動車分野の関連技術・製品を展示する会社・機関数


Fig08.jpg

図8 環境・エネルギー分野の関連技術・製品を展示する会社・機関数


Fig09.jpg

図9 ライフ分野の関連技術・製品を展示する会社・機関数

 

1.4 出展機関,企業の種類と展示状況

 まず注目を集めたのは,(独)新エネルギー・産業技術開発機構,(独)産業技術総合研究所,(独)物質材料研究所,(独)理化学研究所等の大きな展示面積を占める公的組織・研究機関のブースである.新しい技術の進む方向を指し示し,産学協同プロジェクト等により産業化を目指す成果に期待が集まる.一方,民間企業では,コアコンピタンスを持って特徴ある製品を生み出す企業がナノテクノロジーを駆使した製品を創出して人気を博していた.東芝,東レ,富士フィルム,日立化成などが目に付いた.大学関係は,研究レベルになり一般の理解が得難いのと,特定テーマになる点で会場では地味な存在となるが,貴重なシーズの源である.実用化に結びついている例もあり,拍手を送りたい.(独)中小企業基盤整備機構が海外販路開拓支援プースを設けて積極的活動をしているのが目立っていた.出展は13社であった.


04.jpg

中小企業海外販路開拓支援ブース


 海外からの出展は今回も大きな地位を占めていた.ドイツを筆頭に韓国,台湾,スペインが大きなパビリオンを設けるなど,各国とも交流の場を持つ努力が見られた.残念ながら,言語の壁があって,比較的閑散とした雰囲気は否めなかった.しかしながら,代理店を通しての商品展示を含め,海外の力が急速に伸びている印象を与えるものであった. 

 

2.会場内の展示状況

 以下に各組織や企業の出展状況で,目に付いた物を紹介する.

2.1 公的組織,研究機関の展示

05.jpg


■ (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO):
 NEDOは過去10年間取り組んできたナノテクノロジー・材料分野の技術開発と社会との繋がりを示す「未来予想図」をコンセプトに,広いパビリオンの空間を「未来のものづくり」「未来のまち」「未来のオフィス」「未来のくらし」の4つの領域にわけて,37プロジェクトの成果発表,試作物展示を行っていた.多くの来訪者で盛況であった.産学官協力によるこれら成果が実用品として世の中に貢献することを期待したい.

■ (独)産業技術総合研究所:
 産総研ブースは「まもる,はかる,つくるナノテクノロジー」のコンセプトで展示が行われた.中央に「震災に立ち向かうナノテクノロジー」のコーナを設け,セシウム吸着材,吸着材を用いた効率的除染システム,放射線の見える化フィルム,高性能ポータブル検疫システムなど8件の展示を行っていた.そのなかの一つとしてナノレベルの粒子粉砕現象を利用し常温・バインダレスで高密度セラミック薄膜が作成出来るエアロゾルデポジション法(AD法)を用いた全固体化リチウムイオン電池の実動作成功を紹介していた.高性能リチウム-空気電池の開発も行っており,高容量全固体リチウム空気電池の創製を目指している.
その他に,

・垂直配向した長尺のカーボンナノチューブ フィルムにより従来の50倍の大きな歪の検出可能な歪センサーを作成し,一応用として,呼吸・発声・手足の動きをモニタリングするデバイスの試作,

・集積化CD(Compact Disk)流体システムで免疫分析を簡便化し,生活習慣病を早期に発見できる手軽なバイオチップ計測を目指した研究,

・病原菌や汚染物質を発生現場で検出する携行型物質検出センサーとして光導波モードセンサーの研究を進め,チップ表面に直径数十nmでアスペクト比40以上のナノ穴形成技術により飛躍的高感度化と小型化に成功,

・室温で成形できるマグネシウム合金素材の開発,

など,今回の展示会の趣旨のライフに貢献する研究成果を中心に披露していた.

 なお,カーボンナノチューブ(CNT)の生産技術や最先端半導体加工技術に関する活動については,つくばイノベーションアリーナ(TIA-nano)のブースで,また,CNT複合材料開発やグラフェンの合成と応用技術については,技術研究組合 単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)のブースで紹介していた.

 これらの展示により,産業技術総合研究所は,nano tech大賞の特別賞を受賞した.

