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<第27回>
ナノバイオデバイスが拓く未来医療
名古屋大学教授 馬場 嘉信氏に聞く

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 21世紀に入って,ナノテクノロジーの研究開発機運がグローバルに展開し,その応用分野の開拓が,各方面で活性化している.特に,ナノテクノロジーの医療分野への応用が医療分野の変革をもたらすものと期待されている.

 本特集でも2013年Vol. 6, No. 5で「高分子ナノテクノロジーに基づく標的指向型ドラッグデリバリーシステムの創出」東京大学教授片岡一則氏を紹介し,2014年Vol. 7, No. 3で「再生医療革命をもたらす細胞シート工学の創出」東京女子医科大学教授岡野光夫氏を紹介した.両者はそれぞれ内閣府の最先端研究開発支援プログラム(FIRST)のプロジェクトを実施している.2014年Vol. 7, No. 3では更に,企業での取り組みとして「富士フイルムのライフイノベーションに向けた挑戦」の表題で同社の吉岡康弘氏から高分子設計技術を駆使し開発した足場材による再生医療への挑戦を紹介した.

 今回,FIRSTのプロジェクト「1分子解析技術を基盤とした革新ナノバイオデバイスの研究開発」(中心研究者:大阪大学教授 川合 知二(かわい ともじ)氏)の共同提案者としてプロジェクトのキーテクノロジーの研究開発を担当し,ナノバイオデバイスによる先端医療の革新に向けた研究開発で数々の成果を挙げておられる名古屋大学大学院工学研究科化学・生物工学専攻 教授 馬場 嘉信(ばば よしのぶ)氏を大学の教授室に訪ね,未来医療全般,特にナノバイオデバイスが拓く医療とその研究開発のお話を伺った.[1][2]

1.研究開発の課題---ナノバイオデバイスとは

1.1 工学と医学の融合

 馬場氏はナノバイオデバイスと名付けた技術の研究を進めており,ナノテクノロジーの医療分野への適用による医療の進化を目指している.名古屋大学は以前から工学と医学の交流に積極的であった.現在の総長は医学部出身であり,前総長は工学部出身である.お二人が研究科長の時代から積極的な協力関係がスタートしており,両者を結ぶネットワークができているとのことであった.「私は,10年前に徳島大学から名古屋大学に移り,工学研究科所属となったが,まずは医学系研究科に挨拶に行き,共同研究も開始させてもらっている.現在,医学系研究科にも協力講座としてラボを持っている.」と馬場氏は語った.

 半導体微細加工技術はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)として半導体集積回路以外の広いアプリケーション(半導体および半導体以外の材料による機械要素部品,センサ,アクチュエータ,電子回路)に適用され,医療分野でも多く活用されている.最近では,微細加工領域が1マイクロメートル(µm)以下のナノメートル(nm)領域に入ってきている.この領域では,加工構造を分子サイズと同程度あるいはそれ以下に設計できるので,ナノ構造をバイオテクノロジーに適用することにより,「検体が極めて少量でよい」,「計測が極めて高感度」,「小さい生体分子を識別できる」などの大きな特徴を持ったナノバイオデバイスの実現が考えられ,既存の技術では不可能であった超高感度,超高速度の生体計測・診断が可能になりつつある.そして,その実用化に欠かせない工学と医学の連携の体制が名古屋大学では整っている.

 馬場氏の研究室では,ナノ構造体として,ナノピラー,ナノウォール,ナノワイヤ,ナノ・マイクロチャンバー,量子ドット等を手掛けており,DNA超高速分離,イムノアッセイ(免疫測定)・血液薬物の超高感度解析,がん・感染症等の早期診断,ナノ蛍光体(量子ドット)によるがん細胞高感度検出,幹細胞治療における幹細胞in vivo**イメージング診断を実現している.

*:幹細胞(かんさいぼう,stem cell)は,分裂して自分と同じ細胞を作る能力(自己複製能)と,別の種類の細胞に分化する能力を持ち,際限なく増殖できる細胞.iPS細胞もその一つ.

**:in vivo(イン・ビボ)とは,“生体内で”という意味で,マウスなどの動物実験を指す.

 

1.2 医療分野のニーズ---早期がん診断

 がんは,我が国の死亡原因のトップを占めており,その予防・診断・治療は人類にとって重要な課題である.特に早期診断は治療の成否に大きく影響するので,関心が高まっている.がんの診断には組織に直接触れない画像診断や内視鏡と,直接組織の細胞を調べるバイオプシー(生検)がある.

 最近,画像診断ではCT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)やPET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層影像法)により小さいがん組織をイメージングできるようになり,早期診断の効果が上がっている.しかし,これら画像診断では1mm以下の小さいがん組織は原理的にみつからない.1mmのサイズのがん組織は細胞数では100万個になる.1個のがん細胞が100万個に成長するのは5年位掛かると云われており,この5年の間により早くがん細胞がみつけられないかという考えが生まれてくる.そこで少ない細胞数でがんを見つけようと云うのが,馬場氏の研究の一つである.

