【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.10】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24WS0013
利用課題名 / Title
ナノファイバーの構造解析による光学特性との相関評価及び、構造変調による透過率特性への影響評価
利用した実施機関 / Support Institute
早稲田大学 / Waseda Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
ナノファイバー/ Nanofiber,光デバイス/ Optical Device,ALD,電子顕微鏡/ Electronic microscope,光導波路/ Optical waveguide
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
青木 隆朗
所属名 / Affiliation
早稲田大学 先進理工学部 応用物理学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
加藤 真也
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
星野 勝美
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
WS-011:電界放出型 走査電子顕微鏡
WS-004:原子層堆積装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
外乱影響などに対して強い堅牢性を持つ光ファイバーの一部を、光の波長よりも細くしたナノファイバーは、元来の光導波路としての性能をある程度保持しつつ、外界との相互作用を通じて導波する光の信号を変化させることができるため、従来の光信号の伝搬以外の機能性を付与させることができ、新たな光デバイスとしての活用が期待されている。ナノファイバーの直径が変化すると、導波光と外界の相互作用の強さが変調され、光デバイス特性が変化するため、その光学特性を評価には、空間分解能の高い解析手法を行いたナノファイバーの構造特定が重要になる。本研究では作製したナノファイバーの直径をSEM観察し、設計値との比較を行った。
また、ナノファイバー部の導波光と外界の相互作用の強さは、導波光がエヴァネッセント波としファイバー外に染み出す光強度の強さで決まる。その強さは、ナノファイバー表面状態と屈折率分布に強く依存する。また、ナノファイバーを使用し続けている際に起きる光の透過率の減少のような劣化の問題を解消するためにも、ナノファイバーの表面改質を行うことが重要になる。そこで、ナノファイバー表面状態を改質する手段として原子層堆積 (ALD) 法によるアルミナ膜の堆積を導入し、光学特性への影響を評価することを行った。
実験 / Experimental
1. SEM観察(WS-011) ナノファイバーはシリカで構成されており、導電性がないため、画像取得前にスパッタリング装置を用いてPt/Pd膜を1 nm程度成膜し、ナノファイバー部の構造特定を行った。
2. ALD成膜(WS-004) ALD成膜の際、ナノファイバー部分が架橋される形でアルミニウム製の固定用治具に設置した。成膜条件として、トリメチルアルミニウム(TMA)と水(H2O)を交互に流し、N2ガスをキャリアガスとして用いるサーマルALD法を採用した。成膜温度にはナノファイバーを治具上に固定している硬化樹脂の耐熱温度の上限値である140 ℃に設定した。
結果と考察 / Results and Discussion
1. SEM観察結果 ファイバー径は設計値である550±10 nmに対し、554±2 nmという実測値となった。ナノファイバーは商用の光ファイバーを加熱延伸し作製されるため、ファイバー径が元々の直径から上記の550 nmにまで単調に細線化した構造を持つ。このファイバー径の遷移領域(テーパー部)の構造および、ナノファイバーの領域幅もデバイス特性に大きく寄与するため、今後はその測定も行い、ナノファイバー作製条件の最適化を行う予定である。
2. ALD成膜結果 光と原子間の相互作用の強さはナノファイバーの光の透過率と強い相関があるため、アルミナを成膜したナノファイバーの光の透過率測定を行うことで、アルミナ成膜の有用性を評価することにした。測定の結果、透過率は最大7 %低下した。アルミナの屈折率が光の導波するシリカよりも高い値を示すため、ファイバー内を導波する光がアルミナ側に染み出し、透過率の低下が起きたと考えられるが、成膜されたアルミナの構造欠陥も原因として考えられる。アルミナの成膜の質は成膜温度に強く依存し、成膜温度が下がるほど酸素空孔やアルミナ生成プロセスで生じる中間生成物の密度が高くなることが知られ、それらがファイバー中を導波する光を散乱させ、透過率の低下に繋がった可能性がある。よって、今後はさらに高い成膜温度でのアルミナ成長あるいは、ピュアオゾンALDのような低温下でも高品質なアルミナ成長が行える手法を導入し、透過特性への影響を評価していく。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件