利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.11】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24TU0060

利用課題名 / Title

微細構造の試作検討

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

CVD,電子線リソグラフィ/ EB lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,ダイシング/ Dicing,高周波デバイス/ High frequency device,光導波路/ Optical waveguide,フォトニクスデバイス/ Nanophotonics device,光デバイス/ Optical Device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

杉田 丈也

所属名 / Affiliation

京セラ株式会社

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

上村紘崇,泉二玲緒奈

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-064:エリオニクス 130kV EB描画装置
TU-202:DeepRIE装置#2
TU-154:住友精密TEOS PECVD
TU-316:JEOL FE-SEM
TU-255:ディスコ ダイサ


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

光通信で使用可能な波長領域(Cバンド,1550 nm付近)において低損失なSi導波路の作製検討を行った。

実験 / Experimental

SOI(Si On Insulator)基板上にエリオニクス 130kV EB描画装置(TU-064)を用いてレジスト(maN-2403)マスクを作製し、アルバックDeepRIE装置#2(TU-202)でSiをエッチングし光導波路を作製した。次いで、住友精密TEOS PECVD(TU-154)を用いて酸化膜を成膜した。最後に、ディスコダイサ(TU-255)を用いてSi光導波路端面を露出させた。パターン幅の測長はSEM(TU-316)で行い、透過スペクトルの測定は自社で行った。

結果と考察 / Results and Discussion

 図1,2にmaN-2403を用いた際のドーズテーブル(ドーズ量(露光量)に対して、パターン幅がどのように変化するかをプロットした図)を示す。コートは3000 rpm/30 sec、Prebakeは90 ℃/90 secの条件で行った。また、描画はエリオニクス 130 kV EB描画装置(TU-064)にて、1 nA、130 kVの条件で行いの条件で行い、現像は、TMAH 2.38 %溶液に基板を浸し、80 sec、ゆっくりと攪拌しながら行った。
 単線Si導波路パターンを図1aに示している。矢印で示した幅の測長結果を、ドーズ量ごとにプロットした結果を図1bに示している。設計幅450 nmの結果を青丸で、設計幅 250 nmの結果をオレンジの丸でそれぞれ示している。また、点線はそれぞれの設計幅に当たる寸法を示している。どちらの結果も、ドーズ量が増すごとに線幅が増えていることがわかる。これは、レジスト材として用いたmaN-2403がネガタイプであるからだと考えている。ネガタイプでは電子線が当たる箇所が硬化しマスクとなるが、ドーズ量が増えると、電子線の拡散や反射も増え、硬化する領域が増えることにつながるからだ。1000 µC/ cm2付近では、ややアンダー気味であるが、設計値に近い寸法を得ることができた。
 Line & Spaceパターンの模式図を図2aに示している。矢印で示した箇所(L1、gap、L2)の測長結果を、ドーズ量ごとにプロットした結果を図2b、2cに示している。青でプロットしたL1、緑でプロットしたL2はそれぞれの単線パターンと同様の傾向を示していることがわかる。このことから、1000 µC/cm2よりも弱い露光量の時は、近接効果(露光時に、パターン同士が近いことで、パターン幅が変化する現象)は見えないと考えられる。
 図3に、Si導波路の1500 nm帯のTE透過スペクトルを示す。リファレンス(Ref. 、Fiber to Fiber)を青でプロットしている。光通信で良く用いられるTE偏波の光量は1500 nm~1580 nmにかけておおむねフラットとなり、リファレンスと比較すると、平均で4.4 dBの損失となった。チップ端面での損失(およそ2 dB/Facet)を考慮すると、0.55 dB/cmと、十分低損失であることが分かった。なお、透過スペクトル検証に使用したSi導波路を作製した条件は次の通り。コート:3000 rpm/30 sec、Prebake:90 ℃/60 sec、ドーズ量:1100 µC/cm2、現像:TMAH 2.38 % 80 sec。
以上のことから、光通信に使用できるSi導波路が低損失で作製できることを確認した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1a:単線Si導波路の模式図。矢印で示した箇所の測長をSEMにて実施した。
図1b:単線Si導波路(設計幅は450nmと250nm)のドーズテーブル。



図2a:Line & Spaceパターンの模式図。L1、gap、L2は同じ寸法で設計した。矢印で示した箇所(L1、gap、L2)の測長をSEMにて実施した。
図2b:Si導波路幅450nmのLine & Spaceパターンのドーズテーブル。
図2c:Si導波路幅250nmのLine & Spaceパターンのドーズテーブル。



図3:Si導波路の1500nm帯のTE(Transverse Electric)透過スペクトル。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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