 もう一つの診断方法であるバイオプシーは患部組織に針を立てて組織の一部を採りだすので,患者の負担が大きく,最近は血液から診断するリキッドバイオプシーに対する要望が多くなっている.がん組織は急激に細胞が増殖するために血管と繋がって必要な養分を取り込む.その血管からは逆にがん細胞そのものやがん細胞の一部が流れ出してくるので,これを検出することでがんの存在が分かる.がん以外の色々な病気でもそれぞれの病気特有の分子が血管に流れ出るので,一般の健康診断での血液検査ではそれらを検出している.ただ,検査には大きな装置が必要でコストも掛かり,まして個人が手軽に測ることはできない.現在手軽にできるのは血糖値くらいである.この問題を解決するのが,ナノテクノロジーであると馬場氏は語る.また,肺で血液中の二酸化炭素と呼気の酸素を交換する際に血液中の揮発性の分子が呼気に混ざるので,血液ほどではないが,呼気からでも特定の病気の診断を行なうことも可能性があると云う.

 更に血液の中には血中循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cell)が原発がん(最初に発生したがん)組織から放出されていることが最近分かってきた.これが転移のメカニズムの一つと云われている.最近では原発がんで亡くなる人は減少しており多くは再発または転移がんで亡くなるので,世界中でCTCに関する研究が注目されている.しかし,ここでの問題は転移の初期の人では血液10ml中にCTCは数個から10個位しか存在しないことである.これに対して赤血球は100億個,白血球は数千万個あるので,その中からCTCを識別するのが難しい.特に白血球とCTCはサイズが近いので分別が困難であり,課題となっている.また,CTCの中に存在するDNA(デオキシリボ核酸:遺伝子情報を保持する物質),RNA(リボ核酸:DNAの情報を転写して蛋白質の合成などに関与する物質)などを調べることが重要で,リキッドバイオプシーの課題である.

1.3 研究課題への取り組み

 上述のようなニーズに対応して,馬場氏は最近,表1に示す研究課題に取り組んでいる.表中の(1),(2)は内閣府のFIRSTプログラムのプロジェクトで研究開発を実施してきた.プロジェクトの中心研究者の大阪大学 川合 知二氏は1分子解析技術開発を進められ,共同提案者の馬場氏は1分子解析を含むナノバイオデバイスの研究を行った.こうした基礎研究の開拓と共に,パナソニック,東レ,東芝,JMAC等の企業の協力で研究成果の実用化に向けた活動を行ってきた.プロジェクトは2013年度で終了したが,その成果を基にベンチャー企業を設立し,このベンチャーが中心となって上記企業と共に実用化を展開している.なお,FIRSTプログラムの基礎研究は,今後,同じく内閣府で新たに始まるImPACTプログラムのなかのプロジェクトで更なる展開を図ることになっている.

 表1の研究課題の展開(3)はいわばFIRSTプログラムの研究の水平展開であり,FIRSTプログラムが主に医療現場や在宅での病気の診断を対象とするのに対して,こちらは病気になる前の生活の中での予防的手段を対象とする.COIプログラムは産学連携により未来社会のニーズを想定して革新的技術の創出を目指すものであり,将来高齢者が元気になるようなモビリティー社会を作ることを目標としている.車の中での健康状態のチェックとか,運転中の疲労感やストレスを評価できるシステムなどである.

 表1の研究課題の展開(4)は,ナノバイオデバイスとして量子ドットを活用するもので,(1)~(3)が解析・診断を行うのに対して,ここでは診断と治療を融合した研究を行う.特にiPS細胞による再生医療に活用するなどの研究が始まっている.

 以下の章では,上記(1)から(4)の研究展開を紹介する.

表1 馬場氏グループの研究課題の展開と参加プロジェクト

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2.単一がん細胞の診断[3]

 血液中の微量のがん細胞を見つけ出す課題に対して,馬場氏は以下に示す単一がん細胞を検出・解析する技術を提案している.

 まず,図1に示すように,プラスチックの板状のチップに直径100µm,深さ50µmの穴の配列を形成し,チップ表面に特殊処理をして表面に付着した血液が水で洗い流せるようにする.図2はがん患者の血液からCTCを抽出する工程を示している.患者から採血した血液をチップ表面に塗布し水洗すると,穴の底に単層に細胞が残る.がん細胞を光の照射により識別する蛍光試薬はある程度開発されているので,これを穴の上から散布して光を当てることで,CTCを識別できる.このCTCを針で採りだして,後述のナノポア・シーケンサーなどで中身を解析する.

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図1 がん細胞検出チップ (出典:参考文献[3])


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図2 がん細胞検出チップを用いて血液中のCTCを検出・解析する工程 (提供:馬場氏)

 

 図3はチップ上でCTCの存在する穴の拡大写真とCTCの蛍光写真である.チップには2万個を超える穴が形成されており,各穴にはおよそ50~100個の細胞が単層で存在するので,合計すると100万~200万の血液細胞が存在しており,その中から個別にCTCを見つけ出すことができることになる.実際に名古屋大学医学部の長谷川教授の肺がん患者の血液サンプルで試験して効果を確認している.所要時間は1時間足らずであり,チップの製造は金型を作って量産できるので,極めて低コストで医療現場において検出できる手法である.企業では東レ,研究では産総研と協力して進めている.なお,現在,世界中の現場でCTCを検出できるのは,米国Veridex社が開発し,米国FDA(Food and Drug Administration,食品医薬品局)の承認を受けているCellSearch(セルサーチ)システムだけである.このシステムは,乳がん,前立腺がん,大腸がんには適用できるが,肺がんには承認されていない.このシステムと本研究システムとを同じ血液サンプルで比較してみた結果,前者では血液7.5ml中に数個のCTCが検出されたが(この装置では5個以上あればがん患者と認定することになっている),本研究システムでは数十個検出された.この違いの原因は検出工程にある.前者ではがん細胞表面のある特定分子を見つけ出してその細胞を他の細胞から分けることで検出しており,その特定分子が無い場合が多くあるので,がん細胞の検出が十分ではないと云われている.本研究では細胞を並べるだけという簡単な手法であり,そうした問題は発生しない.現在,患者を増やしてこの方法が問題ないことを確認中である.

