【公開日：2025.06.10】【最終更新日：2025.05.15】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
24KU1016
利用課題名 / Title
高出力を目指した水素エネルギーデバイス用電解質材料の分散性評価
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用（ARIM事業参画者以外）/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis（副 / Sub）-
【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials（副 / Sub）次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
動的光散乱,ナノカーボン/ Nano carbon,コンポジット材料/ Composite material,ナノ粒子/ Nanoparticles
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)
西原 正通
所属名 / Affiliation
九州大学水素エネルギー国際研究センター
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
Ikhbayar Erdenebat
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
柿田 有理子
利用形態 / Support Type
（主 / Main）機器利用/Equipment Utilization（副 / Sub）,技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
固体高分子形燃料電池の触媒層中のプロトン伝導性材料であるアイオノマは、気体透過性高分子PIM-1をアイオノマであるNafionとブレンドすることで発電性能が向上する。
これまでの結果から、気体透過性高分子の分子量の違いで発電性能に変化が見られることが確認されている。
触媒インク溶液中での気体透過性高分子の凝集構造が分子量の違いにより、どのように変化するのか、またその変化が発電性能にどのように影響を及ぼすのかを確認するため、高分子分散液の動的光散乱を測定した。
実験 / Experimental
実際のインク溶液中におけるPIM-1の状態を把握するために、動的光散乱（DLS）測定を行った。
インクに使用される溶媒は、水、エタノール、1-プロパノール、THFを混合したものであるため、DLS測定においてもインク溶媒系の溶媒比に合わせて屈折率を調整した。
DLS用のサンプルは、インク溶液中のブレンドアイオノマの散乱状態を正確に評価するために、Pt/Cを加えずに調製した。通常、ブレンドアイオノマは6.0 mg/mlの濃度でインク溶液中に分散させられるが、PIM-1はエタノールの多い溶媒系では沈殿しやすいため、通常のインク調製では、ブレンドアイオノマをPt/Cと混合・均質化した後、すぐにPEM上にスプレーし、CCM（触媒層膜）を作製している。
DLS測定時には、PIM-1ベースのブレンドアイオノマサンプルを測定前に超音波処理したが、測定中にPIM-1からなる黄色い凝集物が形成された。そのため、実際のインク濃度でブレンドアイオノマの分散状態をDLSで測定することは困難であったため、異なる分子量のPIM-1のインク溶液中での分散状態を比較するために、PIM-1ベースのブレンドアイオノマをインク溶液の混合溶媒で10分の1に希釈し、その分散状態を測定した。
結果と考察 / Results and Discussion
いずれの溶液からも散乱ピークが観察され、自己相関関数の解析からそれぞれの平均粒径を算出した。その結果、PIM-1の分散状態は分子量により異なることが明らかとなり、高分子量の方が小さい凝集体を形成することが明らかとなった。これらの結果から、燃料電池性能を向上させるには、気体透過性高分子の分散性とプロトン伝導性とのバランスが重要であることが明確となり、今後の材料設計指針に有用な知見をもたらした。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
DLS of PIM-1-based HOBI. a) 196k, b) 117k and c) 20k of the diluted samples.
その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- I. Erdenebat, Z. A. R. Gautama, I Yang, A. Y. Bandera, K. Sasaki, M. Nishihara, "Effect on fuel cell performance of preparation and measurement conditions for highly oxygen-permeable blend ionomer", 第61回化学関連支部合同九州大会, 2024. 6. 29, 北九州
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件