NanotechJapan Bulletin

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Vol. 1, No. 3, 2008年2月28日発行/超微細リソグラフィー・ナノ計測拠点(東京大学)

NanotechJapan Bulletin Vol.1, No.3, 2008 発行

拠点訪問記  — 超微細リソグラフィー・ナノ計測拠点(東京大学) —

 2007年10月3日に「超微細リソグラフィー・ナノ計測拠点」のある東京大学を訪問した.同拠点では,工学研究科総合研究機構ナノ工学センターと大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)が密接に連携して支援を推進している.当日は,総合研究機構ナノ工学センターの生原雄一機構長,電子顕微鏡支援の山本剛久准教授,3次元ナノ構造形成の杉山正和准教授他に面会したほか,超高圧電顕を持つナノ工学センターの見学を行った. 超高圧電顕,透過型分析電顕,汎用透過型電顕等数台の電子顕微鏡が総合研究機構ナノ工学センターに装備され,これらは東京大学・日本電子産学連携室のもとで運営され,装置が最高の状態に管理されている.今回,これら各種電顕群がナノネット事業に参画した.東大が保有する超高圧電子顕微鏡(図)は,世界最高分解能を有する超高圧電子顕微鏡であり,0.1nm以下の分解能におけるナノマテリアルの解析や酸素,窒素等の軽元素の直接観察が可能となっている.観察技術,解析技術は極めて高く国際的に権威の高い学術雑誌に多くの成果を発表している.


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左図:超高圧電子顕微鏡(JEM-ARM-1250)0.1nmの原子直視型超高圧透過型高分解能電子顕微鏡
右図:透過型分析電子顕微鏡(JEM-2010F)EDS, EELS, STEM-HAADF観察が可能

 一方,VDECは10 年以上にわたり可変成型ビームによる大規模高速電子線描画装置を全国の大学・高専に共同利用に供してきた実績がすでにある.本装置は,最大8インチウエハまでの各種サイズ・形状の基板に対応し,可変整形ビーム方式により平均描画時間1時間未満という高スループットを達成している世界有数の装置である.すでに学内外から年間 1000 件近くの利用があり,マイクロマシン分野で最も権威のある国際会議「MEMS」において,近年日本からの口頭発表(採択率 5%)のうち 90%が VDEC の電子線描画装置を利用しているなど,すでにわが国の大学・高専における研究開発に多大な貢献を行っている.ナノネット事業に参画することで,技術員の増強による依頼描画サービスを開始するなど,学外の初心者にも開かれたリソグラフィー支援体制を構築していく.本描画装置は,クラス1のクリーンルームである武田先端知ビルスーパークリーンルームに設置されている.このクリーンルーム環境を活用して,リソグラフィーとエッチングなどの微細加工技術を組み合わせたナノ構造形成が可能となっている.

 このように,東大の「超微細リソグラフィー・ナノ計測拠点」ではナノ計測とナノ加工が都心のアクセス良好な立地に集約されており,今後産業界から多くの利用が期待される.


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左図:可変整形ビーム電子線描画装置(アドバンテストF5112改造機),高スループット(平均
露光時間1時間未満),精度100nm以上,各種サイズ・材質の基板に対応(最大8インチ).
右図:シリコン深掘りエッチング装置 (Alcatel AMS100),アスペクト比100対応のMEMS用
エッチング(出典:http://nanotechnet.t.u-tokyo.ac.jp/cleanroom.html

(物質・材料研究機構 杉本 喜正)