 

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図3 100万個の血液細胞の中から1個のCTCを検出 (提供:馬場氏)

3.ミドリムシによる単一がん細胞の検出[4]

 ここで,もう一つの生き物を利用した大変ユニークな単一がん細胞検出技術を紹介する.馬場氏の下,2008年当時助教であった岡本 行広(おかもと ゆきひろ)氏(現大阪大学講師)が着想したミドリムシ(学名:Euglena)を利用する技術である.ミドリムシは植物と動物の性質を併せ持つ変わった単細胞の生き物である.図4左に示す形状で長さは約100µmである.鞭毛があって泳ぐ一方,緑色をした葉緑体で植物と同様に光合成で栄養を創り出す特徴がある.培養が簡単で株式会社ユーグレナが食用あるいはバイオ燃料用として開発と販売を行っている.岡本氏は,この生命体は光に反応し液体中を移動し,特に強い光から逃げる性質があることに着目した.

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図4 ミドリムシとマイクロ流体デバイスによるがん細胞の分離 (提供:馬場氏)

 

 図4左に示すようにミドリムシの表面にがん細胞を認識できる抗体を固定する仕組みを作り,図右に示すマイクロ流体デバイスの入り口の容器にがん細胞を含む試料と一緒にいれ,その後入口容器に強い光をあてると,がん細胞をつけたミドリムシはマイクロチャネルを泳動して出口容器の方に移動するのでがん細胞を他の細胞から分離することができる.なお,抗体の固定は物理的に行われており,出口容器の中で暫くするうちにがん細胞はミドリムシから離れる[5].実験では2種類の疑似細胞(蛍光物質)各2万個とそのうち1種類の疑似細胞に対する抗体を固定したミドリムシ3000匹を入口容器に投入し,強い光を当ててミドリムシを出口容器に移動させた.90分後までの間に疑似細胞は自然にミドリムシから離れ,7000個の疑似細胞の回収に成功したという.実際に肺がんなどの細胞の運搬,血液中での泳動の様子も確認している.「このようにがん細胞を分離するだけでなく,血液中のがん細胞を取り除くという応用も考えられる.体内にミドリムシを注入するのは問題があるかもしれないが」と馬場氏は語った.

4. 一分子解析技術を高速化するナノバイオデバイス[6]

 以上では血液中のがん細胞を見つけ,採りだす技術を説明したが,次に細胞中の1分子を採りだし解析する技術を説明する.がん細胞に限らずDNA,RNAなどを対象とするナノバイオデバイスである.この研究は大阪大学教授 川合 知二氏のグループとの共同研究で推進している.

 1分子の解析技術としては,川合氏がナノポア技術を開発している.ただし,これを用いて例えばDNAを解読しようと思えば,血液中からその分子だけを採りだしこの装置に掛けられるように伸びた状態にする必要がある.馬場氏はそれを可能とするナノバイオデバイスを開拓している.

 ナノバイオデバイスの説明の前に,ナノポア技術について簡単に紹介する.ナノポアは米国のグループが先に開発していたが,川合グループのナノポアは内部にナノ間隔で対峙する電極を設けることで新しい機能を備えたゲーティングナノポア技術であり,2009年に発表され,遺伝子解読に新たな道を拓いた[7].

 図5はナノポアの構成と動作メカニズムを示している.ナノポア内部に設けられた電極の間隙はトンネル電流が流れる距離であり,そこにDNAを通すと,DNAを形成する文字に相当するアデニン,チミン,グアニン,シトシンという4種類の塩基が通過する時のトンネル電流値の違いから,DNA上のそれら塩基の配列を読み取ることができる.読み取る速度は1500文字/秒と高速である.さらにナノポアのようなエレクトロニクス構造はアレイに集積できる特徴があるので,1000基並べれば計算上では1時間で36億文字(塩基)が読めることになる.人の遺伝子情報がこの位の量であり,従来は読むのに数週間掛かったが,それが1時間で読めることになるという.しかし,そのためには,サンプル中から測定すべきDNAを分離して取り出す必要がある.

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図5 川合氏開発のナノポアの構成と機能 (提供:馬場氏)

 

 馬場グループのターゲットは,サンプル中から対象とするDNAやmRNAを分離・識別して取り出す時間の短縮にある.また,ナノポアで解析するためには,通常は丸まっているDNAを長く伸ばす必要がある.丸まっている方がエントロピーが低いので,伸ばすためにはそれなりのエネルギーが必要になる.馬場グループはこの一連の機能を物理的に実現することを考えて,10年位前から図6aに示すようなナノピラー構造を用いる研究に取り組んできた[8][9][10].

