NanotechJapan Bulletin

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開催報告: nanotech 2021

NanotechJapan Bulletin Vol.14, No.1, 2021年2月発行

第20回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nano tech 2021)開催報告

 第20回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議 (nano tech 2021)は,2020年12月9日から11日までの3日間東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催された.ただ,次の2点が従来とは異なった.一つは開催時期と開催場所である.東京2020オリンピックの開催予定が2021年に延びた影響で,nano tech 2020同様,従来の東京ビックサイトの東棟から西棟へ,開催時期も1月末から2月初旬の間に行われていたのが,上記の通り前年の12月に行われることになった.もう一つは世界中に猛威を振るっている新型コロナウイルスの感染対策として,展示は会場における展示とWebによるオンライン展示の2本立てとし,参加者も現地参加とオンライン参加の2本立てとなった.リアルとオンラインのハイブリッド展示会である.

 nano tech 2021はnano tech実行委員会が主催で,内閣府,総務省,文部科学省,農林水産省,経済産業省のほか外国大使館,国立研究開発法人など多くの機関の後援と,11の学会の協賛の下,世界の国々から最先端技術が集結するナノテクノロジーに関する総合展示会である.事務局は株式会社JTBコミュニケーションデザインが務めた.

 例年通りnano tech 展示会と同時に関連技術分野の展示会が西棟(西1及び西2ホール)で開催された.表1にその展示会名と展示ホールを記す.なお,西1と西2のエントランスホールとなるアトリウムにもnano tech 2021とENEX 2021の一部の展示が行われた.図1に各展示会の出展者数の変遷を示す.nano tech 2021の展示者数は165で2020の358から半減した.

  nano tech 2021実行委員会事務局のJTBコミュニケーションデザインの発表によると,nano tech 2021と同時開催展示会を含めた参加者は会場来場者数が展示会開催の3日間合計で10,615,オンライン参加者(展示期間2020年10月26日~2021年1月15日,セミナアーカイブ配信期間2021年1月13日~15日)を含む合計では22,704となっている.入場者は会場入り口で検温を行い,正常であることを示すステッカーを参加登録証に貼って入場する.ブースによっては,入り口で検温し,安全確保を図っていた.

 

表1 同時開催展示会とその展示ホール

 

図1 nano tech 2021および同時開催展示会の出展者数の変遷

 

展示会場の様子

 

1.nano tech 2021の概要

 nano tech 2021の展示会場は西1ホールとエントランスのアトリウムであり,展示のレイアウトについては,前回と同様に次のようにゾーンを別けて展示した.

  • ナノマテリアルゾーン:ナノ材料が一堂に集結
  • ナノアナリティクスゾーン:分析・測定・評価用装置技術,受託分析・設計技術など
  • ナノファブリケーションゾーン:分散・攪拌・混合-粉砕などナノ材料加工処理,超微細加工・描画技術・リソグラフィー技術など
  • ナノイノベーションゾーン:先進的な技術研究開発企業,新鋭ベンチャー企業
  • 独法・公的機関/学校各研究室/海外パビリオンエリア:国内外の産学官連携やオープンイノベーションなどを含む
  • ナノカーボン・オープンソリューションフェア:素材,中間部材,成型体・部材最終製品
  • その他:ベンチャーパビリオン,アカデミアポスターセッション

 図2にゾーン毎の出展者数を前回と比較して示す.独法・公的機関/学校各研究室/海外パビリオンエリアは飛び抜けて多いので独立法人,海外,学校に3分割した.図からマテリアル関係,海外からの出展の減少が特に大きいことが分かる.

 

図2 ゾーン毎の出展者数を前回と比較して示す

 

図3 ゾーン毎の出展者数を会場出展者とオンライン出展者を色分け表示

 

 図3にゾーン毎の出展者数を会場出展とオンライン出展で色分け表示した.海外からのオンライン出展が多いのはカナダがパビリオンごとオンライン出展したことによる.また,ナノマテリアルゾーンのオンライン出展が多くなっている.

 図4は分野別出展者数を前回と比較して示すもので,コロナの影響で全般的に大きく減少している.図5は分野別出展者の中で会場出展者とオンライン出展者を別けて表示したものである.さすがに,オンライン展示はそれほど多くない.しかし,会場展示者もオンライン訪問者を対象に,製品や技術のPDFファイルや動画による説明を行っていた.また,オンライン訪問者との情報交換,ビジネスマッチングができる仕組みも作られており,従来とは異なるハイブリッド方式のメリットも感じられた.

 

図4 分野別出展者数の前回との比較

 

図5 分野別出展者数の会場出展とオンライン出展

 

 ハイブリッド方式には,従来から適用されてきたマッチングシステムが組み込まれており,オンラインでの商談が有効に機能するメリットもあり,次回のnano tech 2022においても採用する予定が発表されている.