■ TIA-nano(つくばイノベーションアリーナ):
 TIA-nanoは,産業技術総合研究所(産総研),物質・材料研究機構(NIMS),筑波大学が中核となり,文部科学省,経済産業省が協力して2009年からスタートした世界的なナノテクノロジー拠点である.産学官に開かれた分野融合拠点としてナノテクノロジーの産業化と人材育成を進めることを狙っている.ナノデバイス実証・評価ファウンドリー,ナノテク共用施設,ナノテク大学院連携の3つのコアインフラを活用し,ナノエレクトロニクス,パワーエレクトロニクス,N-MEMS,ナノグリーン,カーボンナノチューブ,ナノ材料安全評価,の6つの研究領域を対象とする.このTIA-nanoへの参加,あるいは利用を募るコーナーを開設しており,展示ではSiCなどのパワーエレクトロニクスの技術や成果,単層CNTの量産技術として開発されたスーパーグロース法による量産実証プラントの紹介などが目に付いた.また,環境・エネルギー技術の実現に向けて物質・材料研究のブレークスルーを実現するTIAナノグリーンと称するオープンイノベーションの「場」の提供の紹介もあった.

■ TASC(技術研究組合 単層CNT融合新材料研究開発機構):
 TASCは,NEC,東レ,帝人,日本ゼオン,住友精密工業,の5社と産総研により平成22年に設立され,平成23年度から独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託の「低炭素社会を実現する革新的CNT複合材料開発プロジェクト」の活動をしている.産総研開発のスーパーグロース法によるカーボンナノチューブ(CNT)も使用し,単層CNTの金属型と半導体型の分離技術,金属・樹脂・ゴムとの複合の際の分散技術に関する研究成果が展示されていて,長尺CNTの特徴を活かし,網目に絡ませることにより,変形しても損なわれることなく維持する高い導電性や,低密度でも高熱伝導性を発揮する軽量の複合材,等様々な応用技術が展開されていた.更にまた,CNTの簡易な有害性評価手法,現場で使える安価・簡便な暴露評価手法など,革新技術の社会受容の観点からの研究開発が進められていた.

■ (独)物質・材料研究機構(NIMS):
 NIMSでは,ナノスケール材料部門(国際ナノアーキテクト研究拠点),環境エネルギー材料部門,先端的共通技術部門などから,多くの最先端の研究成果が出展されていた.例を挙げれば,「ナノ・マイクロ構造を有する再生医療用多孔質材料」は皮膚や軟骨の組織再生に成功しており,今後臨床応用,複雑な構造の組織や臓器の再生への展開が考えられている.「燃料電池材料の異種異質界面構造設計」で高性能電極を提言し,電解質/電極界面におけるナノ構造解析とシミュレーションを行っている.更に,「高誘電体ナノシート」を発見し,ナノテクで世界最高性能コンデンサ素子を実現,「グラフェンスーパーキャパシター」ではカーボンナノチューブをスペーサとしたグラフェン積層キャパシター電極でエネルギー密度100Wh/kg,出力密度100kW/kgを達成,「次世代Siナノ構造太陽電池」ではナノ構造体中のpn制御が可能になり,新規太陽電池セルを試作,その他の興味ある成果が並んでいた.

 また,NIMSでも震災後の復興に向けた取り組みがなされており,メゾポーラス・プルシアンブルーによるセシウム吸着,チタン酸固体化によるセシウム閉じ込め,ブラウン管ガラスの廃材の放射線遮蔽応用,ジオマテリアルを利用した除染材料などの技術が紹介されていた.

 文部科学省は平成21年度第2次補正予算で,環境エネルギーへの挑戦として「低炭素社会構築に向けた研究基盤ネットワークの整備」事業を設立しており,NIMS,東大,京大がネットワークのハブ拠点に指定された.NIMSは「低炭素化材料設計・創製ハブ拠点」として活動しており,ネットワーク内部の研究者だけでなく,外部研究者にも広く利用機会を提供している.

 また,文部科学省の平成21年度のナノテクノロジー材料研究推進のための委託事業 「ナノ材料科学環境拠点(GREEN)」は,NIMSを中核として発足しており,前述のTIA-nanoグリーンの中核的プロジェクトと位置付けられている.