 

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図6 ナノピラーによるDNAの分離 (出典:参考文献[9])

 

 図6cは石英ガラスの表面に液体の流れるチャンネルとその中のピラーの列をエッチングで作り,蓋を被せた構造体の断面図である.図6dに上面から見たピラーの配列状況を示す.この際,ピラーの間隔を丸まった状態のDNAの寸法以下に設計する.液体流に乗ってチャンネルに沿ってピラーの配列の入り口に来たDNAはピラー配列領域に印加された電界が加わることで,ピラー配列の中に引き込まれていく.この際,ピラーの間隔を丸まった状態のDNAの寸法以下の例えば200nmに設計すると,DNAは解れて細長く伸びてピラー間に入って行き,途中のピラーに引っかかりながら出口に向かう.従ってDNAの長さによって通り抜ける速度に違いが生じる.ピラーの間隔が大きくてDNAの丸まった寸法が小さい場合は,丸まった塊としてピラーにぶつかりながら通り抜ける.このようにDNAの丸まる寸法によってピラー領域を通過する時間に差ができる現象を利用してDNAの識別が可能となる.図6の実験では,種々の長さのDNAにそれぞれの蛍光指標を付けて8mm長のピラー配列領域を通過する時間を測り,DNAの識別ができることを実証した.

 上記の原理確認の実験結果を踏まえ,ピラー配列等の構造設計,水圧や印加電界等の動作条件などの最適化を行い,10年前の段階でピラー領域の長さ500µmで10ms以下の時間でDNAの識別が可能となった.第1世代ナノピラーである.

 図7に示すようにDNAの解析は1960年代に始まっているが,この時代は識別に必要な時間は数時間であった.2004年の第1世代ナノピラーでは1800倍の改善ということになる.その後第3世代ナノピラーまで特性を改善してきている.なお,ここで第3世代はFIRSTプログラムの中で,大阪大学グループと協力しながら進めてきた.「最近は,動作原理を基礎から見直し,ナノピラー領域に入る境界のエネルギーバリヤを超える時間の差でDNAを識別できることが分かり,“まばたき”をする時間で識別ができる.」と馬場氏は語った.また,このような進歩を可能にするのはナノテクノロジーである.「DNAやRNAはナノのサイズであり,それに合ったナノのサイズの構造で対応すること,さらにナノの領域ならではのメカニズムの発現があり,従来技術で不可能な特性が得られる.」とコメントされた.

 

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図7  DNAの分離・伸長時間の短縮化の進展経緯 (提供:馬場氏)

 

 なお,各時点の技術でDNAの完全解読に要する時間を時系列的に見ると,図8のようになっている.1990年に国際ヒトゲノム配列コンソーシアムによって組織されたヒトゲノムプロジェクトが開始され,ヒトゲノムが読めるようになって2003年に終了している.この時点では,300台の装置で3か月掛かったと云われている.その後,次世代シーケンサーにより所要時間を日や時で数える長さに短縮されてきた.今後はナノポアを使って,時や分で数える長さに短縮するのが目標となっている.

 

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図8 ヒトゲノム配列決定(sequencing)に必要な時間のロードマップ (提供:馬場氏)

 

 もう一つの目標はコストの低減である.図9にゲノム解読のコストの変遷を示す.次世代シーケンサー出現により,2008年頃から急激にコストが下がっており,現在は10,000ドル近辺である.馬場氏は当面の目標は1,000ドルという.米国のWebサイトFierceDiagnosticsは2014年1月29日,Illumina社が2,000ドルでゲノム解読できるシステムを発表したこと,および,大阪大学から出たベンチャー企業Quantum Biosystems社が一年後にIllumina社のシステムより低コストのシステムを発表することを伝えている[11].後者のシステムはナノポア技術を用いると共に,特にIllumina社システムではコストの大半を占めている工程前段の試料を用意する部分を大幅に削減したことを挙げている.これは名古屋大学との共同研究によるナノバイオデバイスの効果である.

 

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図9 ゲノム解読のコスト (提供:馬場氏)

5. ナノワイヤデバイスによるエクソソームおよびマイクロRNAの摘出[12]

 血液中の物質で最近研究の対象として注目を集めているものにエクソソームとマイクロRNA(miRNA)がある.エクソソームは以前から存在は知られていたが,あまり研究が進んでおらず病気との関係が分かっていなかった.ここ10年ほどその働きが分かってきて,その重要性が認識され,世界中で研究されるようになった.エクソソームは直径100nm位の細胞小胞顆粒で,あらゆる細胞から分泌しており,がん細胞からも分泌している.エクソソームは血液だけでなく尿,唾液,汗など,あらゆる体液に存在する.内部に蛋白やmiRNAなどを包み込んでおり,普通の細胞より小さいので血管中を排除されることなく流れ,血管の中では長く生きられないmiRNAなどを運搬する機能を果たすことが分かってきた.

 miRNAは塩基の数が20個位であり,RNAが万のオーダーの塩基を持つのに対して大変小さく,沢山でてくるので,以前はごみと考えられていたが,最近はそれが例えばRNAの活動を補佐するなどの重要な働きをしていることが分かりつつある.従って,がんの転移にも関係しているわけで,その検出が重要課題となっている.

 miRNAは現在約6000種が発見されており,肺がん,肝臓がん,大腸がんではそれぞれmiRNAが異なっている.血管中のエクソソームを分離・回収し,ナノポアでその寸法,形状,個数などを測り,更に破砕液でこれを壊し,内部のmiRNAを採集し解析する必要がある.今年からNEDOでも,血液と尿からmiRNAを採りだす技術を作って,疾患の診断を精密に行おうというプロジェクトがスタートした.13種類のがんと認知症等の15種類の病気をいっぺんに調べることを可能にしようというものである.

