利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.27】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24OS0053

利用課題名 / Title

ベッセルビーム微小爆発による透明結晶内部での高圧物質凍結に関する研究

利用した実施機関 / Support Institute

大阪大学 / Osaka Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/ Electronic microscope,集束イオンビーム/ Focused ion beam


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中村 浩隆

所属名 / Affiliation

大阪大学 工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators Excluding Supporters in the Hub and Spoke Institutes

尾崎典雅,瀬戸雄介

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Supporters in the Hub and Spoke Institutes

山﨑順,高木空

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

OS-005:複合ビーム3次元加工・観察装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 絶縁破壊閾値を大きく超えるようなエネルギーのフェムト秒レーザーを透明結晶内部に集光することで、圧力1000万気圧、温度1万度を超えるプラズマが固体内部に瞬間的に生成し、1ミクロン程度のサイズの微小爆発が起こる。この現象を微小爆発と呼び、ボイドと呼ばれる空隙を作成することができる。ボイド周辺には圧縮応力を受けたシェルと呼ばれる構造ができ、そのシェル内部に準安定高圧構造が凍結する可能性がある。
 本研究は、透明結晶としてフッ化カルシウムを選択し、微小爆発によって凍結されるカルシウムの高圧状態を観察することを目的とし、その内部構造を走査型電子顕微鏡で観測する。新材料および⽣成法の探索は、産業界からの注⽬も⾼い。当該研究は⾃動⾞メーカおよび素材メーカなどとの共同研究の枠組みでも推進されている。

実験 / Experimental

2 µJ/pulseの条件のフェムト秒レーザー照射によるフッ化カルシウム内部に凍結された内部構造分布変化についての構造を明らかにするため、走査型電子顕微鏡 Scios2で透明体内部に生成されたボイドサイズを観測した。特に高圧相の生成量の増大を目指してベッセルビームレーザーパルスによって微小爆発を誘起する実験を行った。ガウシアンビーム誘起の微小爆発で形成されるボイドよりも大きなボイドが形成される。ベッセルビームは非常に焦点深度が深く、体積比にして約200倍にもなる、光軸方向に細長く高アスペクト比を達成した円筒状のボイドをクラックが発生することなく形成することができる。この高アスペクト比の円筒形状のボイドを観測することで、高圧相の密度を推測した。

結果と考察 / Results and Discussion

走査型電子顕微鏡で透明体内部に生成されたボイドサイズを観測した。ボイドの断面直径を484 nm、ボイドの長さを光学顕微鏡での観察から約50 µmと推定し(図1)、ボイドが円筒だと仮定して体積を求めると、VB≈9.2 µm2となる。Sauliusら[1]がガウシアンビームで作成したボイドは、レーザー波長800 nm、パルス幅100 fs、パルスエネルギー100 nJの条件でボイド直径が400 nm 程度であった。ガウシアンボイドは球であるとして体積を概算すると、VG = 3.4×10-2 µm2である。初期状態からの体積を比較すると、V⁄V0 =0.388であり、約2.6倍に圧縮されていることが分かる。圧縮比から残留応力を見積もると、約62 GPaであることが分かった。圧力としては、カルシウムの高圧相が生成される圧力を超えており、微小爆発によってカルシウムの高圧相の凍結が期待されることが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1.ボイド断面のSEM像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献 [1] Saulius Juodkazis et al., Appl. Phys. Lett. 88, 201909 (2006).


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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