■ ナノテクノロジーネットワークプロジェクト
(独)物質・材料研究機構国際ナノテクノロジーネットワーク拠点運営室:
 ナノテクノロジーネットワークプロジェクトは文部科学省が平成19年度から23年度までの5年間行ってきた委託事業で,全国13拠点26機関が連携し,ナノテクノロジーの最先端施設の共同利用によりイノベーション創出を図るものである.その展示ブースは纏め役のNIMSの隣に設けられていた.幾多の成果のなかから,顕著な5つの成果事例が展示されており,その中に展示会のテーマである「ライフ」に係わるものとして,九州地区拠点がS/O(Solid in Oil)技術を利用した医療品・化粧品を展示していた.水溶性の強い薬効成分や化粧品成分は疎水性の肌の外層にはじかれる.界面活性剤により,親水性成分を油中分散して,肌の内部に浸透させたり,薬剤を患部に届けられると言う.九州大学で開発され,SOファーマ株式会社で企業化している.

■ (独)理化学研究所:
 フラーレン誘電体の低コスト合成技術とその応用についての紹介があった.理化学研究所の研究成果を基に,理研ベンチャーFLOX(株)が多様なフラーレン誘導体を高収率で合成する方法を確立し,エレクトロニクス,医薬,化粧品などの応用分野への市場展開を図っていた.

 無機・有機ハイブリッドガラスの低温ナノインプリントの技術が展示紹介された.80℃以下の低温,1MPa以下の低圧で50nm?25µmと3桁異なる構造の一括形成が可能であり,低価格,高スルーップト,高アスペクト比の特徴を発揮して,多くの応用が考えられている.また同様の技術で高屈折率ガラスのナノインプリントとその光学素子応用が報告された.

 ナノコーティング技術をコアとする次世代型ナノファブリケーションと称して,ウエット型ナノコーティング技術をコアとして,数nmの膜厚でレジストパターンのエッチング耐性を飛躍的に向上させる新しいコーティング剤とそのプロセスの開発に成功との報告があった.

 また,理化学研究所は,既に活躍している放射光施設SPring-8の脇に2006年からX線自由電子レーザー(SACLA)の建設を開始し,2011年に完成し日本初のX線レーザの発振に成功している.これらの施設の放射光の高輝度パルスX線とフェムト秒パルスレーザとを用いた時間分解X線回折散乱法を開発しており,SPring-8では時間分解能50psであったがSACLAでは数十fsに向上するとの説明があった.

■ (独)農業・食品産業技術総合開発機構 食品総合研究所

06.jpg

 食品関係の大きなプロジェクトには農林水産省の「食品素材のナノスケール加工および評価技術の開発」があり,平成19年度から23年度まで農業・食品産業技術総合開発機構 食品総合研究所などに委託して進められた.食品素材のナノスケール加工基盤技術によってナノスケールの食品を手にし,物理的・化学的ナノスケール評価技術の開発の下に,物理化学特性評価/体内動態評価/品質安定性評価を行い,食品新機能の解明を行うことが計画された.ナノスケールになったら食品はどう変わるか,安全性は保たれるのか,新しい機能によって食品に付加価値がつくかなどを求めたものである.最終年度に開かれた本展示会ではその成果が披露された.

 まず,加工技術の開発では,初年度に米を1µmに粉砕するのが目標だったのが,ナノエマルジョンでは粒径10nmのものもできるようになった.魚肉(鯵)をカッターミルで処理・製造した微細化物はATP(アデノシン三リン酸)含有量が増加し,粘性のあるペーストになる.魚肉を擦り潰してかまぼこを作るには食塩を加える必要があったが,ナノ加工で粘性が高められると,塩分フリーのかまぼこができるようになるかも知れないと言う.安全性に関しては,食品をナノにしても器官などへの影響のないことを動物実験で確認,体内への蓄積もない.ナノにしても摂取された食品は消化されるから安全であるとのこと.この食品ナノ加工・評価の農水省プロジェクトは今年度で終了し,次の予定はまだ不明という.成果の出始めたところだから,何らかの形での継続が望まれよう.