 馬場グループは,これをナノテクノロジーを活用して行おうとしている.まず,エクソソームの寸法,形状,数の測定をナノポアを使って行う.この場合ナノポアの電極間距離はエクソソームの寸法に合わせて広げるので,これらの測定は電極間の抵抗値変化で行うことになる.血液中のエクソソームの回収はナノワイヤデバイスで行い,内部のmiRNAを取りだす.

 ナノワイヤデバイスの構造と製作過程を図10に示す[13].図中のaは評価用チップの表面に形成された検体の流路であるチャンネルの途中のナノワイヤを形成する場所を示している.図中のIはそこに形成されたナノワイヤの形状を,図中のIIはナノワイヤの側面に枝を付けた樹枝状のナノワイヤの形状を,図中のIIIはその枝に更に小枝を付けたナノワイヤの形状を示している.図10の下段は,上段のナノワイヤを形成する過程を示している.左端の図はチャンネルを形成する溝の底面にナノワイヤを成長させる触媒の金粒子を,成長予定場所に堆積形成した状態を示し,その右の図はその金の粒子を触媒として気相成長でその下にワイヤの結晶(例えばSnO2)を成長させ,金粒子を持ち上げる形になっている.図上段のIに対応している.次に右の図は,前段のワイヤの側面に触媒の金粒子を付着した状態,右端の図は,その側面に付着させた金粒子を触媒としてそこから枝が成長した状態で,これが上段図のIIに対応している.この枝にたいして金粒子を付けて小枝を成長させたのが,上段のIIIである.図11,図12は実験でナノワイヤを作成した例である.このナノワイヤ製作は川合グループと共同研究で進めている.

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図10 ナノワイヤおよび樹枝状ナノワイヤの製法 (提供:馬場氏)


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図11 ナノワイヤ(直径1nmオーダー,アスペクト比1000以上) (提供:馬場氏)


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図12 樹枝状ナノワイヤ (提供:馬場氏)

 

 図10のナノワイヤの表面にさらに別の材料を被せることができるので,エクソソームやmiRNAを吸着し易い物性を持った材料でカバーする.ナノワイヤの太さは金粒子の寸法で決めることができ,ワイヤの間隔は初めの金粒子を堆積させる位置の設定で自由に設計できる.これらの条件をエクソソームやmiRNAの寸法にたいして最適化することで,これら標的を効率よくナノワイヤ群の中に取り込むことができる[14].

 確認実験を医学部の協力を得て行った.直径2~3nm,長さ100nmのナノワイヤデバイスを作り,がん細胞培養液の上澄を検体として,検体に含まれるエクソソームに赤色蛍光染色をしたうえでナノワイヤデバイスに注入し,ナノワイヤ領域にエクソソームが捕獲されている状況を確認した.これまで一般的に用いられている凝集試薬法や遠心分離法に比べて回収効率が向上している.また,エクソソームから採取したmiRNAについても,同様にナノワイヤによる捕獲を行い,従来の凝集試薬法や遠心分離法による回収と比較して,同等以上の回収率を得ていることを確認している.尿の検体によるmiRNA抽出の実験では,従来法では抽出困難な場合もあったが,ナノワイヤデバイスでは100種以上のmiRNAの抽出が確認されて,その有用性が示唆されているとのことである.

6. 未来医療に向けて

6.1 FIRSTプロジェクト研究成果の展開体制

 2章~5章で説明した研究は,FIRSTプログラムのプロジェクト「1分子解析技術を基盤とした革新ナノバイオデバイスの開発研究」で実施してきたものである.そのプロジェクト実施に際し名古屋大学には革新ナノバイオデバイス研究センター(センター長は馬場氏)が開設された.図13は同センターの組織と関連機関との協力体制を示す.FIRSTプロジェクトは2013年に終了したが,この体制はそのまま継続し,研究展開を行って行く.

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図13 名古屋大学革新ナノバイオデバイス研究センターの組織とFIRSTプロジェクト実施体制 (提供:馬場氏)

6.2 未来に向けた二つのプロジェクト

6.2.1 生活のなかでの超早期診断

 ここでは,初めに超高感度で短時間での測定可能な小型化できる健康診断技術,続いて自動車のなかでも使用できる呼気による健康診断等の研究状況を紹介する.前者は愛知県 知の拠点 重点研究プロジェクト「超早期診断技術プロジェクト」(2010~2015)などですでに実用化に向けた検討を進めており,後者は文部科学省の「基本的イノベーション創出プログラムCOI STREAM」のなかのプロジェクトとして2013年に始まった.

 COI STREAMは,将来あるべき社会の姿,暮らしのあり方を「ビジョン」として設定し,10年後を見通した革新的な研究開発課題を特定した上で,基礎研究段階から実用化を目指した産学連携による研究開発を集中的に支援するものである.トヨタ自動車を代表とする「多様化・個別化社会イノベーションデザイン拠点 ~いつまでも活き活きと活動し暮らせる社会とモビリティー~」の提案がプロジェクトとして採択され,名古屋大学はその研究の中心となっている.現在このプロジェクトの研究棟を建設中で2015年3月完成予定である.ここには参加企業(旭硝子,東芝,豊田中央研究所,パナソニック,富士通)の研究室が設けられ,大学と一緒に研究を行うことになる.