 

2.nano tech 2021におけるシンポジウム・セミナーの状況

2.1 主催者企画の特別シンポジウムの開催

 例年,nano tech 総合展では主催者企画の特別シンポジウムが,その年のメインテーマに合わせた基調を形造っている.nano tech 2021のメインテーマは「新しい社会変化を支えるナノテクノロジー」であった.主催者企画の特別シンポジウムは,「ナノテクノロジーと感染症」,「5G革命を支える材料技術最前線」,「計測インフォーマティクス~データ駆動型科学による計測技術の刷新」,「日本から世界へ~持続可能な社会を支える生分解性プラスチック技術」であり,会議棟の国際会議場で3日間にわたって開催された.各講演は,アーカイブでオンライン聴視ができた(2021年1月13日~15日,有料).以下はその概要である.

 

2.1.1 特別シンポジウム「ナノテクノロジーと感染症」

 このシンポジウムでは,新型コロナウイルスなど人類が直面する課題対策へのナノテクノロジーの貢献を議論する6講演が行われた.

 

(1)「mRNAナノワクチン実用化に向けた核酸送達技術の開発」

講師:片岡一則氏:公益財団法人 川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター センター長/東京大学 未来ビジョン研究センター 特任教授----この講演はビデオで行われた

講演内容:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して広く検討されている抗原遺伝子を用いたワクチンの利点を生かして,現在,抗体産生に依存しない細胞性免疫によるSARS-CoV-2ナノワクチンを開発している.このワクチンはmRNAと高分子ミセル型送達担体(ミセル)からなり,ミセルが安全かつ効率的にmRNAを投与局所に導入できることは,大動物で実証済み.また,mRNAナノワクチンは筋肉内や皮内への投与により,優れた細胞性免疫誘導活性が得られることが確認されている.

 

(2)ナノテクとAIで新型コロナの重症化を防げ」

講師:合田圭介氏:東京大学大学院理学系研究科 教授

講演内容:COVID-19の重症患者の8割に深部静脈血栓症が認められ,また,脳梗塞,急性冠症候群などの動脈血栓を含む多彩かつ複雑な血栓症の発生が認められ,COVID-19の死因の4割は血栓症によるものである.COVID-19関連血栓症の病態解明と重症化リスクを早期評価する血栓診断ツールの開発は喫緊の課題であり,この講演では,従来技術を凌駕する,ナノテクとAIを用いた画期的な血栓検査法を紹介した.

 

(3)「グラフェンFETによる高病原性ウイルスの超高感度検出」

講師:松本和彦氏:大阪大学産業科学研究所 名誉教授

講演内容:グラフェンはその表面への物質吸着により電気伝達特性が極めて大きく変化する性質がある.このグラフェン表面にウイルスと選択的に結合する種々のレセプター分子を効果的に修飾する独自技術の開発に成功した.これにより,インフルエンザウイルスや抗体を選択的に検出できる技術を確立した.レセプターを変換するだけで新型コロナウイルスの検出にも適応できる技術である.

 

(4)「ナノポアを用いた感染症検出システム」

講師:谷口正輝氏:大阪大学産業科学研究所 教授

講演内容:ナノポア(数nm程度の極小の穴で,DNA分子を1本に分離してこの穴に通し,塩基配列を高速で解析するシーケンサに用いられる)と機械学習が融合したAIナノポアは,ナノポア直径の最適化と検体を学習させるだけで,望みの検体を検出するものである.新型コロナウイルスを学習させて開発した検査システムを紹介した.

 

(5)「感染症領域における製薬企業の取り組みの現状と課題」

講師:山野佳則氏:塩野義製薬株式会社 医薬研究本部 感染症領域シニアフェロー

講演内容:新型コロナ感染症以外にも人類を脅かす可能性がある感染症は多数知られているが,感染症領域における企業の創薬活動は活発でない.その理由は,特定の感染症流行の地域・時期・規模の予測が難しく,継続して安定な事業を行うには,リスクの大きい領域であることが挙げられる.このような状況を打破するには,産官学の協力体制の下,技術開発・治療および予防薬の開発を展開すると共に,継続的事業とするためのサポート体制の構築が欠かせないと説かれた.

 

(6)「欧州の医療デバイスデザインとナノ化技術について」

講師:六車惟氏:Zenius株式会社 代表取締役

講演内容:Zenius社は医療機器,特にDDS(ドラッグデリバリーシステム)領域において欧米の医療デバイスメーカーや製薬メーカーと連携し,デザイン開発を支援している.この講演では,まず欧米の最先端の医療デバイスデザインやその考え方を紹介し,次いでZenius社がスイスのベンチャーと共同開発しているDDSのナノ化技術を紹介した.

 

2.1.2 特別シンポジウム「計測インフォマティクス~データ駆動型科学による計測技術の刷新」

 AIを活用しビッグデータからソリューションを創出するインフォマティクスは,新しい社会への変化をもたらす鍵の一つとして注目されている.nano tech総合展においても前回までマテリアルズ・インフォマティクスを特別シンポジウムのテーマとして取り上げてきたが,今回は計測インフォマティクスに焦点を当て,次の3件の講演が行われた.