 同じ小間番号には農業生物資源研究所が展示し,蛍光シルクが展示されていた.下村博士のノーベル賞になった蛍光を発するオワンクラゲの遺伝子を蚕(かいこ)に注入して遺伝子組換えを行うことにより蛍光シルクができた.ウェディングドレスやジャケットに織り込み,白色光や青色LEDで照らすとそこだけが光るから印象的である.光る衣料にするだけでなく,抗体の蛍光マーカにも利用可能という.衣料応用での問題は遺伝子組み換え規制のため大量飼育ができないこと.自然にない組替え遺伝子の拡散を防ぐため囲われた場所でしか蚕を育てられないためである.

 

2.2 大学関係の展示

■ 東京大学:
 学内横断組織であるナノ量子情報エレクトロニクス研究機構(NanoQuine)の活動が紹介されていた.NanoQuineは,平成18年度科学技術振興調整費 先端融合領域イノベーション創出拠点プロフラムの一つとして採択された「ナノ量子情報エレクトロニクス連携研究拠点」プロジェクト推進の中核的研究組織と位置付けられている.拠点にはシャープ,NEC,日立製作所,富士通研究所,QDレーザーの5企業が参画している.

 QDレーザーは東大と富士通研究所の共同研究成果に基づくベンチャー企業で,通信用の量子ドットレーザーの実用化・商品化を進めている.また,温度変動の小さい量子ドットレーザーの特徴を活かし,長波長帯で220℃以上の温度で連続発振する,資源探索等の厳しい環境下でも使用可能な量子ドットレーザーを開発したことを紹介している.

 PETRA,東大,産総研が連携する最先端研究開発支援プログラムFirst(内閣府)の「フォトニクス・エレクトロニクス融合基板技術開発」プロジェクト(平成22年3月開始)の成果として光電子融合システムLSI on Photonicsが紹介されていた.Si基板上に,SiO2で形成する光導波路,光変調器,Ge光検出器を形成し.更に13チャネルのアレイレ−ザ,Si LSIチップを搭載したモジュールを実現している.5Gb line bit rateと3.5Tbps/cm2を達成している.

*:PETRA:技術研究組合光電子融合基板技術研究所:光電子融合による次世代デバイス・ネットワーク技術開発にための試験研究を行う組合.富士通,日立,NEC,NTT,沖が参加

■ 高知工科大学:
 マリモ状クラスターのTiO2ナノ粒子がこの1月に出来て用途を探しているとのこと.一次粒子径10~40nm,まりも径100~400nmであり,TiO2が持つ光触媒機能を持っており,製造時の溶媒の種類によって内部が空洞なものが得られる.大量・迅速合成を高温(400℃)・高圧のメタノール反応の超臨界合成で実現.光触媒,除菌化粧品に応用でき,DDS,遺伝子組み換えにも利用可能である.中空部に保健成分を入れられないか検討中と言う.

■ 北海道大学:
 同位体顕微鏡を展示していた.MS(質量分析計)とイメージセンサーとの組合せである.細く絞ったイオンビームを試料に照射し,飛散するイオン化された物質をMSで分離し,センサーで同位元素をイメージングするもので,小惑星探査機"はやぶさ"の持ち帰った物質を分析し,地球上のものでないことを証明している.

■ 大阪大学:
 世界初の革新的な単一微粒子測定装置ナノメジャーを展示している.微粒子の磁化率を測定することで単一微粒子の特性を評価するもので,例えば,粒子表面の修飾濃度や粒子内部の組成の均一性を評価することができ,また真の粒径分布も測れる.

■ 首都大学東京:
 CNT膜を用いたエレクトロクロミック遮光窓を展示した.レアメタルレスを実現するものである.

 

2.3 民間企業展示の中から

 注目される特徴ある大手企業のなかからいくつかを挙げてみる.

■ 東レ株式会社:
 高分子化学,有機合成化学,バイオテクノロジーをベースにし,さらにナノテクノロジーを新たなコアー技術として先端技術を追求している.今回の展示での注目技術のいくつかをピックアップしてみる.

・「ナノ凹凸による指紋付着防止フィルム」:
ウエットコーティング技術で形成されたナノ凹凸構造により,光沢感,高透明性を維持しながら,皮脂が多い指紋を見えにくくすることを実現した.スマートフォンのタッチパネルなどに最適である.