(1)超高感度・瞬時測定・小型化可能な健康診断技術イムノピラー

 超高感度・短時間で持ち運びもできる小型の健康診断技術として,以前に馬場氏の下で准教授であり現在は北海道大学の教授である渡慶次 学(とけし まなぶ)氏が開発したイムノピラーと名付けている技術がある[15].

 図14にその基本構成と製作法を示す.図14aの右端に示すように基板に幅1mm,長さ7mmの溝を掘って表面を透明な板で覆った液体流路を作り,その一端から標的を捕獲する抗体を付けたビーズ(直径10µm)を光硬化樹脂と共に流す.次にその表面に直径200µmの孔の開いたマスクを置き,上からUV光を照射する.図14bはその時の流路の断面図である.マスクに開けた孔の下では,樹脂がビーズを取り込んで硬化する.残りの樹脂を吸引し取り除き洗浄すると,図14aの左端に示すチップが出来上がる.

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図14 イムノピラーの構成と製作法 (提供:馬場氏)

 

 図14cは流路に形成されたピラーの模式図で直径200µm,高さ50µmである.1種類の標的に対する抗体だけでなく,異なる複数の標的に対応できるように,異なる抗体を付けた異なるビーズを取り込んだピラーを作ることで,同時に複数の標的を検出することができる.ここで重要なことは,光硬化樹脂のポリマーのネットワークの間隙を200nm~700nmの間で調整していることで,目的に合わせて変える.一個のピラーの中にはビーズを最大30万個入れられるので,非常に沢山の抗体を含ませることができる.従って血液を流路に流した時,極微量の抗原分子でも捉えることができ,蛍光試薬を入れて非常に高感度な測定ができる.測定に必要な血液量は250nl,これは1滴の100分の1で従来に比べて1000分の1である.測定時間は血液を入れて結果がでるまで最短で2分で従来の50倍の高速化を実現した.検出感度としては1000倍向上している.現在,名古屋大学医学部と近くにある愛知県がんセンターで使用してその効果を確認している.

 図15は肝臓がん,前立腺がん,感染症・炎症の3項目を1滴の血から同時に測定した例を示している.一般にがんの発症と判定される濃度1ng/mlよりも2桁,3桁低い濃度でも病原を検出しており,従来手法より数百倍~千倍高感度であり,検出時間に8分を要したが,従来技術の数十倍早い.その他,糖尿病性腎症マーカー検出の臨床研究でも患者の尿試料から前処理なしで2分で検出に成功している.現在,がんの診断について臨床研究の段階にあり,来年には治験に入る予定とのことである.

 

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図15 イムノピラーによる肝臓がん,前立腺がん,感染症・炎症の同時測定と性能評価 (提供:馬場氏)

 

(2)呼気からのがんの早期診断---自動車内での診断を目指して

 呼気からの健康診断は,特にがんの早期発見等を可能とする究極の健康管理手法として考えられている.本プロジェクトは産学連携で長期的テーマとしてそれを具現化することを目指している.車の中は,密閉空間であり,廻りの影響を受けずに診断できる利点を持つており,車中での呼気診断は本プロジェクトの目標である.

 名古屋大学はパナソニックの子会社のパナソニックAIS(オートモーティブ&インダストリアルシステムズ)社と協力して研究を開始している.大学側では診断対象について医学部の先生に協力してもらって検討し,肺がんと乳がんでは呼気による診断ができそうとの判断を得ている.デバイスについては,パナソニックAISがトライしたがまだ不十分で,名古屋大学としては,2013年に始まった内閣府のImPACTの中で追及して行くとしている.

 テーマは異なるが,最近ナノワイヤで細菌やウイルスを殺せそうなことが分かってきた.特に10nm以下のような細いナノワイヤは細菌やウイルスの硬い表面を突き破って壊す働きをする.「この機能を使って例えば車の中などで無菌の空間を創ることができる.」と新たな研究テーマが示唆された.

6.2.2 量子ドットによるがん診断・治療融合[16]

 馬場氏はナノバイオデバイスの研究の一環として,量子ドットの研究を行ってきており,2013年度から始まった文部科学省の「再生医療実現拠点ネットワークプログラム」事業における「iPS細胞分化・がん化の量子スイッチングin vivo Theranositics」を課題とするプロジェクトを担当している.

 このプログラムは,国際競争が激化しているiPS細胞等を使った再生医療について,世界に先駆けて臨床応用をするべく研究開発を加速することを目的としている.この事業は, iPS細胞研究中核拠点 と,いち早い臨床応用の実現とiPS細胞関連産業(再生医療,創薬,細胞製造,装置,培養)の育成を目指す 疾患・組織別実用化研究拠点 ,および,上記臨床応用の幅を広げる技術開発や,より高度な再生医療を目指す技術開発,iPS細胞等の産業応用を目指す技術開発を実施する 技術開発個別課題 で実施される.

