利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.14】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24RO0008

利用課題名 / Title

太陽電池の製作

利用した実施機関 / Support Institute

広島大学 / Hiroshima Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

成膜・膜堆積、熱処理、ドーピング、電気計測,太陽電池/ Solar cell,太陽電池/ Solar cell


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

後藤 秀樹

所属名 / Affiliation

広島大学半導体産業技術研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

山田 真司,岡田 和志,水野 恭司

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

RO-221:酸化炉
RO-226:燐拡散炉
RO-227:汎用熱処理装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

大学学部新入生対象の講義「教養ゼミ」の一環で、最新技術の一端を知るカリキュラムを実施している。 その一つとして太陽電池について学ぶプログラムがあり、半導体産業技術研究所で作製した太陽電池ウェーハを使い、電極形成・動作・測定・評価をおこなった。 途中、太陽電池ウェーハの作製工程も4週に亘り、クリーンルーム内で実地見学した。   また電極形成を学生各自で行い、動作確認・測定・評価をおこなった。

実験 / Experimental

p形2インチウェーハに300 nmの酸化膜を成膜し、表面のみ(酸化膜を除去後)リン拡散を行い、裏面のみにボロン拡散を行ったものを作製依頼した。 そのウェーハを使って、電極形成の際は自然酸化膜を除去後、InSn半田で裏面にベタの電極を作製し、受光面となる表面には効率を考えながらデザインした図案を電極形状にした。 太陽電池としての動作確認は、日光を光源に低電圧のDCモータを回転させておこなった。 発電性能の出力特性(I-V特性)の測定は、白熱電球を一定の光量(3000 lx)にし、12種類の抵抗を自動で切換えて負荷抵抗を変化させ、負荷抵抗両端電圧と25 mΩの両端電圧から求めた電流を使ってI-V特性を得た。 また、通常の電流計と電圧計でも測定を行い、測定器のもつ内部抵抗による誤差を計算し、測定値の補正も行った。

結果と考察 / Results and Discussion

8人の学生が作製した電極による太陽電池の変換効率は、8.6~2.0%であった。 作製される太陽電池の出力 特性は電極の形状によって大きく変化するが、その変化が電極形状のどの部分によってどのように発生するかは あまりわかっていなかった。 そこで今年度は、電極の延伸や接続によって形状を変化させ、特性の変化を追う ことを予め計画して電極作製に臨んでもらった。 その結果を以下に示す。

【1】学生K君の場合: 電極形状をNo.1~No.4へ変化させた。 (Fig .1)
No.1: オモテ面の電極(―)からの引出線の接続ポイントは、写真にマークした端のところであった。
No.2: オモテ面の電極(―)からの引出線の接続ポイントを、ウェーハの中心に移した。 以下、引き出し線はNo.2~No.4で同じまま。    
No.3: オモテ面の電極の形状(「と」の字)に、3か所のヒゲを付けて延伸した。    
No.4: オモテ面の電極の形状(「と」の字)に、さらに1か所のヒゲを付けて延伸した。   
出力特性の各種評価項目の測定結果をTable.1に示す。
改善点:短絡電流値が増え、内部直列抵抗は減少し、内部並列抵抗も増えている。

【2】  学生S君の場合: 電極形状をNo.1~No.4へ変化させた。(Fig .2)
No.1: オモテ面の電極(―)からの引出線の接続ポイントは、写真にマークした端のところであった。
No.2: オモテ面の電極(―)からの引出線の接続ポイントを、「翔」の字の右肩部分に移した。 以下、引き出し線はNo.2~No.4で同じまま。    
No.3: オモテ面の電極の「翔」の字の右肩を延伸し、外周電極に接続した。    
No.4: オモテ面の電極の「翔」の字の右下を延伸し、外周電極に接続した。     
出力特性の各種評価項目の測定結果をTable.2に示す。
改善点:内部直列抵抗が減少した。短絡電流も微増であるが、その他の項目に殆ど変化はなかった。    

【3】学生T君の場合: 電極形状をNo.1~No.5へ変化させた。(Fig .3)
No.1: オモテ面の電極(―)からの引出線の接続ポイントは、写真にマークした端のところであった。
No.2: オモテ面の電極(―)からの引出線の接続ポイントを、ウェーハの中心に移した。 以下、引き出し線はNo.2~No.5で同じまま。    
No.3: オモテ面の電極の「平」の字の水平ラインを延伸した。    
No.4: オモテ面の電極の「平」の字の上の垂直ラインを延伸した。    
No.5: オモテ面の電極の「平」の字の水平ラインから、2本下方向へ延伸した。     
出力特性の各種評価項目の測定結果をTable.3に示す。
改善点:内部直列抵抗は、No.4の変更を除いてそれぞれの変更案で減少した。
短絡電流は、引出線の位置変更(No.2)とNo.3の延伸が有効であった。
内部並列抵抗が、No.5の延伸で増大した。 

【4】学生T君のもう1つの挑戦:
 ウェーハの鏡面側をウラ面とし梨地側を受光面(オモテ面)として特別に作製したウェーハを使用し、電極パターンは【3】と同じ形状にして、受光面の違いを調べた。 (受光面の表面反射の影響検討を目的としたものである。)       
電極形状をNo.1~No.3へ変化させた。(Fig .4)
No.1: 【3】のN0.2と同じ電極形状とした。(―)からの引出線の接続ポイントは、ウェーハの中心で、以下No.3まで同様。
No.2: オモテ面の電極の「平」の字の水平ラインと上の垂直ラインを延伸した。    
No.3: オモテ面の電極の「平」の字の水平ラインから、2本下方向へ延伸した。
改善点:内部直列抵抗は、No.2で大きく減少した。 短絡電流は、No.2の延伸が有効であった。
前項の【3】との比較では、開放電圧が少なめであった。短絡電流もいくぶん少なく、表面反射の抑制(?)の効果も期待できなかった。  

以上の各結果から、全体として以下の2点は言えるであろう。
・電極からの引出し点の選択は、電極形状の修正なく直列抵抗の低減が望めることと、開放電圧が改善する場 合もあった。  
・電極形状の変更の際に、単なる延伸よりもスペースの空いているエリアへの電極の追加の方が効果的である。




図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1



Table.1



Fig.2



Table.2



Fig.3



Table.3



Fig.4



Table.4


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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