【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24UT1105
利用課題名 / Title
金属ナノシートセンサの作製
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
金属, ナノシート, ガスセンサ, マイクロヒータ,センサ/ Sensor,電子顕微鏡/ Electronic microscope,ナノシート/ Nanosheet,スパッタリング/ Sputtering
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
谷口 雄麻
所属名 / Affiliation
東京大学工学系研究科マテリアル工学専攻
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
財前 孝輔
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
太田 悦子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-704:高密度汎用スパッタリング装置
UT-716:LL式高密度汎用スパッタリング装置(2024)
UT-711:LL式高密度汎用スパッタリング装置 (2018)
UT-853:簡易電子顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
Auナノシートは硫化水素のような低分子ガスに対して触媒能を有するセンサ材料であることが知られている.このような金属ナノシートガスセンサはセンサ表面でガスが吸着・反応することによるキャリア散乱の変化を利用しており,高感度なガスセンサを実現するためにはグレイン散乱が抑えられる高結晶性薄膜の成長が求められる.また,熱力学的に安定な構造をもつAuを形成するには,高い温度でアニールすることも必要である.一方で,SiO2/Si基板上にAuを堆積し高温でアニールすると,多数の微結晶からなる薄膜が成長してしまう.これは,AuとSiO2との密着性が悪いことに起因しており,その間に密着層を挟む必要があると考えられる.そこで,本研究ではTiNを密着層として用いたSi/SiO2/TiN/Au構造により,結晶性の高いAuナノシートの実現をねらった. また, 金属ナノシートセンサは, 分子の表面吸着が化学反応に基づいているため, 昇温することで吸着速度などを向上させることができる. 一方で, 一般的に昇温に必要な外部ヒータを用いると消費エネルギーが大きくなるため, センサの集積化などに不向きだと考えられている. ジュール自己加熱は金属ナノシートガスセンサの局所昇温にも広く知られており, 外部ヒータでの昇温よりも金属ナノシートセンサに適している. 一方で, ジュール自己加熱に必要な高密度電流は, 同時にエレクトロマイグレーション(Electromigration: EM), すなわち電子流による原子拡散を誘起する原動力となる. AuナノシートはEM耐性が低く, 自己加熱による破断が起こりやすいことが報告されている. 本研究では, EMによるAuナノシート破断を防止するため, 下段にマイクロヒータを設けてEM耐性を向上を目的とした.
実験 / Experimental
625µmのSiO2を有するSi基板上に,TiN (2 nm)およびAu (16 nm)をスパッタによって逐次製膜し,窒素雰囲気下で1hアニールした.アニール温度は300℃とした.作製した薄膜の表面形状を調べるためにAFM測定を,結晶性を評価するためにXRD測定を行った.マイクロヒータはAuナノシート下段にW(100nm), 絶縁膜としてAl2O3(10nm)をスパッタによって製膜した.
結果と考察 / Results and Discussion
図1で示すようにW膜にボイドが発生していた. EDXにて絶縁膜Al2O3の存在を調べたところ, 確認されなかったため, 絶縁膜が窒素アニールやリフトオフプロセスではがれてしまったためW膜にダメージが確認されたと考察する. 今後は窒素アニールの温度設定(300℃)やリフトオフプロセスで使用する溶液やマイクロヒータの素材(Ptなど)、絶縁膜Al2O3を残存させるプロセスを検討することにより改善していく.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 タングステンマイクロヒータのボイド
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件