・「電子ペーパー用CNT透明導電フィルム」:
高品位の2層CNT製造技術,高性能CNT分散技術,高精度フィルム加工技術によるもの.世界最高レベルの透明性と導電性を実現し,フレキシブル性,耐久信頼性などの優れた特徴を持つ.すでに量産体制を整えている.電子書籍や電子看板などの電子ペーパーへの適用が可能である.

・「熱可塑CFRP」:
熱可塑性炭素繊維強化複合材料は最近ホットな分野で,東レも従来から製品化しているが,マトリックス樹脂がポリプロピレン(PP)やポリフェニレン・サルファイド(PPS)では期待した高強度が得られない問題があった.炭素繊維表面への有機物コートと樹脂への添加物によって,繊維と樹脂の接着力を強固にして解決した.

・「ポリマー微粒子"トレパール"」:
環境に優しい植物由来の樹脂で耐熱性,耐薬品性に優れ,サブミクロン~数十µmの範囲でシャープな粒度分布が得られる特徴を有する.新エネルギー材料や高機能コーティング材料を狙っている.

・「高耐久逆浸透(RO)膜エレメント」:
海水の淡水化等の能力の高い逆浸透膜に更に酸,アルカリ,塩素などの薬品に対する耐性を大幅に向上させた高耐久性RO膜の開発に成功.原水の水質の悪いかん水淡水化や,下排水再利用用途へ適用する.

■ 株式会社東芝:
 東芝は快適性と持続性を保つ次世代に向けたナノテクノロジー研究開発の成果を多彩にに展示しており,今回nano tech大賞を受賞した.受賞理由は,「nano techの開催趣旨に則した総合的な展示を行い,持続可能な社会構築に貢献する卓越した技術ソリューションを紹介した」ことであった.沢山ある展示の中から,興味あるものをピックアップした.

・「自己組織化ビットパターンドメディア」:
量子ドットアレーによる高密度記憶素子である.2.5インチディスクで6.0TB(現在は1.0TB),3.5インチディスクで22.2TBが可能とのこと.量子ドットの寸法は8nm径であり,1ビットは10nm平方,これが12nmピッチで並ぶ(5Tbit/inch2相当).現状は部分的にメモリ素子を搭載したメカモデルの試作段階である.

・「ナノカーボンによる3次元配線」:
微細化に伴う金属配線の抵抗増大へ対処するものであり,垂直方向配線をCNT,水平方向配線をグラフェンで形成する.現状:300mmウェハー全面にCNTを密集して成長させたサンプルを展示している.

・「SiCパワーデバイス」:
定格電圧1.7KVのSBDを開発した.これを用いたインバータ装置を来年実験する.4.5KVはpinダイオードで開発中である.

・「リチウムイオン電池SCiB」:
SCiBはあらゆる環境に於いてもよいパフォーマンスを示す.キ—技術は,負極材のLi4Ti5O12をナノサイズにして,Liイオンの拡散パスをみじかくしたこと.表面積が増加し,それに接触する電解液が不安定になるが,ある種の添加物で対処している.弱点は,エネルギー密度が通常のリチウムイオン電池より小さいことであるが,これを,タフネス性からくる実効エネルギー密度,大きい出力密度で補い,ホンダ,三菱自動車に採用された.

・「バイオセンサーで水の安全性の確認」:
微生物が酸素を食べる性質を利用し,電極により酸素を測定する.

■ 富士フィルム株式会社:
 光制御技術,ナノ加工技術,ナノ構造制御技術,ナノ分子設計技術,ナノシグナル増幅技術などのコア技術を駆使した製品開発を紹介している.興味のあった2~3の例を挙げる.このなかの「ライトアナライジングパウダ」,「ウイルス高感度検出技術」などの展示で富士フィルムはnano tech大賞ライフナノテクノロジー部門賞を受賞した.

・光制御技術では「ライトアナライジングパウダー」:
肌色の光源の種類による吸収特性や観察角度特性に対応した光の反射/吸収を制御した.

・ナノシグナル増幅技術では「ウイルスを高感度に検出する新技術」:
写真現像の銀増幅技術を活用し,金コロイドの標識のサイズを大きくすることで,検出感度を大幅(二桁位)に向上した.

