【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.20】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24YG0111
利用課題名 / Title
バターの粘弾性の温度変化がクリーミング性に与える影響
利用した実施機関 / Support Institute
山形大学 / Yamagata Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
バター,チョコレート,レオロジー,クリーミング,粘弾性,光学顕微鏡/ Optical microscope,成形/ Molding,赤外・可視・紫外分光/ Infrared/visible/ultraviolet spectroscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
金子 昂生
所属名 / Affiliation
山形県立米沢興譲館高等学校コアスーパーサイエンスクラブ
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
杉本昌隆,武田敬子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
YG-001:ツインドライブ型レオメータ
YG-011:高分子相構造解析システム
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
固形油脂のクリーミング性はケーキなどの食品の製造において重要な特性である。クリーミング性とは固形油脂を撹拌することで大量の空気を混ぜ込むことを表す。クリーミング性には粘弾性が影響を与えると仮定すると、 粘弾性は温度に依存することから、クリーミング過程には適切な温度があると考えられる。ついては、回転型レオメーターを用いて粘弾性の温度依存性を測定し、クリーミング性との相関を求める。さらに、顕微鏡観察と光散乱を用いてクリーミング過程の前後の構造解析を行い、バターのクリーミング性と構造の関係を検討する。
実験 / Experimental
固形油脂として無塩バター、チョコレートを用いる。ツインドライブレオメーター(YG-001)により粘弾性の温度依存性を測定する。さらに、粘弾性が変化する前後の温度における偏光顕微鏡画像、光散乱2次元画像の温度依存性データから結晶構造解析を行う。
結果と考察 / Results and Discussion
ペルチェ素子にて温度制御されたレオメータ上に薄くなるべく均一にスライスした市販のバターを置き、一定角周波数1 rad/s下でひずみスイープをして線形範囲を確認した。つぎにサンプルを交換し、一定角周波数1 rad/s下にて、2℃/minで15℃から昇温し粘弾性の温度依存性を測定した結果を図1に示す。15℃付近では貯蔵弾性率G’が106Pa程度でほぼゴムぐらいの硬さを示した。温度の増加とともにG’, 損失弾性率G”も低下し、22〜25℃付近で一度平坦領域が見られるものの、その後、温度とともにG’, G”ともに低下し30℃以上ではその程度が大きくなり、35℃以上はほぼ融液となっていると考えられる。温度一定(20℃、28、35℃)で周波数分散を行った結果を図2、3に示す。20℃と28℃では両者ともにG’の依存性は小さいものの、おおよそ一桁の低下を示し、35℃では20℃に対し、ニュートン流体のような均一液体では4〜5桁G’が低下した。15℃程度の温度変化であるが、この領域に大きな粘弾性の温度依存性があるといえ、これは油脂の結晶の融解によるものであると考えられる。一般にバターのクリーミング特性は25℃付近が良好であるとされ、低すぎても硬くて気泡ができず、30℃以上では気泡の保持が難しいとされており、ここで観察した粘弾性の温度変化と関係づけることができた。次に、バターの構造変化をみるため、偏光顕微鏡観察を行った。温度はリンカム製の顕微鏡用冷却加熱ステージを用いた。しかし、可視光の範囲で粘弾性変化に対応するような明確な構造変化は見られなかった。図4に光散乱像の温度変化を示す。20〜60℃まで5℃/minで昇温した。図は昇温前の像であるが、リング状の微弱な散乱がみえるのみであり、さらに昇温と共に急激に散乱強度が低下した。サンプルの厚さなどの測定上の工夫が必要である可能性がある。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 バターの粘弾性の温度依存性
図2 バターの貯蔵弾性率G'(測定温度20、28、35℃における比較)
図3 バターの複素粘度(測定温度20、28、35℃における比較)
図4 バターの光散乱像の温度変化
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 金子昂生、山形県高等学校総合文化祭、2024年10月11日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件