 「iPS細胞分化・がん化の量子スイッチングin vivo Theranositics」プロジェクトはこの技術開発個別課題のなかの一つで,代表機関が名古屋大学,代表研究者が馬場氏で,京都大学が分担機関となっている.iPS細胞については,最近では理化学研究所において角膜移植に成功した事例があるが,多くの場合注射して体内に入ったiPS細胞の挙動は不明であり,治療効果を発揮した場合でも患部にどのように作用したのか分からないのが現状である.この問題を量子ドットの活用により解明する技術を創出するのが,馬場氏の提案である.

 馬場氏は,10年位前から量子ドットによる生体内での特定細胞や分子の挙動のイメージングを目指して研究を進めている[17][18][19].半導体を用いた量子ドットは,3次元的に電子が閉じ込められて量子現象が発生する超微細化された構造体である.図16aに示すように,半導体におけるバンドギャップ(電子準位で価電子帯と伝導帯の間の電子が存在出来ない領域)はドットの寸法が小さくなるに従って大きくなる.バンドギャップが変化すると,光エネルギーで励起してバンドギャプを越えて伝導体に上がった電子が,再結合で価電子帯に落ちるときに放射する光(蛍光)のエネルギーも変わるので,蛍光の波長が変わる.従って,図16b,cに示すように,量子ドットの寸法の設計により,発する蛍光の色を設定することができる.さらに,光が強く,また長時間経っても使えるなどの利点もある.身体の中は一般に光は通り難いので,できるだけ長波長の800nm以上が望ましい.量子ドットでは上述のように容易にこの波長の光を出せるが,有機材料などではなかなか困難である.

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図16 量子ドットの寸法によるエネルギー・バンドギャップの変化(a)と蛍光色の変化(b,c).
b,cの量子ドットの材料はCdSe/CdS. (提供:馬場氏)

 

 このような利点があり,研究を始めたが,当初はカドミウム(Cd)をベースとした材料であったので,生物に用いたときの安全性の問題があり,Cdを使いながら安全性を確保する検討を行った.続いてがん細胞やiPS細胞に入れたときにどういう影響があるか調べてきた[20].最近,幹細胞に量子ドットを入れ,ねずみの静脈に注射して,生きた体内での観察に成功している[21](図17).注射した幹細胞が肝臓に集まっている場合は肝障害が治癒し,治癒しない場合は幹細胞が肝臓に集まっていないなどの状況も確認できた.

 

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図17 静脈注射した蛍光指標を付加した幹細胞の分布 (提供:馬場氏)

 

 今後,以下の課題について,医療部門と協力しながら検討を進めると馬場氏は語った.

(1)上記実験から分かるように量子ドットによりiPS細胞の体内での動きは観察できるが,患部に対して機能するメカニズムを探りたいという医療部門の希望に応えるという課題.これに関しては,二つの可能性の判断が求められている.一つは,iPS細胞自身が分化して行く可能性で,もう一つは,iPS細胞から放出する物質が患部に作用する可能性である.この二つの動態をイメイジングができる仕組みを検討する.

(2)iPS細胞はがん化し易いので,がん化していないかどうかをチェックする必要がある.がんから放出する物質を調べることになるが,問題はがん化には大変時間が掛かることである.

(3) 量子ドットを励起するのに波長500nm程度の光を照射する必要があるが,この波長の光は量子ドットが吸収し難い問題がある.これに対しては,長波長の光をアップ・コンバートするなどの手法を検討して行く.

(4)光では人の体内を調べることは出来ないので,X線で量子ドットを励起して調べる可能性を検討する必要がある.

 

7.おわりに

 半導体微細加工技術によるナノ構造を活用したナノバイオデバイスの数々が,医療分野の新たな幕開けを思わせる技術展開をみせている様子を伺った.「細胞や分子と同等の寸法のナノの世界での物理的制御技術を活用したことが成果に繋がった」と馬場氏は語っている.それらの技術は医療部門との連携で次々に実用化に向かいつつあるとのことである.

 ナノバイオデバイスによる1分子DNA/RNA解析技術は,ナノポア技術と合体して世界をリードするヒトゲノム解析技術を生み出している.この技術の高性能化を追求することの重要性に絡んで,馬場氏はMackinsey Global Instituteが2013年5月に出したDisruptive Technologiesと云うレポートを紹介した.その中ではライフ,ビジネス,グローバルエコノミーに変革をもたらす12の技術を挙げており,バイオ関係では唯一DNA解析が選ばれた.次世代の小型DNA解析装置の経済効果は2025年に$700B~$1.6T/yearに成り得るとしている.ただし,それには,ヒトゲノムの解読が$100,1時間でできるという想定がある.いずれにしてもDNA解析技術の応用分野の広がりが期待される.

 量子ドットのナノバイオデバイスとしての機能は蛍光指標である.iPS細胞の研究にも使えることは確認された.しかし,馬場氏は単なる病気の診断用に止まらず,注入細胞が患部治療を行うメカニズムに関わる挙動のイメージングに向かう研究を進めつつある.ナノバイオデバイスの未来医療の進化に果たす役割の深さを思い知る取材であった.

