【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.04.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24NM0174
利用課題名 / Title
平行平板電極による免疫センサの開発
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
CVD,バイオセンサ/ Biosensor,スパッタリング/ Sputtering,光リソグラフィ/ Photolithgraphy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
大貫 等
所属名 / Affiliation
東京海洋大学 海洋工学部 海洋電子機械工学部門
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
吉田 美沙
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-604:マスクレス露光装置 [DL-1000/NC2P]
NM-607:スパッタ装置 [CFS-4EP-LL #3]
NM-668:蒸気二流体洗浄装置 [SSM101]
NM-612:SiNプラズマCVD装置 [PD-220NL]
NM-615:ICP-RIE装置 [RIE-101iPH]
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本論文は、睡眠サイクルを調節する重要なホルモンであるメラトニンを、手軽かつ高感度に検出できるセンサの開発を目的としたものである。メラトニンは、睡眠障害をはじめ、糖尿病やがんなど多くの疾患と関連があることが知られており、日常的なメラトニンの計測により、これらの疾患の早期発見や進行状況のモニタリングが可能になると期待されている。本研究では、採取が簡単で負担の少ない唾液を分析対象とし、その中の微量なメラトニン濃度を正確に測定できるシステムの構築を目指した。ここでは抗原抗体反応と電気化学インピーダンス分光法(EIS)を組み合わせた高感度検出技術を応用し、実用性の高いメラトニンセンサの開発に取り組んだ。具体的には,ARIMで作製した電極の表面上で抗原抗体反応を引き起し,反応前後の電荷移動抵抗Rct変化をEISで測定することでセンサとして機能するかを調べた。現在の課題として、センサチップごとのばらつきが大きく、測定結果の信頼性が低いという問題がある。本研究では、この課題を克服するための技術開発を行った。
実験 / Experimental
本研究では、NM-604 マスクレス露光装置、NM-607 スパッタ装置を用いて、ガラス板上にAu円形電極および電極配線パターンを有する基板を作製した。さらに電極配線部分は、NM-612 SiNプラズマCVD装置を用いてSiN絶縁層を堆積し、センサチップとした。初めに、このように平板基板上に微細加工を施した金電極センサチップについて、電流密度分布をシミュレーション解析した。その結果、電流は主に電極のエッジ部分に集中していることが明らかになった。つまり、エッジ部分の表面構造は乱れが多く、センシングには適さないにもかかわらず測定信号の大部分がこの部分から発生している。一方で、理想的な平坦な電極表面からの信号はほとんど含まれていない。問題を解決するために、絶縁性の極薄シートを電極表面に装着し、エッジ部分からの信号をブロックする方法を考案した。この改良により、センシングに適した平面部分からの信号のみを取得することが可能となると考えられる(図1)。
結果と考察 / Results and Discussion
図2に、シートなし試料とシートあり試料の測定結果の偏差を示す。シートなし試料では測定値のばらつきが大きかったのに対し、シートあり試料ではばらつきが大幅に抑えられていることが確認された。この結果から、絶縁シートの装着によってエッジ部分の不要な信号が除去され、理想的な電極表面からの信号のみを測定できるようになることが分かった。本研究の成果により、EIS測定の信頼性が向上し、メラトニンバイオセンサの実用化に向けた大きな前進が期待される。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 電極表面の電流分布(模式図)
Fig.2 シートの有無によるデータのばらつき
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 大屋 雛子,柴田 恭幸,呉 海云,遠藤 英明,大貫 等:第85回応用物理学会秋季学術講演会 2024年9月16 – 20日(朱鷺メッセ)「広い濃度領域を有するメラトニンバイオセンサの開発」
- H. Okaizumi, T. Shibata, H. Wu, H. Endo, and H. Ohnuki:34rd Annual Meeting of MRS-Japan 2024 (Yokohama) “Development of Melatonin Biosensor Based on Antigen-antibody Reaction”
- 岡泉 飛勇、柴田 恭幸、呉 海云、遠藤 英明、大貫 等:第72回応用物理学会春季学術講演会 (東京理科大 野田キャンパス) 「抗原抗体反応を用いたメラトニンセンサの開発 II」
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件