NanotechJapan Bulletin

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Vol. 1, No. 2, 2007年12月21日発行/九州ナノテクノロジー拠点ネットワーク

NanotechJapan Bulletin Vol.1, No.2, 2007 発行

拠点訪問記 — 九州ナノテクノロジー拠点ネットワーク —

 2007年9月26,27日に「九州ナノテクノロジー拠点ネットワーク」に所属する九州大学,九州シンクロトロン光研究センター(佐賀大学),北九州産業学術推進機構(北九州市立大学)を訪問した.中核機関である九州大学は,超顕微解析,分子・物質合成解析の二つの分野で支援を行っている.当日は,福岡市の郊外に新しく整備中の伊都キャンパスにおいて,中核機関代表者である工学研究院応用化学部門の中嶋直敏教授,超高圧電子顕微鏡室の松村晶教授,友清芳二特任教授他に面会した後,超高圧電子顕微鏡棟の見学を行った.


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左図:九州大学伊都キャンパス ウエスト2,3,4号館(工学系研究院を収容する建物) 
(出典:http://suisin.jimu.kyushu-u.ac.jp/showcase/photo/index.html
 
右図:オメガフィルター内蔵超高圧電子顕微鏡 
(出典:http://suisin.jimu.kyushu-u.ac.jp/showcase/photo/index.html


 九州大学超高圧電子顕微鏡室は,世界に一台しかないオメガフィルターを備えた超高圧電顕(JEM-1300NFE)をはじめ,200kVから400kVクラスの電顕を多数保有している.最近,箱崎キャンパスから移転してきたばかりであり,整備が完了すれば世界に冠たる超顕微解析支援が可能になるものと思われる.超高圧電子顕微鏡棟も除振機能を備えた最新の付帯設備からなり,大変恵まれた環境にあるといえよう.

 分子・物質合成解析支援に関しては,中嶋先生の応用化学部門の研究室と,先導物質化学研究所の高原先生の研究室を見学した.各種の有機,無機・有機複合系のナノ分子材料およびそれらを用いたナノ分子デバイス構築のための合成,構造,機能解析と評価に関して総合的な技術支援が可能となっている.主な支援装置としては,ラマン信号分光光度測定システム,近赤外発光分析測定システム,有機薄膜ナノ加工装置,インクジェット成膜装置等を整備している.代表者である中嶋先生は,「カーボンナノチューブ可溶化・機能化デザインへの戦略的なアプローチ」の研究でThomson Scientific社 のResearch Front Award 2007-最先端研究領域において活躍する日本の研究者-を受賞したばかりである.

 9月27日午前は連携機関である九州シンクロトロン光研究センター,佐賀大学シンクロトロン光応用研究センターを訪問した.当日は,連携機関代表者である九州シンクロトロン光研究センター 平井 康晴副所長,利用・企画グループ 森 満グループ長,佐賀大学シンクロトロン光応用研究センター長 鎌田 雅夫教授他に面会した.九州シンクロトロン光研究センターでは,XAFS,X線回折,X線微小角散乱,反射率測定等の評価手法を用いて,先端ナノ材料の研究における課題解決のための総合的支援を行っている.すでに,佐賀県地域産業支援センターの活動として有償でオープン支援を行っており,今回,ナノネット事業に参画することとなった.シンクロトロン光研究センターの蓄積リング(背後にあるコンクリート壁で覆われた部分)と専用ビームラインBL15を図に示す.


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シンクロトロン光研究センターの電子蓄積リングおよびビームラインBL12,BL15
(出典:九州シンクロトロン光研究センター パンフレット

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ナノスケール表面・界面ダイナミクス用ビームライン
(出典:http://www.slc.saga-u.ac.jp/

 佐賀大学シンクロトロン光応用研究センターでは,センターが所有する分光装置,光電子分光装置,フェムト秒レーザ,資料準備システム並びにオフラインの顕微レーザラマン装置を提供し,レーザと組み合わせた新しい分光法に基づく技術支援が可能である.ここで目を引くのは,ナノスケール表面・界面ダイナミクス用ビームラインに備えられた,強力なシンクロトロン光および高輝度アンジュレータ光とエネルギー選択性の高い真空紫外線・軟X線分光システムに光電子分光と蛍光分光を複合した高分解能測定システム.特殊な装置であり,誰もが使いこなせる訳ではないだろうが,他の放射光施設ではできない実験が可能であり,特徴的な支援活動が期待される.専用ビームラインBL13を図に示す.

 9月27日午後は連携機関である北九州産業学術推進機構,北九州市立大学を訪問した.当日は,連携機関代表者である北九州市立大学の吉塚 和治教授,西浜 章平講師,北九州産業学術推進機構産学連携センターの日下 尚司部長,工藤 一成部長他に面会した.北九州産業学術推進機構は,共同研究開発センター内に半導体デバイス製造技術を基盤とした超微細加工施設を持ち,CMOSプロセスやMEMSの試作支援を行う.また,北九州市立大学の計測・分析センターの装置を使い,有機・無機材料を用いた化学的・生物化学的機能を発現させるためのマイクロナノシステムの評価,機能発現メカニズムの解明技術を支援する.

 北九州産業学術推進機構,北九州市立大学は北九州市に新たに開発中の北九州学術研究都市内にあり,最新の環境,設備の下で運営されている.周辺の産業界との連携により,今後ますますナノネット事業に力を入れていくものと思われる.