 

(1)「人工嗅覚に向けた嗅覚センサーMSSと機械学習の融合」

講師:吉川元起氏:国立研究開発法人 物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点 センサ・アクチュエータ研究開発センター

講演内容:同氏が開発したMSS(膜型表面応力センサ)(本誌NanotechJapan Bulletin, Vol. 7, No.1, 2014で紹介)は,nano tech 2015の表彰式においてプロジェクト賞(ライフナノテクノロジー部門)を受賞した.「ニオイ」は,数十万種類以上の成分がある中で,数十から数千種が任意の割合で混ざり合って形成されており,これが時間的・空間的に絶えず揺らぐ.このようなニオイを測る嗅覚センサーを実現するために,センサー素子等のハードウエアと特徴量設計や機械学習モデルなどのソフトウエアとの融合開発を進めており,その成果を報告した.

 

(2)「計画実験の最適化と計測データ解析の自動化」

講師:小野寛太氏:大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 准教授

講演内容:量子ビーム実験のハイスループット化及び計測・解析の全自動化の実現を目指して計測インフォマティクス手法の研究開発を行っており,物質・材料の評価や解析手法における計測の最適化の方法およびデータ解析の自動化について,X線回折・散乱やスペクトル計測を中心に議論した.

 

(3)「EELS/XAFSインフォマティクス~機械学習によるスペクトル解析の刷新」

講師:溝口照康氏:東京大学 生産技術研究所 教授

講演内容:X線及び電子線を用いて吸収スペクトルを測定するXAFS/EELS(X線吸収微細構造/エネルギー損失分光法)は,空間・時間分解能や検出感度の優れた分光法で触媒や電池開発に多用されている.一方,測定技術の高度化,自動化等で,取得データ量が急増しており,その膨大な数のスペクトルに対して従来の「研究者駆動型スペクトル解析」を行うことは困難である.対策として「データ駆動型スペクトル解析法」を開発してきており,機械学習を活用したスペクトル計算法や物性予測などの研究例を紹介した.

 

2.1.3 特別シンポジウム「5G革命を支える材料技術最前線 低伝送損失基板技術」

 第5世代移動通信システム(5G)は新しい社会の増大する情報流通に対応するネットワークの一翼を担う鍵システムで,その商品化がグローバルに競われている.nano tech総合展では前回に続き特別シンポジムのテーマに選ばれ,基板材料技術について2件の講演が行われた.

 

(1)「5G通信向け低誘電材料の開発」

講師:川島直之氏:JSR株式会社 RDテクノロジー・デジタル変革センター イノベーティブマテリアルズ開発室

講演内容:独自の高分子設計・合成技術で開発し,5G通信向けプリント配線基板に適した,低誘電率で低誘電正接性を示す新規樹脂を開発した.高耐熱性,高密着性,高溶解性も有している.また,この新規低誘電樹脂の特性を活かした熱硬化性コンポジット材料も開発している.この材料を用いて試作した銅張積層板の特性を含めて紹介した.

 

(2)「表面化学修飾ナノコーティング技術による表面高機能化・界面機能制御~5G用低伝送損失基板に向けた高強度異種材料接合技術への展開」

講師:中村挙子氏:国立研究開発法人 産業技術総合研究所 先進コーティング技術研究センター 光反応コーティング研究チーム 研究チーム長

講演内容:紫外光を利用した表面化学修飾ナノコーティング技術を用いたポリマー,および,カーボン材料への各種官能基化技術による表面高機能化・界面制御技術を紹介し,更に本技術を用いた5G用低伝送損失基板に向けた高強度異種材料接合技術への応用展開について紹介した.

 

2.1.4 特別シンポジウム「日本から世界へ持続可能な社会を支える生分解性プラスチック技術」

 プラスチック製品による海洋汚染が国際的に注視され,2019年のG20大阪サミットでは2050年までに新たな海洋汚染をゼロにする国際目標「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有されている.この問題の解決を目指す生分解性プラスチック技術の開発に関する2講演が行われた.

 

(1)「KAITEKI実現に向けた三菱ケミカルの環境対応素材」

講師:佐伯裕美子氏:三菱ケミカル株式会社 高機能ポリマー部門 企画部 技術室 事業開発グループマネージャー

講演内容:高い耐熱性を持つ植物由来の生分解性プラスチックBioPBSTM,植物由来の高機能プラスチックDURABIOTM等の製品紹介とともに,三菱ケミカルの環境対応の取り組みを紹介した.

 

(2)「カネカ生分解性プラスチックPHBH®︎の開発」

講師:福田竜司氏:株式会社カネカ Green Planet推進部 Green Planet Global Planning & Marketing グループ 企画チーム リーダー

講演内容:カネカの生分解性ポリマーPHBH®︎は,微生物によって植物油を原料として生産されるバイオマス由来のポリマーで,土中,海水中などの自然環境下で微生物によって水と二酸化炭素に生分解される.本講演では,PHBH®︎の特徴を紹介した.

