利用報告書 / User's Reports

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【公開日:2025.06.10】【最終更新日:2025.05.09】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

24KU1030

利用課題名 / Title

液体燃料からの脱硫を目的としたジベンゾチオフェンの触媒的可視光酸化

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学 / Kyushu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

触媒材料,赤外・可視・紫外分光/ Infrared/visible/ultraviolet spectroscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

山内 崇弘

所属名 / Affiliation

九州大学大学院理学府化学専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

徳永 信

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

井手 奈都子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-505:紫外可視近赤外分光測定装置装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

石油中に数%程度含まれる硫黄化合物は、燃料として燃焼される際に環境問題の原因となる硫黄酸化物(SOx)を生じることから、燃料の精製過程において硫黄化合物を除去・低減する脱硫工程は重要な役割を担っている。しかし、ジベンゾチオフェン(DBT)のような芳香環を持つ硫黄化合物を十分に脱硫するためには、現行法である水素化脱硫において高温・高圧条件を要することから脱硫コスト増大の原因として問題視されている。本研究においてはこの課題解決を目指し、常温・大気圧下といった温和な条件下でDBT類もまとめて容易に脱硫できる手法として、燃料中硫黄化合物の触媒的可視光酸化反応による脱硫を検討している。
これまでの研究により、酸化チタンを触媒とすることでDBTの可視光酸化反応が進行することを確認している。また、その触媒活性が系中のトルエン濃度の影響により変化することも判明している。しかし、系中の炭化水素の作用機序や、可視光吸収をほとんどもたない酸化チタンの可視光応答性発現過程は未解明であり、今後の研究発展における課題となっている。そこで、種々の条件で処理を行った触媒について紫外可視吸収スペクトルの測定を行うことで、本反応系中において触媒の可視光応答性が発現しているかを確認するとともに、測定結果と触媒活性に相関がみられるかの検討を行うこととした。

実験 / Experimental

<測定サンプルの前処理について>
石英試験管中に種々の溶媒と酸化チタン(JRC-TIO-10, 87.8 mg)を入れ、攪拌しながらハロゲンランプ(100 W, 400 nm―800 nm, 60000 lux)を1時間照射した。溶媒としてはトルエン、シクロヘキサン、ベンゼン、ヘキサンを用いた。可視光照射の後、遠心分離によって触媒を回収し、110℃で1時間加熱乾燥を行った。

<測定手法>
紫外可視近赤外分光測定装置(日本分光 V-670)を用いて、拡散反射法による紫外可視吸収スペクトルの測定を各サンプルについて行った。測定範囲はλ= 200 nm―800 nmとし、標準試料としては硫酸バリウム白板を用いた。

結果と考察 / Results and Discussion

結果としてトルエンやベンゼン中で可視光照射を行った触媒については、400 nm―600 nmの波長領域において吸収増大が確認された。また、シクロヘキサンやヘキサン中で同様の処理を行った触媒では、未処理の触媒とほとんど変わらないスペクトルが得られた。この測定結果は、同条件で前処理した触媒によるDBT可視光酸化反応において、トルエンやベンゼンを用いて前処理を行った場合には未処理の触媒に比べて転化率、収率ともに大きく向上していることを裏付ける結果であるといえる。これらの結果から、トルエンやベンゼンを用いた場合には系中において触媒の可視光吸収が増大しており、それが転化率・収率の向上といった触媒活性増大に寄与していると推察した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 各溶媒中で可視光照射処理を行った触媒のUV-visスペクトル


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は、JST次世代研究者挑戦的研究プログラム JPMJSP2136 の支援を受けたものです。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 山内崇弘, 篠﨑貴旭, 高ヨハン, 吉澤明菜, 山本英治, 村山美乃, 徳永信, "燃料からの脱硫を目的としたジベンゾチオフェンの可視光酸化反応における共存芳香族炭化水素の効果", 日本化学会第105春季年会(大阪), 令和7年 3月26日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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