【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.09】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24SH0038
利用課題名 / Title
ラマン分光を用いた小径ビアのレーザー加工性評価の検討
利用した実施機関 / Support Institute
信州大学 / Shinshu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
ラマン散乱, レーザー加工
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
有本 太郎
所属名 / Affiliation
ウシオ電機株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators Excluding Supporters in the Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Supporters in the Hub and Spoke Institutes
橋本佳男,倉田智恵子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
研究概要:
現在,半導体パッケージ基板はエポキシ樹脂を採用した熱硬化性の層間絶縁材料が採用されているため,上下層の回路接続を行うビアはレーザー加工にて形成する.主に炭酸ガスレーザーあるいは UV-YAG レーザーが用いられ,その後「デスミア」と呼ばれる強アルカリ性過マンガン酸水溶液で表面処理を行い,ビア底部にある樹脂残渣(スミア)を除去する.近年では半導体の微細化に伴い,①ビアの小径化(特にφ50 μm 以下),および②高周波対応による絶縁樹脂の疎水性アップ(低誘電正接化)により,スミアの除去性が難しくなってきており,スミア除去性と低誘電正接の両立が課題になっている.今回,小径ビアの加工を実現するため,レーザー加工の条件を変え,薬液を用いないドライでのデスミア処理を実施した.ビア底の有機残渣(スミア)を確認する方法としては,SEM-EDXによる観察が考えられるが,検出器の位置関係でビア底を観察することは難しい.そのため,新たな評価方法を探索しており,ラマン分光によるマッピングを検討して評価可能か検証する.
目的:
処理条件を変えてレーザーで有機基板上に形成した小径ビアのビア底に有機残渣(スミア)がどの程度発生しているかをレーザーラマンにより評価を行う.
実験 / Experimental
サンプル:
銅張積層板にPETフィルム付きの熱硬化性のエポキシ樹脂樹脂フィルムをラミネート,
ラミネートした基板上からCO2レーザーにより穴径をφ30ー100まで変えたビア加工を実施.
保護フィルムのPETフィルムを貼った状態と剥がした状態の両方で,真空プラズマ装置により表面処理を行いデスミア処理を実施してテスト基板とした.
1 PET越しにCO2レーザーでVia加工後,PETつけたままプラズマデスミア処理したビア径φ100&φ75
2 PET越しにCO2レーザーでVia加工後,PETつけたままプラズマデスミア処理したビア径φ30&φ50
3 PET越しにCO2レーザーでVia加工後,PET剥がして,プラズマデスミア処理したビア径φ100&φ75
4 PET越しにCO2レーザーでVia加工後,PET剥がして,プラズマデスミア処理したビア径φ30&φ50
5.PET越しにCO2レーザーでVia加工したサンプル(デスミア処理なし) ビア径φ100&φ75
6.PET越しにCO2レーザーでVia加工したサンプル(デスミア処理なし) ビア径φ30&φ50
実験:レニショー (RENISHAW:inVa Reflex)のレーザラマン分光装置 (Laser Raman Spectrometer)を使用.
PET越しに加工の試料にて穴の底部(中央)と穴からそれた点のラマンスペクトルを取得.
膜底部では信号強度は大きく減少するため,やや長い計測時間(1s)とやや強いレーザー強度(10%)を使用.
結果と考察 / Results and Discussion
結果:
穴の外は強度が高い(信号強度が大きすぎるとオーバーフローにより0カウントとなる)ため,0.1sと1%のレーザー強度とし,マッピングも同条件で測定.
穴の底でも,外でも強度こそことなるが,殆ど差異の見られない信号となっており,膜底部で有機物が少ないかどうかの検証には使用できない結果となった(Fig.1,Fig.2参照).
有機物の残量が強度に比例して少ないかもしれないが,かなりあって,銅やSiO2由来のピークも検出できていない.
マッピングは穴の周りの100点ほどのデータを取得したが,形状の変化は見ている範囲でみられなかった.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 サンプル①,75Φの測定時の光学顕微鏡像
Fig.2 穴の部分をマッピング測定し1400cm-1の信号強度で赤色表示した像
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献:
[1] 有本 太郎, 表面技術 75 (11), 494-499, 2024-12
[2] 有本 太郎, MATERIALSTAGE Vol.24, No.11 2025
[3] 有本太郎,Beyond5G/6G時代に求められる 部材技術と評価指針(分担執筆),情報機構 ,2024
謝辞:
本研究(の一部)は、文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ」事業(課題番号 24SH0038)の支援を受け信州大学で実施されました。感謝いたします。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件