 

2.1.5 特別シンポジウム「常識を疑え,未来のナノテクノロジー~Nanotechnology with New Social Pioneer of a New Era」

 本テーマに対応して,次の3講演が行われ,その後,講演を行った3講師がパネラーとなってパネル討論が行われた.モデレータは黒川卓氏(中部大学 工学部工学基礎教室 教授)であった.

【3講演のテーマと講師】

「医薬の世界を根底から革新するペプチド合成」山本尚氏:中部大学 分子性触媒研究センター センター長・教授

「ありふれた元素の底力」細野秀雄氏:東京工業大学 元素戦略研究センター センター長・特命教授

「電子で電子は見えるのか?-電子顕微鏡の挑戦―」柴田直哉氏:東京大学 大学院工学系研究科総合研究機構 機構長・教授.

 

2.2 展示ホール内セミナー会場および会議棟会議室におけるセミナー

 

セミナー会場入り口での検温

 

 西棟の展示ホール内および会議棟の会議室で,出展者や参加組織によるセミナーが開催された.新型コロナ対策で,聴講者は登録制で会場での聴講は人数制限があり,オンライン配信,アーカイブ配信可能な講演も多くあった.写真はセミナー会場入り口での体温測定の様子である.以下にセミナーの幾つかを紹介する.

 

(1)新型コロナウイルス関連のセミナー

All about Photonics主催セミナー「Withコロナ時代対策セミナー」でLED等深紫外線活用に関する講演が4件あった(アーカイブ配信あり).深紫外LEDによるウイルス不活性化の試み,新型コロナウイルス対策としての応用法,深紫外線ロボット等が報告された.

新機能性材料展でのセミナー「抗菌・抗ウイルス」では3件の講演があり,抗菌/防カビ/抗ウイルスで快適・衛生的な環境認証活動,住宅材料の抗菌技術とウイルス共存社会への課題,企業としての新型コロナウイルス感染症への対応が議論された.(初めと終わりの2件はアーカイブ配信)

ENEXでは「コロナ禍での換気の課題」として地中熱利用等による外気負荷の低減を議論する講演が3件,また,「新型コロナウイルスと省エネルギー」のセミナーでWith COVID-19オフィスにおける「かけ流し空調」の考察に関する講演があった.

 

(2)ニューノーマル時代を掲げるセミナー

All about PhotonicsInter Optoでは2020年度 “光産業技術シンポジウム” が一般財団法人 光産業技術振興協会 創立40周年記念事業として開催された.テーマは「ニューノーマル時代とフォトニクス」で,基調講演「量子テレポーテーションを用いた大規模光量子コンピュータ」古澤明氏(東京大学 教授)の後,5講演が行われた.その中に「生体への安全性の高い紫外線care 222®(波長222 nmUVC)の安全性確認とバクテリア殺菌およびコロナウイルス等の不活化性能について」五十嵐龍志氏(ウシオ電機)の講演があった.

Convertech Japanで,セミナー「ニューノーマル時代に生き残る製造業の戦略とDX」が開かれた(アーカイブ配信あり).基調講演「ポストコロナ時代は日本のものづくりが引っ張る!」泉谷渉氏(産業タイムズ社)のあと,「ニューノーマル時代の製造業DX」今崎耕太氏(情報処理推進機構 社会基盤センター),「コロナ下での製造現場DXの紹介」松本博氏(凸版印刷)があった.

JFlexでセミナー「ニューノーマル時代の医療・介護現場を支える生体センシング最前線」が開かれ,「Withコロナ時代の遠隔重傷患者診療」諸井将満氏(自治医科大学 教授),「バイオ燃料電池を搭載した次世代ウェアラブルデバイス」四反田功氏(東京理科大学 准教授),「医療・ヘルスケアに向けたジャパンディスプレイの新しいデバイス技術」仲島義晴氏(ジャパンディスプレイ),「5G時代のビジネス協創-5G・先進技術の医療現場での活用事例―」奥島啓介氏(NTTドコモ),「Healthcare as a Service(HaaS)社会とスマートホスピタル」大山慎太郎氏(名古屋大学 特任教授)の講演があった.

 

(3)人気のあったセミナー

 今回のセミナーは事前登録制で,密を避けるために会場参加人数に制限が設けられた.人気セミナーは事前の早い時点に定員が満席になることになる.次のフォーラムもその一つであった.

MEMSセンシング&ネットワークシステム展の特別シンポジウム「MEMS次世代テクノロジーフォーラム」(主催:一般財団法人マイクロマシンセンター/JTBコミュニケーションデザイン)が会議棟102会議室で開催された(アーカイブ配信あり).5G,IoT,ロボット,AI,バイオ,自動運転等の次世代テクノロジーを対象にして,MEMS市場,MEMS技術の社会貢献への在り方等の議論を目論むもので,次の4講演が行われた.