8.参考文献

[1] 馬場嘉信,"ナノバイオデバイスが拓く再生医療研究の新展開",再生医療, Vol. 11, No. 2, pp. 17-31 (2012).
[2] 馬場嘉信,"進展する早期がん診断の研究",現代化学,2013年 3月,pp. 21-23.
[3] S. Yamamura, S. Yatsushiro, Y. Yamaguchi, Y. Shinohara, E. Tamiya, T. Horii, Y. Baba, and M. Kataoka, "Accurate detection of carcinoma cells by use of a cell microarray chip", PLOS One, Vol. 7, No. 3, e32370 (2012)
[4] 岡本行広,馬場嘉信,"血中循環がん細胞(CTC)検出によるがん診断", 現代化学,2013年3月,pp. 32-36.
[5] Y. Okamoto, Y. Nakakita, T. Sano, N. Kaji, M. Tokeshi, Y. Baba, "Microfluidic Rare Cancer Cell Collection with Anti-EpCAM Antibody Modified Euglena by Phototaxis Inside Microchannels", Micro Total Analysis Systems pp. 1108-1110 (2012).
[6] 安井隆雄,加地範匡,岡本行広,渡慶次学,馬場嘉信,"ナノ構造体を用いたDNA解析", New Glass, Vol. 24, No. 1, pp. 22-27 (2009)
[7] M. Tsutsui, M. Taniguchi, K. Yokota & T. Kawai, "Identifying single nucleotides by tunnelling current", Nature Nanotechnology No. 5, pp. 286-290 (2010).
[8] M. Tabuchi, M. Ueda, N. Kaji, Y. Yamasaki, Y. Nagasaki, K. Yoshikawa, K. Kataoka, and Y. Baba, "Nanospheres for DNA Separation Chips", Nature Biotech., Vol. 22, No. 3, pp.337-340 (2004,).
[9] N. Kaji, Y. Tezuka, Y. Takamura, M. Ueda, T. Nishimoto, H. Nakanishi, Y. Horiike, and Y. Baba, "Fast Separation of Long DNA Molecules by Quartz Nanopillar Chip under Direct Current Electric Field", Anal. Chem., 76 (1), 15-22 (2004).
[10]加地範匡,安井隆雄,馬場嘉信,"ナノ流路を用いた単一分子解析技術",ぶんせき, No. 7, pp. 348-354 (2014).
[11] http://www.fiercediagnostics.com/story/will-real-1000-genome-please-stand/2014-01-29
[12]湯川博,安井隆雄,馬場嘉信,"ナノバイオデバイスによるエクソソーム解析", BIO Clinica, Vol. 29, No. 6, pp. 556-559 (2014)
[13] S. Rahong, T. Yasui, T. Yanagida, K. Nagashima, M. Kanai, A. Klamchuen, G. Meng, Y. He, F. Zhuge, N. Kaji, T. Kawai & Y. Baba, "Ultrafast and Wide Range Analysis of DNA Molecules Using Rigid Network Structure of Solid Nanowires", Scientific Reports, 2014, 4, Article number: 5252 doi:10.1038/srep05252.
[14] T. Yasui, S. Rahong, K. Motoyama, T. Yanagida, Q. Wu, N. Kaji, M. Kanai, K. Doi, K. Nagashima, M. Tokeshi, M. Taniguchi, S. Kawano, T. Kawai, and Y. Baba," DNA Manipulation and Separation in Sub-Lithographic Scale Nanowire Array", ACS Nano, No. 7, pp. 3029-3035 (2013).
[15] M. Ikami, A. Kawakami, M. Kakuta M. Tokeshi, N. Kaji And Y. Baba, "Immuno-Pillar Chip: A New Platform For Rapid And Easy-To-Use Immunoassay", Lab on a Chip. No. 10, pp. 3335-3340 (2010).
[16] 湯川博,小野島大介,馬場嘉信,"量子ドットのバイオ応用最前線", 現代化学,2012年9月,pp. 31-35.
[17] R. Bakalova, Z. Zhelev, H. Ohba, M. Ishikawa, Y, Baba, "Quantum dots as photosensitizersindex.html", Nature Biotech, No. 22, pp.1360-1361 (2004). [18] R. Jose, N. U. Zhanpeisov, H. Fukumura, Y. Baba, M. Ishikawa, " Structure-Property correlation of CdSe quantum dots using experimental results and first-principle calculations", J. Am. Chem. Soc. 128(2), pp. 629-636 (2006).
[19] Y. S. Park, A. Dmytruk, I. Dmitruk, A. Kasuya, M. Takeda, N. Ohuchi, Y. Okamoto, N. Kaji, M. Tokeshi, Y. Baba, "Size-selective Growth and Stabilization of Small CdSe Nanoparticles in Aqueous Solution", ACS Nano, No. 4, pp. 121-128 (2010).
[20] H. Yukawa, Y. Kagami, M. Watanabe,Y. Miyamoto, N. Kaji, Y. Okamoto, M. Tokeshi, H. Noguchi, Y. Baba, N. Hamajima, S. Hayashi, "Quantum dots labeling using octa-arginine peptides for imaging of adipose tissue-derived stem cells", Biomaterials, No. 31, pp. 4094-4103 (2010).
[21] H. Yukawa, M. Watanabe, Y. Okamoto, M. Tokeshi, N. Kaji, Y. Miyamoto, H. Noguchi, Y. Baba, S. Hayashi, "Fluorescence imaging using quantum dots reveals increased accumulation of transplanted adipose tissue-derived stem cells in the liver when combined with heparin", Biomaterials, No. 33, pp. 2177-2186 (2012.).

(向井 久和)

 

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