【公開日:2025.07.10】【最終更新日:2025.07.10】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22KU1054
利用課題名 / Title
SnO2を担持した酸化グラフェンを用いた有用物質の電解合成および電気化学センサー
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/Electron microscopy,ナノカーボン/ Nano carbon,電極材料/ Electrode material,ナノ粒子/ Nanoparticles
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
冨﨑 真衣
所属名 / Affiliation
九州大学カーボンニュートラルエネルギー国際研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
シプロフロキサシンは抗生物質の一つで、インドネシアで広く使用されている。シプロフロキサシンは、フルオロキノロン系抗生物質であり
抗菌活性の薬効範囲が広いため、 グラム陽性菌やグラム陰性菌感染症の治療に使用される。しかし、病院からの排水には、シプロフロキサシンをはじめとする化学物質が含まれ、発がん性や遺伝毒性を有することが懸念される。さらに、自然環境中に放出された抗生物質は、微生物による分解を受けにくい。そこで、排水検査により、これらの薬物が排水に含まれていないことを確認する必要がある。
電気化学センサーは、シプロフロキサシンのように電気活性のある化合物を、高感度に検出するのに利用できる。
本研究では、シプロフロキサシンを高感度に検出するための電気化学的手法を構築することを目指している。作製した電極の形態観察・結晶性評価のために、ARIM所管のTEM装置を利用した。
実験 / Experimental
作用極には、SnO2を担持した還元型酸化グラフェン(Sn02-rGO)を修飾したスクリーンプリント電極を使用した。 rGOは高い比表面積と電気伝導性をもつため、電気化学検出に用いる材料として適する。SnO2は、他の元素をドープすることで特性が変化するという特徴をもつ。また、ナノサイズのSnO2は、検出感度や検出効率の向上に寄与すると考えられる。
ワンポットの水熱合成により作製したSn02-rGOの特性評価をするため、SEMやEDS、XPS、TEM分析を行った。 比較のために、SnO2を担持していないGOとrGOも分析した。 Sn02-rGO粒子のTEM観察では、少量のSn02-rGO粒子をエタノールに溶解させ、超音波を照射して分散させた。調製した懸濁液をグリッド上に滴下し、一晩乾燥させたものをTEM観察に使用した。
結果と考察 / Results and Discussion
SEMによる観察では、GOとrGOの違いはほとんど見られなかった。Sn02-rGOのSEM像では、Sn02由来の微粒子がrGO表面に点在していた。EDS測定の結果より、GOには炭素95%,酸素5%が、rGOには炭素97%,酸素3%が、Sn02-rGOには炭素56%,酸素13%,スズ31%が含まれていた。rGOはGOよりも酸素含有量が少なく、酸化グラフェンの遠元によるものと考えられる。Sn02-rGOのEDS分析では、スズが強く検出されており、Sn02粒子の担持が示唆された。また、EDSのマッピング分析から、スズが一様に分布していることが観測された。それぞれの試料のXPS測定における0 lsスペクトルを比較した。rGOはGOよりスペクトルの強度が小さく、 Sn02-rGOは最も強度が大きかった。これは、担持されたSn02由来の酸素によるものと考えられる。 また、Sn02-rGOでのみ、488 eVと496 eVにSn 3d由来のピークが観測された。 Sn02-rGO粒子のTEM観察により、 Sn02がrGOのシ ート上にのっていることが観測された。
EDSやXPS分析により、Sn02-rGO試料の組成に関する情報を得た。TEM分析では、Sn02-rGO粒子のナノレベルでの観察はできたが、格子縞まで観察することはできなかった。今後、より高分解能のTEM装置での観察を行い、格子縞の観察やより詳細な組成分析を行う予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究は、 アイルランガ大学のPrastika Krisma Jiwanti助教との共同研究である。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件