①「DX実現のためのMEMSデバイスとソリューション」西本淳哉氏:アズビル株式会社
②「脳+五感MEMS」三木則尚氏:慶応義塾大学 教授
③「センサー1兆個時代のセンサマネジメント」藤巻真氏:国立研究開発法人 産業技術総合研究所
④「自動運転を支えるセンサー技術」和戸弘幸氏:株式会社ミライズテクノロジーズ

 

3. 会場・オンライン出展の状況

3.1 注目技術分野の出展動向

(1)セルロース・ナノファイバー関連

 セルロース・ナノファイバー(CNF)関連出展者と技術内容について,nano tech 2021のホームページの出展者検索欄で「セルロース」をキーワードとして検索した結果を表2に示す.活気のあった前回までに比べて,やや寂しく感じられる.しかし,実用化に向けた前進は着実に進んでいるようで,大王製紙の展示では,CNF成形体を車体外装全体や内装(インストルメントパネル)に使用した電気自動車が2020年11月7日―8日開催された公道でのヒルクライムレース「ALL JAPAN HILL CLIMB Festival in 御岳」にエキシビション参加した動画を公開した.モータースポーツチームSAMURAI SPEEDとの連携によるものである.

 

表2 セルロース・ナノファイバー関連出展者と技術内容(ホームページの出展者検索より)

 

(2)ナノカーボン関係

 ナノカーボンについても有力者の不参加が目立った.例年CNTの大規模量産で積極的事業展開をしてきたOCSiAI(日本総代理店 楠本化成(株)),CNTの産みの親ともいえる日本電気(株),また,ベンチャー企業として特徴的な展示をしていた名城ナノカーボン等の参加は見られなかった.グラフェンについても日本触媒,産総研の出展がなかった.ただ,出展者は長年かけて積み上げてきた研究開発・ノウハウでビジネス展開が可能なところまで来ているようである.多くの出展はアトリウムで開かれたナノカーボンオープンソリューションフェアで行われており,3章のアトリウムの展示でその状況を説明する.そこには含まれていない,海外企業の出展をここで紹介する.

 カーボンナノチューブ(CNT)については,カナダパビリオンのCapital Power Corporation(北米の電力会社)が発電工程で排出されるCO2を回収して多層CNTを製造する技術を開発しており,2021年にはカナダにおいてコマーシャルスケールのCNT製造を実現するとしている.大変興味深い発表である.

 韓国パビリオンでは,JEIO社が“Thin Wall carbon nanotube”と名付けた製品をビジネスしている.SWCNT並みの特性でMWCNT並みの価格である.また,CNT Solution社はCNT/樹脂複合化で展開している多くのアプリケーションを紹介した.

 グラフェンでは,米国のNanotech Energy社と日欧産業協力センターから出展のAdvanced Graphene Product社(ポーランド)がグラフェン製品で事業展開を目指していた.

 

(3)ウイルス・感染症対策関連

 表3にウイルス対策関連の出展者を,nano tech 2021のホームページの出展者検索欄で「ウイルス」をキーワードとして検索した結果を示す.新型コロナウイルスの流行を機に,この分野への関心が高まっている.安心・安全な社会を継続するための基盤が形作られることが期待される.

 

表3 ウイルス関連の出展者と出展技術・製品内容(ホームページの出展者検索より)

 

 

(4)電池関係

 スマート社会の進化を支える電池への期待は大きい.表4はnano tech 2021展の展示から電池関係の展示を拾ったものである.印刷,CNT,グラフェン等の材料分野において,それぞれが持つ技術的特徴を電池の分野に持ち込み革新的進歩をもたらそうとする試みがなされている.

 

表4 nano tech 2021から拾った電池関連の出展者とその出展内容

 

 

3.2 注目出展者の出展動向

3.2.1 過去の受賞者のnano tech 2021出展状況

 

西1ホールのnano tech 2021の展示場

 

 今回の出展者で過去にnano tech大賞,部門賞を受賞した7出展者について,今回の出展状況を過去の出展と対比させてみる.

 

◆日本ゼオン株式会社(nano tech 2014 産学連携賞)

受賞理由:産業技術総合研究所で開発した単層カーボンナノチューブ(CNT)の量産技術「スーパーグロース」の量産実証プラントを紹介.大量生産を視野にサンプル出荷も開始し,カーボンナノチューブの普及を促進する活動を賞す.

今回の展示:日本ゼオンおよびゼオンナノテクノロジーは高品質単層CNT及びその分散液を商品化すると共に,次のような多くのアプリケーション技術を他企業,大学,他研究機関と共同研究で開発してきている.高導電性シリコーンゴム,フッ素ゴム,電磁波抑制シート,誘電エラストマー用フレキシブル電極,熱電変換モジュール,更にリチウム空気電池用空気極材料,CNTシートを用いたリチウム硫黄電池の開発,燃料電池の電極触媒等である.安全性に関する評価も行われた.

