【公開日：2025.06.10】【最終更新日：2025.04.27】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24KU0040
利用課題名 / Title
複合アニオン化合物の電子顕微鏡観察
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-
【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion（副 / Sub）量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/ Electronic microscope,スピン制御/ Spin control,全固体電池/ All-solid battery, 放射光/ Synchrotron radiation
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)
加藤 大地
所属名 / Affiliation
京都大学工学研究科物質エネルギー化学専攻
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
麻生亮太郎
利用形態 / Support Type
（主 / Main）技術補助/Technical Assistance（副 / Sub）-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
近年、材料化学における新たな潮流として、化合物中に二種類のアニオンを含む複合アニオン化合物が注目を集めている。例えば、負電荷を有する水素であるヒドリド（H–）と酸化物イオン（O2–）が複合した物質が、貴金属無しでも高いアンモニア合成触媒として機能するなど、興味深い機能性を示すことが知られている(Nat. commun., 9(1), 772.)。しかし、複合アニオン化合物の多くは、その合成に特殊な雰囲気やトポケミカル反応などの工夫が必要であり、粉末でしか得られないことが大半である。そのため、その構造決定には電子顕微鏡観察を含む複数の測定や解析を組み合わせることが不可欠である。
我々のグループでは、様々な新規複合アニオン化合物の合成を行っており、近年も光触媒やイオン伝導など興味深い機能性を示す新物質の発見に成功してきた(例えば、J. Am. Chem. Soc., 138(7), 2082-2085.など)。本申請では、最近当グループで得られた複合アニオン型の新物質について、透過型電子顕微鏡を用いた電子線回折やHAADF-STEM観察により結晶構造の解明を行うことを目的とする。
実験 / Experimental
VおよびTaをカチオンとして含む酸ハロゲン化物の電子顕微鏡観察を行った。
電子線回折図形の取得、およびHAADF-STEM像の観察から、粉末X線の構造解析に必要な構造モデルの構築を目指した。
結果と考察 / Results and Discussion
Vの酸ハロゲン化物については、0 1 0, 0 0 1, 1 1 1入射像の観察に成功した。これらの電子線回折により、a = 3.54 Å, b = 3.82 Å, c = 12.7 Åの直方晶であり、単斜晶歪みを示さないことが確かめられた。また、0 1 0入射のHAADF-STEM観察により、層状構造が確認され、Vがハロゲンから構成される4角形の中心に位置していることが確認できた。これらの情報は、放射光XRDと相補的に、本物質の構造を決定するのに重要な役割を果たした。
Taの酸ハロゲン化物については、0 0 1, 1 1 0, 1 0 0入射像の観察に成功した。これらの電子線回折により、a = 9.54 Å, b = 4.93 Å, c = 5.69 Åの直方晶であることが分かった。また、消滅則の確認より、可能性の高い空間群として、AmmmやAmm2などの候補が絞られた。今現在においても、本物質の構造は明確には明らかになっていないが、0 1 0入射のHAADF-STEM観察により、層状構造が確認された。今後は、放射光XRDなどと併せて、本物質の原子配置を明らかにしていく。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件