・ナノ加工技術ではNi金型や鋳型:
前者はナノインプリント,後者はナノ構造の金属置換,樹脂置換を実現している.

■日立化成工業株式会社:
 下記のような展示品が揃っており多くの関心を集めていた.特にこの中の「印刷用Cuインクはnano tech大賞 微細加工技術部門賞を受賞した.

・カーボンナノチューブに関して次の技術・製品を紹介:
単層構造CNT製法(流動床式CVDを採用,長さを制御できる特徴がある),多層構造CNT粉(径3~15nm,長さ500~1,000µm,純度98%),透明導電膜(透明度85%)

・印刷用Cuインク:
インクジェット印刷法やスクリーン印刷法での銅膜形成に適しており,必要な部分にのみ配線を形成できる.受賞では,印刷後に180度で加熱してめっき配線並みの高い電気特性を実現した点が評価された.

・環境適合バナジウム系低融点ガラス"VaneetectR"(日立と共同開発):
三次元網目構造へ変化させ,その網目構造の隙間にイオン半径の大きい元素や,低融性の元素等を多数導入させることで,耐湿・耐水性等の信頼性および,ガラスの低融点化を実現.鉛,フッ素等を含まずに400℃以下の低温で大気・窒素・真空のいずれでも封止が可能.

 

2.4 外国パビリオン

 以下に注目した外国パビリオンを紹介する.


07.jpg


■ 米国:
 米国イリノイ州政府駐日事務所の一小間の中にNNIのブースが間借りしていた.そこではNNI(the National Nanotechnology Initiative)の戦略を紹介していた.NNIはここ数年このnano tech総合展示会に出展していなかったが,今回は急遽出展が決まったとのこと.NNIの2012年の予算は$2,129.6 milionで昨年の$1,850.3 milionを大きく上回っている.この増加は大統領の米国技術革新の戦略と合致するものである.予算の分野別配分も示されている.NNIの積極的意図がうかがえる.

■ スペイン:
 スぺインパビリオンはドイツ,韓国に続く広い面積を占めており,15企業と大学,研究機関が出展していた.
 スペインでは2005~2006年頃から大学や研究機関からナノテクベンチャー企業が次々に誕生し,2008年からはnano tech総合展に参加しており,外務省も資金援助してマーケティングに努めている.4?5社の代理店も活用して,ユーザーやアライアンス先の開拓,特許販売を行っているとのこと.

 ベンチャーの中で一番成功しているのは,Granph NanotechGraphea Nanomaterialsで,前者はらせんリボン型カーボンナノファイバーを化学酸化で解砕して出来たグラフェン酸化体ナノプレートレットとこれを還元したグラフェンを販売しており,後者はCVD法でグラフェン膜を製造販売している.2cm角のSiO2基板上に1.5cm角のグラフェンを形成したものである.単層の他多層のグラフェンも可能であり,基板もガラス,TEM Grid,PET等の要求にも応え,転写サービスも行うとのことである.

■ ドイツ:
 ドイツパビリオンは15のブースで構成されているが,大変大きいブースがあり大きな面積を占めている.その大きいブースはフラウンホーファー研究機構で,6研究所が並んでいる.ドイツパビリオンは過去に50社ということがあったが,今年は28社に減っている.その代わり代理店に依存している会社が多くなっているとのこと.

 フラウンホーファー研究機構には60の研究所と20余の準研究所があるが,その3分の1がナノテクノロジー分野での研究を行っているとのこと.今回出展しているのは,エレクトロ・ナノシステム研究所,セラミック・システム技術研究所,生産技術・オートメーション研究所,ケイ酸塩研究所,非破壊試験研究所,ナノ電子技術センターである.顧客とのコンタクトをとりながら研究開発を行い,ソリューションを求める活動を行っている.

■ 韓国:
 韓国パビリオンはドイツに次ぐ広さで,16の企業や組織が展示を行っていた.出展ブース数は毎年16と決めて出展者を募った結果とのこと.その中の一つ,Applied Carbon Nano technology Co., Ltd (ACN)ではCNT,および,CNTと金属・CNTとセラミックス・CNTと高分子の複合材料やCNTペースト,CNTインクなどを量産しており,多くのアプリケーションに向けて,価格,特性,均一性,その他の特徴を謳っている.エンジン性能改善剤なども販売している.