 

◆日本電子株式会社 nano tech 2016 特別賞

受賞理由:独自技術を活用して分解能が世界最高レベルの透過型電子顕微鏡を開発.ナノテクノロジーの研究加速に貢献している点を賞す.

今回の展示:卓上走査型電子顕微鏡(SEM)が展示の目玉となっている.光学像を拡大してSEM像に移る機能,分析装置(EDS)を立ち上げなくても観察中の視野の元素がわかる機能,3次元観察が可能等の機能を搭載している.作業効率,操作の簡便性が著しく向上した.また,電子顕微鏡の普及を図っている.

 

◆カールツァイスマイクロスコピー(nano tech 2018 ライフナノテクノロジー賞)

受賞理由:高スループットの微細構造三次元解析およびサンプル作成が可能なFIB-SEM装置を開発した.低加速電圧ながら解像度を従来機から30%向上し,解像度は1.4 nmを達成したほか,サンプルの切削効率を大きく向上した.ライフサイエンス分野の分析・計測に大きな進展をもたらす画期的な装置開発を賞す.

今回の展示:受賞時と同様なFIB/SEM装置およびX線顕微鏡の他に,電界放出型電子顕微鏡GeminiSEMを展示した.FIB/SEMではフェムト秒レーザーを搭載して見たいところまで早く削るようになり,X線顕微鏡では分解能を高めデータ取得時間を1/2に低減し,構造と共に寸法計測を可能とした.GeminiSEMシリーズ構成で,アプリケーション領域を広め,低加速電圧SEMは200 Vまで可能となった.

 

◆スギノマシン(nano tech 2018 グリーンナノテクノロジー賞)

受賞理由:独自開発したセルロースナノファイバー抽出技術と疎水化技術を組み合わせた粉末を開発した.様々な母材に均一分散して強度を大幅に向上させることができる.従来は複合化が難しかった熱可塑性樹脂やゴムにも適用できる.機械メーカーの新たな事業展開を賞す.

今回の展示:量産用新機種として超高圧湿式微粒化装置「スターバースト」を展示した.ビーズミルを使わず,そのもの同士をぶっつけて粉砕するので不純物汚染がなく,半導体分野に展開する.バイオマスナノファイバーではフィラー用に大きい繊維のものも作れるようになった.

 

◆株式会社リコー(①nano tech 2016  nano tech 大賞,②nano tech 2019 nano tech 大賞,③nano tech 2020  ナノマテリアル賞)

①受賞理由:生体磁気計測技術を用いた神経活動検査装置,細胞を作る3D印刷機,急速充放電が可能な新型2次電池など,幅広い分野におけるナノテク技術の応用を賞す.

②受賞理由:インクジェット技術を用いて,ロール・ツー・ロールでリチウムイオン二次電池を自由な形状で製造する技術を開発し,電池のデジタル印刷製造を大きく前進させたことを賞す.

③受賞理由:固体型色素増感太陽電池を搭載した環境センサー,発電ゴムを利用した振動発電など,ユニークかつ先進的な材料技術開発を賞す.

今回の展示:上記受賞技術は継続して成果を挙げているが,特にインクジェット技術開発過程から次に示す数々の技術が発生している.微生物リキッドマーブル(微生物入り培養液を粉末でカプセル化,バイオ生産プロセスへの活用:ニュースリリース2020.12.4),抗菌・抗ウイルス膜構造の印刷,ガス・においセンシング,DNA標準プレート(細胞1個単位で吐出するインクジェット技術の活用,遺伝子検査,PCR検査の校正用),ヒト神経薬効・毒性評価プレート(バイオ3Dプリント技術で培った細胞接着コーティング技術の応用:ニュースリリース2020.12.3)

 

◆株式会社堀場製作所(nano tech 2020 ナノアナリティクス賞)

受賞理由:画像解析ユニットを加えたレーザー回折粒子分布測定装置,吸光度も測定できる新しい蛍光分光測定装置などを紹介,最先端材料の研究開発から品質管理までカバーする分析評価装置のラインアップを賞す.

今回の展示:新製品として,遠心分離+新技術でナノ粒子径分布を高分解能で測定し,幅広い試料濃度に対応する粒子径分布測定装置「Partica CENTRIFUGE」と高速で高い共焦点性を備えたラマンイメージング装置「LabRAM Soleil」を紹介した.前者はCNTなどの最先端微粒子材料から電池材料やインクのような高濃度試料まで測定可能.後者は,AFMとラマン分光を組み合わせて同時に形状と組成分析ができる.

 

◆株式会社エリオニクス(nano tech 2020 ナノファブリケーション賞)

受賞理由:50kVという低加速電圧ながら,高スループットの微細加工を実現した電子ビーム加工装置を開発.8インチのウエハ加工をわずか1日以内でできる高い生産性を賞す.

