【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24HK0099
利用課題名 / Title
W/SiC接合材のイオン照射効果
利用した実施機関 / Support Institute
北海道大学 / Hokkaido Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
異種材料接着・接合技術/ Dissimilar material adhesion/bonding technology,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,電子顕微鏡/ Electronic microscope
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
岸本 弘立
所属名 / Affiliation
室蘭工業大学しくみ解明系領域
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
北海道大学工学研究院・教授・柴山環樹
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
将来のSiC複合材料を構造材料とした核融合炉ダイバータでは、プラズマスパッタの対応するために複合材料の表面にタングステン層を形成するが、ナノスケールの接合界面層はSiC複合材料とタングステンの素性に応じて様々な形態をとる。これら接合界面はダイバータの高熱流束下で組織安定性を維持できることが条件となるが、同時に核融合反応で生じる14MeV中性子に晒されるために照射効果を知る必要があるが、タングステンとSiCの接合界面の照射効果についてはこれまでほとんど研究されていない。マルチビーム超高圧電子顕微鏡に付属するイオン加速器は、核融合反応で生じるヘリウムや、14MeV中性子照射と同等のPKAエネルギーを有する重イオンをタングステンとSiCの界面に照射することが可能である。本研究では本装置を用いてタングステン/SiC複合材料の接合界面の照射効果の研究を行う。
実験 / Experimental
SiCは参照材としてα-SiCであるヘキサロイSiCと、SiC複合材料のマトリックスであるβ-SiCを液相焼結により焼結したNITE-SiCを使用した。タングステンは純タングステン板を用い、ホットプレス装置を用いてArガス雰囲気中で保持温度1500℃、保持時間10時間で製作した。作製した試料はEPMAで界面構造と組成を分析した後、マルチビーム超高圧電子顕微鏡に付属するイオン加速器を用いて室温、1.01-1.7×1016 He ions/cm2でヘリウムイオン照射を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
図1はW/NITE-SiC接合材の界面部のEPMA像である。NITE-SiCはSiC強化繊維と複合化してSiCマトリックスを形成させるため、焼結温度の低下とSiCマトリックスの繊維束への含侵を目的として、Y2O3およびAl2O3が焼結助剤として添加されており、マトリックスは耐照射性の高い高結晶性で緻密なSiC結晶となるが、図1に示す通り、界面近傍に焼結助剤が観察される。界面直上のタングステン層内部にSiの拡散相が見られW-Si相を形成していると思われる。また界面直下のSiC層部分に炭素および酸素が多くみられる。詳細な解析はイオン照射実験後のTEM観察により実施されるが、Siがタングステンへ拡散したことに伴って残された炭素が界面部分に存在している可能性がある。図2はW/ヘキサロイSiC接合材である。ヘキサロイは炭素を固相焼結助剤として2000℃以上で焼結されたモノリシックのSiCであり、複合材料のマトリックスには向かない。図2には図1同様にタングステン中へのSiの拡散相が観察され、このW-Si相がW/SiCの系では接合力を発揮していると考えらるが、図1で観察されたような助剤や酸素の偏析は認められない。これらの試験片はマルチビーム超高圧電子顕微鏡を用いて、まず室温においてヘリウムイオン照射を行った。図3は照射中の試験片である。TEMを用いた解析は今後実施する予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 W/NITE-SiC接合材界面のEPMA像
図2 W/ヘキサロイ接合材の界面部のEPMA像
図3 イオン照射中のW/SiC接合材
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 岸本 弘立、朴 峻秀、柴山 環樹、"高温焼結で作製したSiC基複合材料の組織と強度に対する助剤の影響," 日本金属学会春季講演大会(東京)、令和7年3月 8日-10日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件