 なお,パビリオン外の単独ブースで,KH Chemicals社が単層CNTとその水分散ペースト,透明導電膜を展示しており,特に注目されるのは単層CNTを1トン/年で量産しており,ドラム缶の荷姿で出荷(2.9kg/缶)しているということである.また,透明導電膜は電気抵抗250Ω/□,透明度90%以上であり,Roll to Rollで生産する手法によりITO(酸化インジウムスズ)透明導電膜と競合可能な価格で,2012年6月発売予定という.

■ 中国系人の活躍:
 中国についての注目展示は,小さなパビリオンではなく,中国人設立の米国企業Cnano Technologyの代理店である丸紅情報システムにあった.Cnano Technologyの本社は米国であるが生産は北京の工場で行っている.製品は,多層CNTおよび多層CNT粉,リチウムイオン電池用CNTペースト(水分散,NMP(N-メチル-ピロリドン)分散),熱可塑性高分子マスターバッチ(押し出し成型品用)等である.CNTはCVD法により500トン/年という驚異的量産を実現し,更に1000トン/年に向けて中国で設備増設中とのことである.リチウムイオン電池の電極活物質層の導電助剤用の水ペーストは1,300円/kg,NMPペーストは1,700円/kgで販売している.その他にもゴムへの導電性付与など多くの応用を想定している.

 

2.5 技術別の傾向

 以上は大きな組織中心に展示状況を報告した.ここで,小さい会社を含めた展示状況と傾向を技術別に報告する.

(1) CNTとグラフェンについて
 CNTに関しては,その製品販売会社の多さが目立った.目についただけでも日立化成,保土谷化学工業,日産化学,名城ナノカーボン,三恵技術などである.これを受けて,CNTを用いた複合材料の開発競争も激しい.しかし,CNT応用製品が広く展開するためにはCNTの生産性を高めてコストを下げることがネックとされてきた.産総研がこれに応えてスーパーグロース法を開発している.しかし,アプリケーションを広げるにはまだ不十分と云う.今回の展示会の情報によれば,中国,韓国で桁の違う量産体制が出来ているとのことである.その製品品質等の詳細は分からないが,今後低価格のCNTが利用できるようになることは,間違いない.日本は化学技術については力があるので,CNT複合材等の応用技術で世界をリードすることを期待したい.

 グラフェンについては,スペインパビリオンで例を紹介したが,その他,米国,韓国,中国,ドイツ等,各国の展示品目に挙がっており,ニューメタル エンド ケミカルス コーポレーションを始めとする国内輸入業者が粉末等を,展示しているのが目立った.こうしたグローバルの動向にたいして遅れている国内の対応が危惧される.

(2) エネルギー関係について
 エネルギー分野関連技術は昨年を上回る出展示数となっているが,中でも2次電池の出展が多い.東芝の展示品リチウムイオン電池SCiBはホンダ,三菱自動車が採用を始めたことで,この分野が更に活気づくと思われる.次世代用としては,産総研の全固体電池を狙うAD法によるリチウムイオン電池の展示が注目された.その他,合同会社札幌NBTと北海道大学による「リチウムイオン電池の負極材用高純度Siナノ粒子の液中グロー放電法による大量製造法」,住友大阪セメントのリチウムイオン電池の正極活性物質などの展示があった.

(3) 評価・計測技術分野について
 評価・計測技術は,ナノテクノロジー進化に必須な技術であるが,今年は昨年に比べて大幅に出展数が減少している.興味深かった何件かを紹介する.

【AFM/STM,顕微鏡】

■ 株式会社アサイラム テクノロジー: 世界最高分解能と高速ACイメージングを誇る看板に惹かれて立ち寄った.次世代AFMと称してCypher AFMを展示していた.最高の高分解能で,物質の原子構造まで見えるのは当然として,その中で,原子の欠如などの欠陥も見える.40Hzスキャンの高品質タッピングモードイメージングが可能とのこと.表面の硬さも評価することで,評価の次元を高めている.