今回の展示:前回紹介した超高スループット電子ビーム加工装置 ELF-10000と共に新製品の電子ビーム描画装置ELS—BODENとELS-BODEN Σを紹介した.高精細パターン優先では加速電圧150kV/125kV,生産用途の高速描画には50kVなど顧客ニーズに合わせる,世界初のフル12インチ描画を実現している.2品種の内,前者は研究開発用途から少・中量生産を対象にウエハサイズや自動搬送機構もラインアップしている.後者は生産用を意識して400Hzの高速スキャンにより高速で高品質描画を実現する.

 

3.2.2 nano techから同時展示会への展開

 過去にnano tech総合展で広い小間面積を占有して活発な出展を行っていた企業が応用分野と結びつく同時展示会に移って活躍しているケースが多々見受けられた.そうした例を次に挙げる.nano techと同時開催展示会は関連が深いので,参加者も視野を広げて他展示会に足を延ばす必要が感じられた.

 

◆旭化成株式会社,旭化成ベンベルグ事業部:nano tech 2017でグリーンナノテクノロジー賞を受賞した旭化成は今回,LED JAPAN 2021(All about Photonics 2021)に高出力で高コスト効率の小型UVC LEDを出展,新型コロナウイルスへの効果も確認されている.All about Photonics主催セミナー「withコロナ対策セミナー」でも講演した.センサーを組み合わせた新型コロナウイルス感染症対策ソリューションの事業化に向けた取り組みを開始している.

旭化成ベンベルグ事業部は今回は新機能性材料展に出展した.独自の再生セルロース技術による各種応用製品を出展している.生分解性セルロース,吸液密着シート,機能性セルロース~MOF複合体,ナノ粒子複合体,等.

 

◆帝人株式会社/帝人フロンティア株式会社:nano tech 2013で「ナノファイバー技術」で大賞を受賞,nano tech 2016ではライフナノテクノロジー賞を受賞した帝人は,前々回から新機能性材料展に移っている.トワロン®ナノファイバー,超高分子量ポリエチレン製フィルム,グラフェン製品(単層グラフェン転写フィルム,グラフェン漏れ検知センサー,グラフェンコートケーブル),マスク,抗ウイルス素材,高機能複合ファブリック(電磁波シールド性,耐防炎性)等を展示した.帝人フロンティア株式会社は,InterAqua 2021に出展して,特殊繊維による商品を用いた水処理ソリューションの提供を紹介した.例えば,汚泥削減,脱水助剤,排水・廃液処理用膜ユニット,液体用フィルターカートリッジ等.

 

◆日本電気株式会社(NEC):NECはnano tech 2018で大賞を受賞した.ICT・AI・材料開発技術を融合してセンサー,低消費電力LSI,発電デバイス等を開発した総合電機メーカーとしての先進的な技術開発力が認められたものであった.しかしnano tech 2021への出展はなく,DER Japan 2021へのオンライン出展のみであった.出展内容はNEC Energy Resource Aggregationクラウドサービス関連技術,ローカル5G活用の課題解決サービス,虹彩マルチモーダル生体認証等であった.

 

◆富士フイルム株式会社:nano tech 2014でライフナノテクノロジー(最優秀技術)賞を受賞した富士フイルムは,このところnano techへの出展はなく,富士フイルムメディアクレストがASTEC 2021に出展している. 出展内容は,微細加工品の受託製造サービスで,マスクレス3Dレーザー描画装置により生産用金型(Ni電鋳)を作製して,射出成形品やナノインプリント品の試作および量産の受託であった.

 

◆国立研究法人の産業技術総合研究所(産総研),物質・材料研究機構(NIMS),理化学研究所(理研)はnano tech 2021への出展はなかった.

 産総研はデバイス技術研究部門がMEMSセンシング&ネットワークシステム展2021にオンライン出展している.出展の目玉は,超高速電子ビーム加工装置(註)とナノインプリント技術の併用によるウエハスケールナノ加工技術である.従来技術に比べて1万倍以上の生産性が見込まれ,ナノテクノロジーの応用分野拡大に大きく貢献することが期待されている.また,TIA共用設備を含む産総研のMEMS研究開発拠点活動は,2020年4月の組織再編により,従来の集積マイクロシステム研究センターからデバイス技術研究部門集積化MEMS研究グループを中心とする体制に移行した.

(註)超高速電子ビーム加工装置については,本NanotechJapan Bulletin, Vol. 13, No. 6, 企画特集10-9INNOVATIONの最先端(2020.6)に掲載.

 NIMSはスペースフォトン/NIMSの連名でInterOpto 2021に「0次光の影響のないDOE(回折光学素子)」を出展した.カスタムDOEの設計・製造を行っている.応用例としてセンシング用パターン光源(均一で広角),レーザー加工用レーザービームの形成(集光レンズレス,微細直線,長焦点深度等),サイネージ用のパターン表示(0次光がでないのでアイセーフ)などがある.

