利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.15】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24UT1239

利用課題名 / Title

化合物太陽電池の薄膜プロセスに関する研究

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

エピタキシャルリフトオフ、太陽電池、熱処理,太陽電池/ Solar cell,スパッタリング/ Sputtering


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

岡田 至崇

所属名 / Affiliation

東京大学先端科学技術研究センター 新エネルギー分野

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

樗木悠亮

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-711:LL式高密度汎用スパッタリング装置 (2018)
UT-802:高速ランプアニール装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

宇宙用IMM3接合太陽電池はウェハから剥離して使用される(IMM3接合太陽電池: inverted metamorphic (IMM) triple-junction solar cells)。従来はウェハをエッチングすることで除去していたが、ウェハ再利用のためにエピタキシャルリフトオフ(ELO)を検討している。しかし、ウェハ上のIMM3接合太陽電池は特有の反りがあるため、ELO中にクラックが入りやすい。そこで、厚膜の銀をスパッタすることでIMM3接合太陽電池の反りをキャンセルし、平坦に近づけることでELOプロセスにおけるクラックレス化を図った。特に、これまで16mm×16mm程度の小サイズでは実施例があったが、4"ウェハへの大面積化が課題となっていた。そこで、4"ウェハでも銀を均一に成膜することができるLL式高密度汎用スパッタリング装置を使用した。16mm×16mmから順にサイズを大きくしていき、4"ウェハでのELOを達成した。

実験 / Experimental

ウェハの反りを低減するため、スパッタする銀の膜厚を大きくする必要がある。別のスパッタ装置で成膜した際には膜厚13μmにおいて、16mm×16mmサイズの試料の反りがほぼ0となった。LL式高密度汎用スパッタリング装置では成長速度を測定できないため、成膜時間と膜厚の関係を確認する予備実験を行った後、膜厚12μmとなるように16mm×16mmサイズの試料上に銀をスパッタした。銀を膜厚12μmスパッタした16mm×16mmサイズの試料の反りを測定したところ、反りがマイナスとなり、想定より大きな応力が働いていることが分かった。また、銀とウェハとの密着性が悪く、Agスパッタ後に剥離が見られた。そこで、逆スパッタした後にAuを100nmスパッタし、さらにAgを6μmスパッタした。

結果と考察 / Results and Discussion

16mm×16mmサイズを逆スパッタした後にAuを100nmスパッタし、さらにAgを6μmスパッタしたところ、オリフラ垂直方向の反りがほぼ0になった(Fig.1)。一方、オリフラ水平方向の反りはAgスパッタ後も5μm程度残存していた。もともと水平方向の反りは垂直方向より大きいため、Agが面内に均一に成膜されるスパッタでは面内の不均一性を改善することは困難だと考えられる。ただし、Agスパッタした16mm×16mmサイズの試料をエピタキシャルリフトオフ(ELO)したところ、クラックレスでの剥離を確認した。そこで、同様に4"ウェハでも逆スパッタした後にAuを100nmスパッタし、さらにAgを6μmスパッタしたところ、垂直方向の反りが77.1μm, 水平方向の反りが280.4μmになった。試料サイズが大きくなると反りの量が大きいため、反りの補償に要する膜厚も増大すると考えられる。Agを6μmスパッタした4"ウェハをELOしたところ、剥離されることが確認されたため、Ag6μmでもELO自体は可能であることが示された(Fig.2)。今後、ELOの歩留まり改善や高速化に向けて、Agの成膜条件や膜厚の最適化が有効だと考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Dektakで測定したAgスパッタ後のIMM太陽電池の反り。16mm×16mm程度の試料サイズでは、オリフラ垂直方向(赤線)の反りがほぼ平坦になった。オリフラ水平方向の反り(5μm)は程度残存。



Fig. 2 ELO後のIMM太陽電池。ウェハから剥離されたことで、フレキシブルかつ軽量化が可能。目視ではELOに由来するクラックが見られず、Agスパッタによる反りの低減が有効だった。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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