■ 株式会社テックサイエンス: スイスのNanosurf社の光学顕微鏡組込み式レンズAFMを紹介している.xy走査分解能1.7nm,z走査分解能0.34nmである.Nanolane社の3D画像化ソフトウエアを使って光学顕微鏡画像ピコメータ3D画像を作成し,10pm以下の表面凹凸まで表示可能である.

■ 株式会社生体分子計測研究所: 20枚/秒で動画撮影可能な高速AFMを展示している.抗体の観察,DNAの伸張・切断の観察が可能である.

【光学顕微鏡】

■ 株式会社キーエンス: デジタルマイクロスコープ(VHX-2000)を展示.超解像ブルーフィルタにより光の波長を変えての超高解像度観察が可能であり,深い被写界深度により鮮明な立体観察が出来る.3軸電動制御により走査は超簡単である.

■ 株式会社デジタルマイクロシステムズ: ホログラム顕微鏡を展示.時間・空間分解能に優れ,3次元高速観察が出来る.反射型と透過型の両形式がある.高速ホログラムデータ処理を行い,生物などの観察によい.反射型の垂直方向読み取り分解能は0.2nmである.

【放射光】

■ 理化学研究所の放射光施設SPring-8と昨年秋完成したX線自由電子レーザー(SACLA)を利用した時間分解X線回折散乱法については先に理化学研究所の展示の中で紹介した.

■ その他放射光関係では,兵庫県立大学では,ニュースバル放射光施設を紹介し,東日本大震災被災により支障をきたしている東北・関東の軟X線放射光利用研究に対してニュースバル放射光施設利用の研究機会を提供していた.また,産業利用を重視し完成間近な愛知県の中部シンクロトロン光利用施設の紹介の展示があった.

(4)ナノインプリントについて
 ナノインプリントはナノ加工技術・装置の中で昨年に比べて出展が増加している.目に付いたもの若干だが紹介する.

■ 株式会社インターナシオナル: ナノインプリントのファウンダリを行っている.微細モールド(金型)を作成し,転写サービスを行う.

■ 綜研化学株式会社: ナノインプリントモールドフィルムを展示している.表面のミクロンオーダの微細形状が折り曲げなどにより壊れない.

■ 株式会社日立製作所: ナノインプリント装置を展示している.ナノスケール構造体を簡便・短時間で形成できる特徴を持つ.

■ 富士フイルム株式会社: ナノインプリントの金型の技術(前出)

■ (独)理化学研究所: 無機・有機ハイブリッドガラスによる低温ナノインプリント(前出)

 

3.大賞,部門賞,特別賞など

 17日午後,メインシアターで大賞と各種賞の表彰式が行われた.受賞者を下表に示す.

Table01.jpg

 

4.おわりに

 一年前に起こった東日本大震災,世界各地で起こる異常気象は改めて地球という自然と人類の関係を考え直すきっかけを作っている.長引く国内の不景気,欧米における経済の不安定,こうした環境下で開催されたnano tech 2012であった.そうした影響は展示会に何らかの影響を与えているものと思われる.しかし,ナノテクノロジーは人間の知恵と力で今後の日本そして世界の社会,経済を維持発展させるための極めて重要な基盤を提供するものであり,ナノテクノロジーに関わる人達の努力の結果がこの会場に集まって,熱気に溢れていた.

 今回特に感じたのは,ナノテクノロジーの開発機運がグローバルに浸透した結果,海外技術が成長しつつあることであり,海外製品の展示の増加に現れている.特に,米国,韓国,中国のCNTやグラフェン実用化に向けた積極的展開に対して向き合って行く必要性を実感した.

 この展示会も11回目を迎え,ナノテクノロジーも研究が主体の段階から応用展開が活発化する状況になり,そこには複合材料にみられるような技術融合の展開も目立った.今回展示会テーマに「Life」が加わったが,この分野の展示数にも見られるように,この分野はまだ活性化していない.このテーマはむしろ今後の展開に対する方向付けと云える.今後の進展のためには,よく云われる異分野融合による技術開拓が重要なのであろう.いずれにしても,ナノテクノロジーの研究開発が徐々に進化し,変貌しつつあることを感じる3日間であった.

 なお,広い会場に集まった多くの成果を部分的にしか見ることが出来ず,まだまだ触れることのできなかった多くの宝が残っているわけで,ナノテクノロジーの今後の発展に期待したい.


(向井久和)