 理研はInterOpto 2021に「300GHz帯テラヘルツボディースキャナーを出展した.衣服の下の所持物を非破壊・非接触で探知する.

 

3.3 公的機関・組織的活動 --- アトリウムでの展示から

 

アトリウムでの展示

 

 アトリウムにおいては,国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO), 文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム, ナノカーボンオープンソリューションフェアが比較的余裕のある空間を使って展示を行った.

 

(1)文部科学省ナノテクノロジープラットフォームのブースでは,同事業とそのプラットフォーム利用成果の紹介の展示が行われ,初日の午後には令和2年度の秀でた利用成果と技術スタッフの表彰式がセミナー会場Aで行われた.秀でた利用成果6件中の最優秀賞は「熱アシストハードディスク用微小光熱源ナノヒーター®素子」(ユーザー:株式会社イノバステラ,豊橋技術科学大学,情報通信研究機構,福岡工業大学,Carnegie Mellon University,ナノフォトニクス工学推進機構,実施機関:東京大学 微細加工PF)であった.また,スタッフ表彰5件の中で優秀技術賞は「AN-2500バンデグラーフ加速器と共に37年」の西山 文隆氏(広島大学 微細加工PF)に授与された.

 

(2)ナノカーボンオープンソリューションフェアは,ナノテクノロジービジネス推進協議会の特別企画共催で前回に続いて開催された.ナノカーボンの製造および使用等に関する展示を集約し,その用途拡大を目的として,効率的なビジネスマッチングの場を提供するものである.12の出展があり,そのうち3出展はオンラインであった.日本ゼオンは両方に出展した.

 カーボンナノチューブ関係では日本ゼオン,ニッタ,サンアロー,TPR,GSIクレオスが出展し,グラフェン関係では仁科マテリアル,ニューメタルス アンド ケミカルス コーポレーションが出展した.


(3)NEDOのブースでは,5つの技術領域(バイオエコノミー,センシング,ものづくり,ライフサイエンス,先端材料)に別かれて材料・ナノテクノロジー関連の事業やプロジェクトなどが展示された.例を挙げれば,バイオエコノミー技術領域では,「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発」プロジェクトで「CNFの安全性評価手法および原料評価に関する文書類を公開」が行われた.また,ものづくり技術領域では「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」において「計算科学・人工知能(AI)を材料開発に適用する新手法の開発」の報告があった.

 

4.海外からの出展状況

 海外からの出展者数も大幅に減少した.図6は前回の出展者数と比較した国別のデータである.パビリオンとしての出展はオランダ,韓国,カナダだけである.この中でカナダはNanoCanadaがまとめ役となって全出展がオンライン出展であった.韓国は,例年のような出展社個別ブースは設けず,会場はパネル展示,オンラインで詳細展示が行われた.この他に,日欧産業協力センターを介しての出展が9者(昨年は10者)あった.

 こうした状況下でオランダの積極的姿勢が目立った.出展者数も前回をこえており,オンラインセミナーで日蘭ナノテクビジネスウェビナーを開催した.このセミナーでは,オランダ王国大使館のイノベーション参事官 Eric van Kooij氏の挨拶のあと,オランダ・デルフト工科大 教授 Urs Staufer氏から”Nano4Society”について,続いて名古屋大学教授・nano tech実行委員会副委員長 馬場嘉信氏から“Nanobiosensors and Quantum Biosensors for Future Healthcare”と題して講演が行われた.

 

図6 海外からの出展者数のnano tech 2020とnano tech 2021の比較

 

韓国パビリオン

 

オランダ パビリオン

 

5.おわりに

 第20回国際ナノテクノロジー総合展は,世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)大流行の中で開催された.COVID-19問題は人類と感染症の戦いであり,その最中に開催されたnano tech 2021は,今後も続く感染症との戦いの武器としてのナノテクノロジーの貢献を議論する場でもあった.また,DXにより急速に変化する新しい社会の創出を目指す基盤技術を議論する場として,COVID-19の流行の中で敢えて開催されたnano techは厳しい環境への挑戦とも言えよう.

 リアルとオンラインのハイブイッド方式という新しい展示会方式の計画実行には並々ならぬ努力が必要であったと推察する.COVID-19の影響で,出展者,参加者の減少はあったが,充実した議論,情報の流通があり,ハイブリッド方式の良さを実感することができた.ちなみに,本報告は主としてオンライン取材に基づいて作成したものである.

 次回のnano tech 2022は2022年1月26日~28日に東京ビッグサイト 東ホールと会議棟で今回と同じハイブリッド方式で開催される.人類が新型コロナウイルスを征服して,持続可能な新しい社会に向けた本展示会の盛会を期待したい.

(註)本文中の写真は冒頭の一枚(「リアルとオンラインのハイブリッド展示・会議」の写真)を除いてnano tech 事務局から提供された.

 

(向井 久和)