利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.03】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24KT2087

利用課題名 / Title

一酸化炭素を炭素源とする固体炭素に含まれるカーボンナノチューブの観察

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

カーボンナノチューブ、CCS、形態観察,ナノカーボン/ Nano carbon,電子顕微鏡/ Electronic microscope,ナノチューブ/ Nanotube


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

松井 康人

所属名 / Affiliation

京都大学 環境安全保健機構 安全管理部門

共同利用者氏名 / Names of Collaborators Excluding Supporters in the Hub and Spoke Institutes

長野未緒,下山剛輝

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Supporters in the Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-313:ゼータ電位・粒径測定システム
KT-301:超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡
KT-302:分析走査電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

近年、地球温暖化対策としてカーボンニュートラルが注目されており、特に温室効果ガスを固体化して回収する技術が研究されている。この方法は埋立て時の体積削減などの利点があるが、生成される固体炭素には生体影響を及ぼす物質が含まれている可能性が報告されている。その一方で、現在温室効果ガスの固体化を目的とした実験施設での作業環境測定や生成物の分析はほとんど行われていない実情がある。そこで、本研究では、温室効果ガスを固体化して回収する作業者の固体炭素への曝露に関する知見を得るために、その作業で発生している固体炭素の形態について観察することで、今後の作業環境測定に適用することを目的とした。

実験 / Experimental

固体炭素化装置には炭素源として一酸化炭素、また、キャリアガスとして水素と窒素がガスボンベから供給される。供給された気体は昇温部で600 ℃程度まで昇温され、反応部に供給される。反応部は筒状になっており、壁面は触媒でコーティングされている。生成された固体炭素はそのまま反応部の壁面に付着する。反応部の壁面に付着した固体炭素は瞬間的に高圧の窒素ガスを流通させることで、反応部から剥離し容器に移される。
この反応部から触媒管を取り出し、壁面を剥離して固体炭素を回収した。また反応部の温度を、3種類(450、550、650℃)に設定した。形態観察には、固体炭素をカーボンテープに散布し付着させ、ブロワーを用いて付着していない固体炭素を除いたものを用いた。作成したサンプルは超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(KT-301:日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡、SU-8000:日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察した。また、比較対象としてSWCNT(Sigma-Aldrich社製)の観察を行った。SWCNTも同様に、カーボンテープに散布し観察を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

固体炭素化装置により生成された固体炭素をFE-SEMにより観察した結果を、図1~図3に示す。固体炭素を観察したところ、すべての反応温度で繊維状炭素と非晶質炭素が含まれており、繊維状炭素同士や繊維状炭素と非晶質炭素が絡まることで凝集体を形成していることが判明した。また、単離状態の繊維状炭素は確認されなかった。繊維状炭素の直径は200~400 nm程度であり、長さはバラバラで、中には13 µm以上に成長したものもあった。繊維状炭素の中にはねじれたり曲がったりしているものが多く、表面が段になっている繊維状炭素も観察された。非晶質炭素は数nmであった。また、昇温部の温度差および回収方法によって形状に大きな差は見られなかった。
固体炭素化装置により生成された固体炭素には、直径100~400 nm程度の繊維状炭素が含まれていることが明らかとなった。繊維状炭素の分類に則ると、直径が100 nmを越えていることから、生成した繊維状炭素はCNTではないと考えることができた。また、CNFは直径が数100 nmであることから、生成された繊維状炭素はCNFである可能性があるが、断定するには他の同定方法を試みる必要がある。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 固体炭素の形状観察結果 反応温度450℃(左図×2k、右図×20k)



図2 固体炭素の形状観察結果 反応温度550℃(左図×2.5k、右図×20k)



図3 固体炭素の形状観察結果 反応温度650℃(左図×2k、右図×15k)


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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